「ミスの多い部下」を一人前にする具体的解決策

頭ごなしに批判しても、人は動きません(写真:つむぎ/PIXTA)
組織において、「要領の悪い社員」や「ミスの多い社員」は必ず一定数存在するもの。こうした人たちには「次から気をつけてね」と言っても、あまり効果が見られないのはよくある話です。もしも仕事先で、こうした部下や同僚を持ってしまった場合、どう対処すればいいのでしょう? ビジネスコンサルタントの大塚寿氏の新書『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30』から一部抜粋・再構成してお届けします。

要領の悪い部下は、必ず一定数存在するものです。原因としては、仕事の段取りについて意識が薄いケースがもっとも多いのですが、中にはある特定の業務に関して、業務の流れがまったくイメージできないという人もいるのです。

ある時、Eさんが広いフロアのあちこちを回って何かの封筒を配っていました。どうやら封筒が並んでいた順番に、名前を座席表で確認しながら配っているようでした。マネジャーは「要領が悪いな」と感じたそうです。最初に座席表に沿って、封筒の順番を並べ替えてしまえば「フロアのあちこちを回って何かしている」とは映らなかったに違いありません。

イメージしていただきやすいように、単純な例を示しました。仕事の要領というのはこの類のことで、非常に個人差が大きいと同時に、個々人の生産性の違いを生み出す元凶でもあります。しかも、その部分は育成がもっとも難しい分野で、一朝一夕には改善できないケースも少なくありません。

上司や先輩は受け身にならないように「部下に任せて育てたい」ところですが、この場合は完全に任せてしまうと、要領の悪さは改善しませんので、条件付きで任せざるを得ません。

「正しいフォーム」を身につけるのが先決

意図としては、まずは正しい手順や段取りで仕事が進められるようなレールに乗せます。正しいフォームを身につけてもらうのが第一義になりますから、

「ここに手順書と起こりやすい不測の事態がまとめてあるので、これに従って仕事を進めて、何か起こったら必ず声をかけてくれるかな。自分で判断して進めないで。私がいない時はチームの〇〇と××には言ってあるので、聞いてから進めてね」

といったアプローチが基本となります。

この際、気をつけて欲しいのは、手順を「説明」で伝えようとしても、特に要領の悪い人には伝わらないことのほうが多いので、かならず手本になるような手順が書かれたメモや手順書を示しながら説明することです。しかも、その手順通りに進めないで、適当に「エイヤ」でやってしまう人もいますから、分からなくなったり、何かあったらそのまま進めず周りに確認しながら前に進めるように、という一言も加えるようにしましょう。

一方で、こうした育成方法は「部下・後輩や新人の依存心」を増長してしまうという向きもあるのですが、あくまでレールに乗せるまでの時限措置です。レールに乗ったら徐々に自分の頭で考えさせ、自己決定で行動させるというステップに移るという流れになります。

依存心を生ませずに要領の悪さを改善したい局面になったら、「仕事には外しちゃいけない勘どころがあって、まずはそこを押さえて欲しいので、その都度、共有していくね。必ずメモを取って記録して、振り返りをやってね」と「メモ」と「振り返り」を促す方法が定番です。

「振り返り」というのは、自分が選択した方法やプロセス、成果物の検証で、「PDCA」(Plan-Do-Check-Act)の「Check」になります。

「メモ」通りに進めたのか、出来具合い、所要時間は適性だったかなどの基準を用いるといいでしょう。さらに、もっと能動的なレベルを期待する段階では、「今の仕事をもっと効率よくできるとしたら、まずはどこから改善する?」というトークがありますので、試してみてください。