「経済的な死者」の急増を阻止する対策が必要だ

すでに政府が打ち出している中小企業の資金繰り支援、休業補償、雇用調整助成金の拡充などは一定の効果があると思われるが、現在直面している事態への対応として十分とはいえない。

たとえば、雇用調整助成金は事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、労働者の雇用の維持を図る事業者に対して助成金を支給するものだが、あくまでも事業の継続を前提にしている。新型コロナウィルスの影響を強く受けた企業の多くは事業存続の危機に瀕しており、企業が倒産してしまえばこの制度は意味を持たなくなる。

企業の経済活動の停止により失業者が増えれば、深刻な事態になる(写真:ロイター/Issei Kato)

売上高の大幅な減少には補填も必要だ

重要なことは倒産、失業の増加を防ぐことであり、そのためには新型コロナウィルスの影響で消失した企業の売上高を政府が補填することに踏み込むべきだ。業種を限定したうえで、売上高が一定以上減少している企業や個人事業主に対して、雇用の維持を条件として、失われた売上高の相当部分(たとえば8割)に対して返済不要の資金提供を行えば、倒産や失業の急増に歯止めをかけることができるだろう。

上の画像をクリックすると、「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事の一覧にジャンプします

この政策を実行するためには、数十兆円単位の財政出動が必要となるかもしれないが、危機の際に巨額の借金ができるのは政府だけだ。この金額は政府による自粛要請によって本来は自由であるべき経済活動を制限したことによる損失額と割り切るしかない。

新型コロナウィルス感染症対策もそれに対応する経済対策も可能なかぎり死者を減らすことを最優先とすべきだ。

(文=斎藤 太郎:ニッセイ基礎研究所経済調査部長)