「なぜか出世が早い人」がやっている3つの発言

会社の中で発言力を持つ人がやっていること

モノの優劣ではなくて、それをどう名付けるか、どういう文脈に位置づけるかで選ばれる時代になってきている。

目の前に世界中で作られたボールペンを並べてみる。すると、ほとんどが「いいペン」だろう。そのとき、どこで差がつくかというと、例えば「このペンは、イタリアの職人が1本ずつ木を削るところから作っている」というファクトを伝えなくてはいけない。何で伝えるのか。そう、もちろん言葉だ。そのファクトが言葉で表現され、買い手に伝わることで、初めて2万円の価値が定義されるのである。

これは企業のマーケティングの話だけではない。個人にとっても同じ現象が起きている。つまり、個人もまた価値を生み出して、同時に価値を伝え続けていかなくてはいけないのだ。

例えば、会社組織においてもなんとなく出世が早い人というのはいる。同じ成果を出していても、なぜかその人だけが評価され、いい仕事をもらい、上司や組織からも評価されて出世も早くなる。こういう人は「価値を伝えるプロセス」をきちんと意識的にやっている可能性が高い。こういう書き方をするとまるでゴマスリがうまい人のように思えるかもしれない。そういう意味ではないのだ。

組織において上司が成果を出している人を全員細大漏らさず把握していれば、それだけでもいいのかもしれない。しかし、実際はそんなふうにはいかない。上司だって神ではない。組織の全員の能力・実績・プロジェクトにおける関与度・熱意・チームへの貢献など無数の変数の把握など、そもそもできるわけがない。

「一生懸命頑張っていれば誰かが見てくれている」

そう考えるのは美しいけど、ちょっと人間を信じすぎているのかもしれない。

また、企業や組織においては成果を出すことももちろん重要だが、もっと重要なのはその成果を出すプロセスを再生産することだったりする。つまり偶然に大成功することはありがたいのだが、それ以上に組織が求めているのはその成功を意識的に無理せず繰り返すための体制や仕組みを整えることなのだ。

その前提で考えると「価値を伝えるプロセス」は組織内における個人にこそ求められている。なぜならば、組織内で上司や会社に対して自分が仕事を通じて成果を出したプロセスを説明することは、上司の立場からすれば不明瞭な内部の評価に一定の基準を与えることになる。さらにそのプロセスが言語化されることで横展開されて、個人知が組織知になる

そんなときに仕事が成功した秘訣や過程を丁寧に説明してくれる人がいたらどうだろうか。もしあなたが、現場の仕事で頑張っているのに、成果も出しているのに、いまいちきちんと評価されていないとしたら、価値を生み出すことに精いっぱいで、価値の証明ができていないのかもしれない。

ちょっと面倒かもしれないが、そんなに難しいことじゃない。次のランチタイム、あるいは朝や夕方のお茶の時間、もしかしたら仕事帰りの飲み屋でもいい。上司や組織内の評価をする人間を連れ出して、あなたのその自慢のプロジェクトの成果だけではなく、プロセスについて面白おかしく語ってあげることだ。あなたが生み出したすばらしい価値を周りに伝えることに、手を抜いてはいけない

気をつけるべき3つのステップ

仕事の価値を説明するときは次の3つのステップに気をつけておくといい。

1、 チームにおける自分の役割を説明する

プロジェクトリーダーなのか、マネジャーなのか、ムードメーカーなのか。関与度とあわせて自分がどうやって貢献したかを説明する。

2、 会社におけるそのプロジェクトの価値を説明する

同じようにそのプロジェクトが会社にどんなよい影響を与えるか、利益機会の創出なのか、話題性やブランド価値の向上なのか、採用や株価にインパクトがあるのか再現可能であることを前提に説明する。