過酷な中学受験を「幸せに乗り切る」親子の秘訣

子どもの難関校受験を乗り切った親の秘訣とは?(写真:studio-sonic/PIXTA)
毎年、首都圏に住む多くの親子が挑む中学受験。2021年はコロナ禍の中でしたが、受験者数は例年同様の高水準となり、人気の高さが改めて確認されています。
3年以上にわたることも多い塾生活を穏やかに乗り切り、目指す成果に近づくにはどうしたらいいか。わが子の難関校受験を乗り切った親の秘訣とは?『働くママの成功する中学受験 「仕事と受験サポート」両立メソッド100』の著書のある清水久三子さんに伺いました。

PDCAを子どもの受験勉強に活用

仕事を持つ母親の大きな悩みの1つが、子どもの勉強のサポートではないでしょうか。このコロナ禍でも中学受験者数は前年を超え、ハイレベルな過当競争はますます過熱傾向にあります。合格を手にするには子ども自身が自律的に取り組むとともに、親のサポート力が欠かせません。

そんなふうにいうと、中学受験を考えはじめた働くお母さんは躊躇されるかもしれませんね。でも、ご安心ください。仕事で使う「PDCA」を子どもの勉強に取り入れると、子ども自身が自分から勉強を進められるようになるのです。このノウハウを知れば、超多忙な働く親でも無理なくサポートできます。

PDCAとは、Plan(計画)―Do(実行)-Check(振り返り)-Act(改善)の略で、もともとは業務の継続的な改善を目的とした仮説検証サイクルです。ポイントは、実行する人自らが「こうしたらよいのでは?」という仮説を立て(Plan)、強制されることなく実行し(Do)、行動のよい点と悪い点を振り返り(Check)、では次はこうしようと改善策を考えるもの(Act)です。

あくまでも子どもが自分で回せるようになることを目指して、親がサポートしていくもので、だれかが立てた計画を無理やり実行させられるのはPDCAではありません。物事は、動きはじめるときに最も動力が必要です。PDCAも同様で、はじめにしっかりと親が後押ししてあげることで子ども自身が回しやすくなります。

PDCAを習慣づけるには、週単位のスケジュールシートを作って「見える化」するのがオススメです。

(画像:『働くママの成功する中学受験 「仕事と受験サポート」両立メソッド100』より)

塾は1週間で4教科の授業が組まれ、土日に確認テストや模試などが設定されているため、PDCAサイクルも週単位で把握するといいでしょう。

シートにはまず、学校や塾の授業、テスト、習い事などすでに決まっている予定を入れ、次に日ごとに学習計画などのルーティンを記入し(P)、右の部分にやったかどうかを〇×で記入します(D)。下の欄には振り返り(C)や改善点(A)を記入します。細かく書き込む必要はありませんが、子どもと勉強内容や予定を共有することで計画的に進める目安となります。

短い勉強時間でもこんなに差がつく「振り返りスキル」

PDCAの中でとくに重要なのは勉強の進捗とテスト結果を確認するCheck(振り返り)です。よくある振り返りの失敗例は次のとおりです。

① そもそも振り返らない
② 「どうしてできないの?」と親が問い詰める
③ 「次は気をつけよう!」と気合い入れで終わる

このうち、②の「どうして?」という言葉は相手を責めるニュアンスが強く、反発を招きます。理由を聞き出したいときは「こうなった原因は何だと思う?」などと聞くと子どもも客観的に考えやすくなります。

子どもはテストの成績が悪いと不機嫌になり、振り返りを嫌がりますが、テストは単なるクイズではなく、できていないところを見つけ出し、確認するためのもの。できなかったところを理解できるようにすることでぐんぐん学力がついていくのだと子どもに伝えましょう。