褒めるのが苦手な人に欠かせない3つのコツ

私自身も作家として先輩に褒められた経験を思い起こすと、壁に当たってつらいときこそ褒めてもらうとうれしかったものです。いい企画が浮かばず落ち込むことがあっても、「この前の企画おもしろかったやん!」という、たったひと言を糧に、また絶対におもしろいものを作ろうと奮起できるものです。だから本当は、ストレートに自分の言葉で褒めてあげるのがいちばんなのでしょうね。

すぐに褒めずにあとで褒めるのも効く

2つ目は、「時間差・褒め」です。相手のいいところをその場で、「いいね!」「すごいね」と褒めるのではなく、忘れた頃に「そういえば、この間のあれはよかったね」と時間差で褒めるのです。

うちの旦那(漫才コンビ「2丁拳銃」の修士)は、よく人のことを褒めます。本人は特別意識しているわけではないようですが、ただ単に、自分が先輩や芸人仲間に褒められるとうれしいから、自分自身も自然とやっているのでしょう。

テレビで見てよかったことや、共演してすごいなと思ったこと、助かったことなどは、時間が経ってもそれをできるだけ本人に伝えているようです。その内容が、「そんな前の、そんな細かいこと、よく覚えているな!」ということが多い。しかし、褒められた相手はすごくうれしいようです。

劇場で久しぶりにあった芸人仲間や後輩に、「ちょっと前のあの特番、見たわ。めっちゃよかったな。あの言葉は出てけえへんわ」などと伝える。本人も忘れた頃に言われるから、「ああ、あれ見ててくれたんだ」といううれしさと、「覚えていてくれて、わざわざ伝えてくれるとは」という、感謝の気持ちまで感じてくれる。

「いつ・どこで・何をしたこと」に対しての褒めなのか、内容が具体的でしっかりしていることで、適当におべんちゃらを言っているわけではない、ということを暗に伝えられるのが、時間差・褒めのいいところです。

そのためには「記憶」が大切です。私は記憶力がよいわけではないので、スマホのメモアプリで、人のいいところをメモって記録して、できるだけマネをしています。そんなふうに記録する癖をつくっておくと、時間差・褒めもラクになる。同時に、人のいいところに目がいく習慣がつくので精神衛生上もよく、褒めるのが自然になってくる気がします。まさに、いいこと尽くしです。

ただ、私が最も好きな褒め方は、次に紹介するもの。まだ私もその粋に達していないのですが、あらゆる褒め言葉や褒め技を超越した褒め方、それが……「顔褒め」です。

「言葉」よりも「顔」が効く!

顔褒めは、究極の褒め方だなと思います。たとえば、スタジオで番組収録中、奥のほうで見ているプロデューサーがいます。プロデューサーはその番組でいちばん偉い人ですが、控えめにしている人が多いので、本番中はあまり大声で笑ったり、「最高!」などという言葉をくれたりはしません。

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けれど、ニヤッと口角をあげて、ウンウンうなずいてくれている。声は聞こえないけれど、心で「ええやんか」「めっちゃおもろいやんか」とテレパシーを伝えてくる。もう、なんだか顔自体が「いいね」マークになっているかのような、「いいね顔」をして見守ってくださる方がいるのです。

こちらが気づくかどうかもわからないのに、ちゃんと全力で気持ちを表し続けてくれるその姿は、どんな褒め言葉よりうれしいものです。「あぁ、頑張ってよかった」「次もあの顔が見たいから頑張ろう」と。そして、ちゃんと自分を見てくれている人のことは信頼できると思うものです。そんな本気の「いいね顔」は、ウソやおべんちゃらではなかなかできません。

褒めるときもやはり本気で、言葉だけじゃなく、本心で相手を称える気持ちがいちばん響く、ということなのかもしれません。恋人や家族や仕事仲間に、「好きだ」「最高だ」「愛してる」なんて照れくさくて言えないときは、「いいね顔」を会得し、実践してみてはいかがでしょうか? フェイスブックの「いいね!」を押すより、リアルで相手に「いいね顔」です。

(文=野々村 友紀子:放送作家)