「寝ても疲れが取れない人」に迫る体の危険

「いびきがうるさい」。それは危険の兆候かもしれません(写真:Syda Productions / PIXTA)

だるさが残る…その原因は「睡眠時無呼吸症候群」かも

「朝起きた時に口が乾いている」「スッキリ起きられない」「頭痛がする」「起きている時も眠気、倦怠感、だるさがあって、集中力がもたない」などの症状はありませんか?もしかしたら、眠っている時に呼吸が止まっている病気である「睡眠時無呼吸症候群」かもしれません。

筆者は歯科医師としての知見や経験を基に、歯や口周りの情報を「ムシバラボ」というサイトで発信していますが、その中で紹介していることの1つが、睡眠時無呼吸症候群が体に与える悪影響です。睡眠時無呼吸症候群になると、仕事中に眠気が来て集中できずミスを犯してしまう可能性や、運転中に眠くなり事故を起こしてしまう可能性が出て来ます。

睡眠時無呼吸症候群はSAS(Sleep Apnea Syndrome)とも呼ばれ、眠っている間に呼吸が止まる病気です。無呼吸とは呼吸が10秒以上止まっている状態を指し、これが7時間に30回以上、もしくは1時間に5回以上あれば睡眠時無呼吸と言われています。

原因は大きく分けて2つあります。1つめは空気の通り道である上気道が物理的に狭くなる「閉鎖性睡眠時無呼吸タイプ」。もうひとつは呼吸中枢の異常による「中枢性睡眠時無呼吸タイプ」です。SAS患者の約9割が前者といわれています。

眠っている時に気道が塞がる原因はいくつかあります。下あごが後ろに引っ込んでいたり、舌を支える筋肉が緩むことで舌が下がったり、口蓋垂(のどちんこ)が下がったり、首や喉周りに脂肪が付いていたりなどが挙げられます。

眠っている状態でたびたび無呼吸になるということは、体の酸素が減っていくということ。眠っている本人は気付いていなくても、酸素不足を補おうと脳や体に大きな負担がかかっています。すると睡眠時だけでなく、日中の活動にも影響を及ぼすのです。

以下の症状があるようでしたら、ちょっと疑ってみても良いかもしれません。また、眠っている間のことは自分では気付きにくいので家族やパートナーに聞いてみるのもいいかもしれません。

■日中起きている時
・強い眠気がある
・倦怠感、だるさ、疲労感を感じる
・集中力がもたない
■朝起きた時
・口が渇いている
・スッキリ起きられない
・頭痛がする
・体が重く感じる
■夜眠っている時
・いびきをかく
・いびきが止まり、再びいびきをかき始める
・呼吸が止まる、乱れる
・息苦しそうにする
・何度も目が覚める
・寝汗をかく

治療方法には、症状を緩和させるものと、根本的に睡眠時無呼吸症候群の原因を取り除くものとがあます。どちらも患者さんの状態や症状に合わせて最適な治療方法を選んでいきます。

さらに治療方法に加えて、まず睡眠時無呼吸症候群になる原因となった生活習慣の改善が必要になる可能性もあります。肥満気味の方の場合は首・喉まわりの脂肪が気道を狭くしている可能性がありますので、減量も治療の一環になります。また、鼻づまりや鼻の諸症状で鼻呼吸がしにくい場合には、まず鼻症状の改善から取り組む場合もあります。

代表的な治療方法

代表的な治療方法は以下の3種類です。

①CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure、経鼻的持続陽圧呼吸療法)
②マウスピース療法
③外科的手術

CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効です。寝ている間の無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて、気道を開存させておくという治療方法で、欧米や日本国内で最も普及しています。CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれます。