いまの「不満」は未来の成功へのパスポート

夢に向けてアクションを起こさない言い訳(漫画:イマイマキ)
逆境のなかでも折れない心のつくり方について語ってもらった前回の記事(渋沢栄一が「自分の未来に悩む30代」に贈る言葉)に続いて、今回は、いまの仕事に不満を持つ30代が自分が本当に「やりたい」と思う仕事に出会うための方法を、吉沢亮主演の2021年大河ドラマ「青天を衝け」の主人公で、新一万円札の顔として注目される渋沢栄一の言葉をもとに、渋沢栄一の玄孫(やしゃご)にあたる渋澤健氏に語ってもらった。
(漫画:イマイマキ)

自分の天命を見つける四象限

「いまの仕事は天命のようなものです」と、人前で断言できるような仕事に携わっている人は、おそらく少数だと思います。

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大半の人は、いまの仕事が本当に天命かどうかわからないまま、日々の生活を送っているでしょう。でも、新型コロナ禍で、いままで疑問にも思わなかった仕事や働き方に疑問符が付き、新しい働き方を探そうとしている人も増えているのではないでしょうか。

20代、30代は、これから先のビジネス人生はまだまだ長いです。より良い働き方、生き方をするためには、立ち止まって、自分の天命とは何かを考えることは大事だと思います。

では、どうしたら自分の天命を見いだすことができるのでしょうか。そのためには、縦軸に「やりたい・やりたくない」、横軸に「できる・できない」をとった四象限で、自分のいまの仕事がどこに入るのかを考えるのが近道です。

この四象限のうち、ベストは右上の「やりたい・できる」仕事です。自分がやってみたいと希望する仕事ですし、実際にそれができるだけの力も持っているとなれば、これはまさに天命によるものかもしれません。ただ、そこにぴったり当てはまる仕事に就いている人はごくごく少数だと思います。大半の人は、そこに当てはまらない仕事を日々こなしています。

反対に、最悪なのは、真逆に位置する「やりたくない・できない」仕事です。たとえば、細かい数字の計算が苦手で大嫌いなのに、経理の仕事をしている人は、ここに入ってきます。このような仕事は、どうにかしようとするほど、ストレスがたまって、いつか心が折れてしまうかもしれません。早く見切りを付けて、異動願いを出すか、転職を考えたほうがいいと思います。

ここで問題になるのが、残り2つの象限の仕事についてです。どちらが、ベストな仕事に近づけるでしょうか?

「やりたい」「やりたくない」の縦軸で考える

まず、「やりたくない・できる」仕事について考えてみましょう。身近な例で言うと、自分の部屋の掃除は典型的なケースです。

きれい好きな人は自ら率先して部屋の掃除をしますが、多くの人は掃除を面倒なことだと思っているでしょう。掃除をすることは、基本的に誰でもできることなのですが、「面倒」とか「他に優先することがあるから」といった理由で、やらないことを選びがちです。

職場によっては、最悪な仕事よりも問題が噴出するかもしれません。仕事のスキルはあるのにやりたくない部下、あるいは上司を持ったら最悪です。

このように考えると、次に良いポジションは、「やりたい・できない」仕事です。多くの人は、このような仕事をしていると思います。もともと「やりたい」仕事ですから、「こうしたい、ああしたい」という「やりたい」ベクトルを心のなかに常に立てておくことで、「できない」がやがて「できる」に変わり、ベストポジションである「やりたい・できる」仕事にめぐり会えると思うのです。