「新学期の登校辛い子」にぜひ試してほしい3行動

つらいときは学校に行かないというのも重要な選択です(写真:タカス/PIXTA)
新学期が始まり、学校へ行くのに抵抗感を覚える子に大人はどうやって対応をするのがいいのでしょうか。近著に『学校では教えてくれない 自分を休ませる方法』がある精神科医の井上祐紀氏が解説します。

「休むこと」には自分を守る意味がある

「休む」という言葉から、どんな印象を受けますか。学校を休む、部活を休む……。「休む」には、「するべきことをしていない」といったネガティブなイメージがつきまとっているのではないでしょうか。

でも本来の「休む」とは、休息をとってリフレッシュすること。誰にとっても絶対に必要なことであり、子どもの場合、何らかの事情から、自分を休ませるために「学校に行かない」という選択をすることもあります。私はこうした場合を、「不登校」ではなく「自主休校」と言い表すのがよいと考えています。

「休むこと」には、自分を苦しめるものから距離をおいて「自分を守る」という大切な意味があります。苦しさの原因はさまざまですが、誰にとっても大きなストレスとなるのが、「安全」や「健康」がおびやかされることです。

私は、そのような場合はすぐにでも自分を休ませたほうがいい、と考えています。まずは自分を苦しめているストレスの原因からいったん離れ、しっかり力を蓄える! そうやって元気な自分をとり戻すことが、問題の解決にもつながります。

つらさを感じたとき、試してみてほしいのが「自分を助ける」ために役立つ3つのステップ。流れの基本は「整理する→つながる→対処する」です。

つらさやストレスを感じたとき、いちばんしてほしくないのが、誰にも相談しないまま我慢してしまうことです。嫌なことも我慢して自分だけで問題を乗り越えることばかりを目指す必要はありません。

3つのステップのうち、最も大切なのが「整理する」段階です。「整理する」目的は、自分に何が起きているのかを知ること。そのうえでどこにつながり、どんな対処をすればよいのかを考えていくことになります。「起こった」(できごと)→「感じた」(感情・感覚・思考)→「どうなった」(変化したこと)の順に整理してみましょう。

休むタイミングに「ちょうどいい」は存在しない

お悩み1:本当は休みたいのに休めない
①起こった:朝、登校準備を始める。
②感じた:体がだるい。学校に行きたくない。休みたいけど休めない、と思う。
③どうなった:無理をして学校に行くけれど、授業に集中できない。

自分をリフレッシュさせるための休みをとる場合、休むタイミングには「早すぎる」と「遅すぎる」しかありません。自分を休ませることに関して、「ちょうどいい」タイミングは存在しないんです。

毎日の生活に必要な冷蔵庫を例にしてみましょう。なんだか庫内が十分に冷えていない気がする……などと思いながらも、「まだ大丈夫」と使い続けたとします。するとある日、電源が入らなくなってしまう。製氷室の氷が溶け出し、床はビショビショ。暑い季節だったら、お肉やお魚も傷たんでしまうでしょう。

「少し調子が悪いけれど、まだ使える」時期に買いかえる決心がつかないのは、早すぎるような気がするからです。でも、完全に壊れてから買いかえたのでは遅すぎですよね。

遅すぎた場合、床掃除をしなければならないし、食品を無駄にしてしまうし、新しい冷蔵庫が届くまでの間、生活が不自由になるし……と、よくないことばかり。「どうしてもっと早く買いかえなかったんだろう」と後悔するはずです。

自分を休ませることも、これと同じです。学校に行きたくないな、今日は休みたいな、と思いはじめた時点では「まだ早すぎる」と感じてしまう人が多いんです。でもそのまま我慢していても、「今がまさに休みどき!」なんて瞬間はやってきません。そして無理を重ねると、心や体の調子を崩してしまう可能性があります。そうなってからでは「遅すぎる」のです。