仕事のできない人は良い段取りがわかっていない

在宅でだらけず超集中・高生産に――。やる気には「テクニック」があります(写真:Pangaea/PIXTA)
コロナで在宅ワークが普及して1年。在宅慣れも手伝って、家だと仕事モードに入るのに時間がかかったり、やる気がなかなか出なかったりすることも。周囲の目がなく、スマホや動画といった誘惑に手が伸びることもしばしば・・・・・・。
世界中のCEOや起業家300人以上に「生産性を上げる時間の使い方」を尋ね、エッセンスをまとめた『超速』の著者ウィル・デクレール氏が、集中力をキープし、仕事に没入できる「超・高生産テク」を本書からピックアップしてお伝えします。

「大きいもの」から始める

私は作業効率を上げるメソッドやアプローチを日々模索している「生産性オタク」です。

その素晴らしい手本が「スタートアップ企業」。限られた時間と資金で成果を生み出してきたスタートアップは、時間管理のアドバイスを求めるのにうってつけと考え、「日常生活の中で最も時間の節約になっていることを1つ教えてください」というメールを世界中の起業家やCEOに送りました。

結果、300人以上から返答をもらうことに成功。とんでもなく生産性の高い人たちが実際にやっているテクニックを紹介します。

まず、多くの起業家が挙げたのが、「仕事を始める順番」の重要性です。なかでも、「最も困難な仕事から手をつける」という声が数多くありました。

目の前に空っぽの大きな瓶があり、その横に岩と小石と砂が置かれていると想像してください。それらをできるだけ多く瓶におさめるとしたら、どの順番で入れるのがいいでしょう?

(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

(出所)『超速』(サンマーク出版)

岩と小石と砂は、その日に取り組む仕事を表します。大きなものほど重要性の高いタスクです。1日の最初に小さなタスクに集中すると、次に示す図のように大きなタスクを処理するスペースがなくなります。

(出所)『超速』(サンマーク出版)

どんな日でも最優先したいのは、「大きな岩は何か」を把握し、そこから手をつけることと起業家の多くが口にしています。「常に最も難しいタスクから手をつける」、これに関してマーク・トゥエインはこれ以上ない表現をしています。

「朝いちばんに生きたままのカエルを食べてしまえば、それ以上悪いことは起きないだろう」

ちなみに、私が話を聞いた起業家のうち、夜に生産的になると答えた人は1人もいませんでした。

難しいタスクは「分解」する

大きなタスクに取りかかる際、立ちはだかるのが「始動に時間がかかる」問題。

人は、困難な状況に直面すると、脳がその状況に抵抗し、ストレスの少ないほかのことを見つけようとします。脳は、すぐに満足感を与えてくれる行動を何よりも優先しようとします。

この始動の問題を克服する方法として、複数の成功者が挙げたのが「タスクを、まずはシンプルで完了しやすいサブタスクに分割する」方法です。

たとえば、プレゼンの資料を作成する場合、「プランを書き出す→メンバーにメールを送る→……」といった具合に、彼らは細かなステップに分解します。そして、それをメモして簡単なTo Doリストにします。そうして取り組みやすい形に分割して書き出し、1つ完了するたびに線を引いて消していくことで、彼らはモチベーションを維持して完成まで漕ぎつけるのです。

そして、成功を収めた起業家の多くに共通するのが、「とにかく始動が早いこと」。

作家スティーヴン・プレスフィールドは次のように書いています。「本物の作家が知っていて、作家志望者が知らない秘密がある。難しいのは執筆することではなく、書くために座ることなのだ」