結婚で「幸せになれる人」不幸になる人の僅かな差

次に「ゼクシィ結婚トレンド調査2019 首都圏」からわかるのは、「経済的な安定」「世間体が気になる」といった理由だけでは、人はなかなか結婚しない、という事実です。よく、女性は年収が高い男性ばかり狙うから高望みだ……なんて話がテレビやネットには登場しますが、実際にはそうでもありません。

むしろ、私が結婚相談をお伺いしていていちばん人気だと感じるのは「年収も、性格も、外見も、そこそこ」な男性です。どこか尖った特技がある人よりも、欠点がない男性を結婚では求めるのでしょう。私はそれを、結婚の失敗を恐れている意識のあらわれと見ています。

ベースには愛情、そこに追加して世間の一般的な流れに従うことの楽さ。これらを勘案したときに、人は結婚を選ぶのだと推測できます。

離婚を選ぶ夫婦は、なぜ離婚するの?

次に、離婚組の理由も見てみましょう。離婚理由で常にトップへ躍り出るのは「性格・価値観の不一致」ですが、そんなの結婚する前にわかるじゃない? と、結婚する前の私は思っていました。統計データだけでは伝わりきらない部分もありますので、この本に先駆けて「ぶっちゃけ、離婚した理由を教えてください」とアンケートを取ったところ、200件程度の回答をいただきました。そこから「価値観の不一致」に該当すると思われるものを、一部紹介します。

――夫が思ったよりだらしない人だった。子供が産まれても深夜2時、3時まで飲んでくるのは当たり前で、いちばんつらいときに育児参加してもらえなかったことに失望しました。子供ができる前は私も外食が好きだったので気にならなかったのですが、子育てを始めてから耐えられないと考え始めました。
――私の両親とうまくいかなくなったためです。結婚当初はお互いに仲良くできていたのですが、母が重度の糖尿病になり、介護問題になったときに話し合いからひたすら逃げ続けました。夫は温厚な人だと思っていたのですが、こういったトラブルに向き合わず逃げるクセがあります。それで私の父とも関係が悪化してしまいました。私も、彼のそういった対応に失望して、お別れを選びました。

夫に好きな人ができて「離婚してほしい」と

――夫から離婚してほしい、と言われました。夫に好きな人ができたそうです。40代も後半になってまさか、と固まってしまいました。私はこの世代でも初の総合職としてバリバリ働いてきたほうだと思いますが、夫が好きになった相手は癒やし系の若い女性でした。浮気ではありませんが、夫が私のような女とはもう一緒に過ごしたくないのだな、と思って離婚を決意しました。
――もういいかな、と思ったからです。夫は恥ずかしい話ですが、風俗へ通うクセがありました。私はそういうのをまったく受けつけないので、やめてほしいと何度も言ってきました。結婚前には親や友達へも相談しましたが、「それくらい許してやれ、結婚をやめるほどじゃない」「風俗は浮気じゃないんだから」と言われ、そうかもしれないと思いたかったのです。しかし、息子を妊娠中に(風俗へ)行かれたとき、何かがプツンと切れたというか、もう耐えている自分のことを嫌いになってしまいそうだから、別居は絶対にしよう、と思いました。それから2年かけて話し合い、離婚へ至りました。
※読みやすさ改善のため、改行や句読点、誤字脱字の編集を筆者が行いました。

また、どこからが浮気か、実母の介護にどこまでパートナーが相対すべきか、など、一概に「夫が悪い・妻が悪い」と断定できないようなケースが、ほかにも多数見られました。中にはDVや宗教、借金問題などさもありなん……といった事情もレポートに上がりましたが、それらは少数派。健康、経済、子育て、転職といった人生の重い課題に当たったとき、相手とのコミュニケーションがうまくいかないと、人は別れを選ぶ傾向にあるようです。