褒めるのが苦手な人に欠かせない3つのコツ

管理職に必要な「褒める」スキル。部下から信頼を得るために身に付けたいものですが、苦手に思う人も多いようです(写真:Graphs/PIXTA)
部下を叱る、注意するのはふつうにできるけれど、ポジティブな言葉をかけるのが苦手、という人は少なくないようです。つまり、叱るのは得意だけど、褒めるのは苦手、といった人たち。しかし上司にとって「褒める」ことは大切なスキルです。部下のやる気を高め、部下から信頼を得るためには欠かせない技術といえるでしょう。
どうすれば自然なかたちで相手を褒めることができるのか。元芸人で、現在は切れ味鋭いコメントでさまざまなメディアで活躍中の放送作家・野々村友紀子氏が、氏の新刊『ハッキリものを言って嫌われる人、好かれる人の伝え方』をもとに解説します。

誰も褒めてくれないとむなしくなる

褒めるのが苦手な人の多くは普段、ちょっとプライドが高いタイプだったり、部下は甘やかさずに叱って育てるタイプの人だったりするのだと思います。だから「キャラじゃないから、恥ずかしい」という思いが湧いてくるのかもしれません。または、「なんだか褒めると偉そうに思われる」という謙虚さの現れかもしれません。

でも、誰だって、努力をして結果を出したときや、仕事で大きな成果を挙げたときは、やっぱり褒められたいはずです。家事だってそうです。誰も褒めてくれないと、むなしくなってくるものです。褒めるというのは、感謝の気持ちを相手に表し、相手のモチベーションを上げることにつながるのです。

それでも、褒めるのがどうも苦手という方に、3つだけ、私が今まで「これいいな!」と思って実践している、スマートに褒める方法を紹介したいと思います。

まずは「褒めない」です。私は、人を褒めるようなキャラじゃない。急に褒めたら、ウソを言っていると思われそう……。そういうタイプの人は、「褒めない褒め方」を試してみてください。「ええ仕事するよなあ」「ほんと気持ちいい挨拶するな」「プレゼン、最高やったで」と、あなたは言わないでしょう。あなたは言わないけれど、「ほかの誰かが言った」ことを伝えるのです。

「『ええ仕事するよなあ』って部長が褒めてたよ」
「『ほんと気持ちのいい挨拶する人だな』と取引先のIさんが言っていたよ」
「プレゼン終わったあと、競合のA社が『やばい』ってつぶやいてたわ」

もちろん、本当であることが前提ですが、場合によっては少しだけ盛ってもいいでしょう。あなたが褒めるわけじゃないから、嘘っぽさがなくなる。あなたは第三者として報告しただけです。すると言われたほうも素直に、「うれしい」「ありがたい」と感情を表しやすくなる。そのうえであなたもつけ加えればいいのです。

「まあ、俺もあんな丁寧な仕事はできないと思ったよ」「Aさんの挨拶、みんなにもマネするように言っているんだ」「私もあのプレゼンは参考にしたいと思った」 すると、こびている感じにも聞こえず、とてもいい感じに褒められる。相手は、あなたにも第三者にも褒められて、きっとますますやる気になってくれるでしょう。

芸人は、お互いによく褒め合うようです。本当ならみんな、ライバル同士。「うまいな」「ウケてたな」と芸人が芸人に思うのは、つらいことでもあるわけです。ただ芸人同士だからこそ、それがどれだけすごいことか、そこに到達するまでどれだけ苦労したかもよくわかる。

相手をリスペクトする気持ちがあるから、「ええな」「よかった」というのを伝えたい。お互いに認め合っているからこそ、褒め言葉も素直に受け取れるし、格別うれしい。そうやって褒め合うことで、互いの芸を伸ばし合えるのだと思います。