在宅勤務で「孤独に悩む人」「元気になる人」の差

在宅勤務で元気になる人、不調になる人のちがいとは?(写真:Ushico/PIXTA)

コロナ禍によってテレワーク化が進む中、奇妙な現象がおこっています。

それは同じようにテレワークをしていても、孤独感などのストレスを強く感じ、早く以前のような働き方に戻りたいと「鬱々する人」と、逆にとても精神的に健康な日々を送れるようなった「いきいきする人」に分かれるということです。

私の実感値でしかありませんが、割合としては半々ぐらいでしょうか。そのため緊急事態宣言解除後、どこまで「コロナ以前の働き方」に戻すか様々な会社で議論されていますが、なかなか合意形成は難しいようです。

「テレワークがつらい人」の特徴

テレワークがつらいというのはわかりやすい「問題(=解決しなくてはならないもの)」ですから、そういう人の特徴や、つらくなる原因についてはいたる所で言及されています。

指示が曖昧になるとか、相談できる相手がいなくなるとか、プロセスを評価されなくなるとか、どうやら「コミュニケーション量の減少」によるものが多いようです。

より具体的に言えば、以前よりも仕事を通して注目されないため、「承認欲求」が満たされにくいということでしょうか。コミュニケーションが減り、自分がやったことにフィードバックを受けられないことが相当ストレスにつながっているようです。

一方、テレワークでいきいきする人は、「自己充足」しているケースが多いです。心の内にある価値観や判断基準、興味関心などによって自分の仕事を自分で評価して生きているので、別に誰にどう思われようがあまり気にしていない。「自己満足できる人」とも言えるかもしれません。

内なる基準が会社にもメリットをもたらすものであれば、自己満足できる人は決してネガティブな人材とは言えないでしょう。

なぜ後者の人たちはリアルな職場を離れることで前者の人たちよりも満足感を高めることができたのか? リモートワークに移ってから「以前よりも働きやすくなった」という20代男性に尋ねると、「上司や先輩から意見される機会が減ったから」と言います。

この点で私は彼に共感します。私が新卒で入ったリクルートは「フィードバックの文化」を呼ばれるほど、「お前ってこうだよね」と、他者にどんどん言及する職場でした。私は心の弱い人間でしたので、実を言うと、人の心に土足でズカズカと入り込む文化が最初は嫌で仕方ありませんでした。

自分の中に信念があっても、上の人からフィードバックを受けると、ブレてしまい悩みます。そして、そこまで言うならと上司や先輩のフィードバック通りにやって失敗し、やっぱり自分の思う通りにやればよかったと後悔することも多くありました。

まれに素晴らしいアドバイスもありましたが、多くのフィードバックは私にとってはむしろ障害だったのかもしれません。

今こそ見直したい「フィードバック文化」

決してフィードバックすることや、それを受け入れることを全否定しているわけではありません。むしろ、人間はフィードバックを受けなければ成長できない生き物です。

しかし中には、フィードバックよりも、他者の観察や自己反省を通じて成長するタイプの人材がいることも事実です。そうした人材は、信頼関係が十分でないような他者からのストレートなフィードバックを本気で受け止め、傷ついたり、それが足かせになってしまう可能性もあります。つまり、フィードバックが「ノイズ」となってしまうわけです。テレワークだとノイズが減るため、前述の20代男性のようなタイプはいきいきとするのではないでしょうか。

もしテレワーク導入後、いきいきとする社員が増えたのなら、無理に以前のような働き方に戻さないほうが会社にとってもメリットが大きいのかもしれません。

(文=曽和 利光:人材研究所 社長)