「絵が下手な人」と「上手い人」、ただ2つの決定的差

「絵が下手な人と上手い人の決定的な差」とは? (写真:buritora/PIXTA)
世界で最も人気のある著名な絵画講師のひとりで、アメリカの大人気番組『マーク・キスラーのイマジネーション・ステーション』の司会を長年、務めるマーク・キスラー氏。
優れたテレビ番組、テレビ業界の功績に与えられる、最も権威ある文化賞のひとつ「エミー賞」も受賞し、2011年に出版した初の著書『You Can Draw in 30 Days』(未邦訳)は、世界中で大ベストセラーとなるほど人気を博している。
そのキスラー氏がこの度、前著をさらに進化させた「超時短30分バージョン」として、「キスラー式メソッド」をすべて1冊に凝縮した『誰でも30分で絵が描けるようになる本――たった「4つのステップ」で、驚くほど絵が上手くなる!』を上梓した。
「わかりやすく」「親しみやすく」「ユーモアに満ちた」解説が添えられた本書は、キスラー氏にとって待望の初の日本語の訳書で、日本でも発売たちまち大増刷するなど、話題を呼んでいる。
「誰でも30分で絵が描けるようになる!」という「キスラー式メソッド」はどんなものか。本書の内容を再編集しながら、「絵が下手な人と上手い人の決定的な差」について解説する。

「絵が下手な人」に欠けているもの

「あの人は絵が上手い」「あの人は下手だ」、そんなふうに言ったり、耳にしたりすることがあるでしょう。その差は、いったいどこにあるのでしょうか?

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私はこれまで、数万人の大人や子どもに向けて「絵の描き方」を教えてきました。身近な題材、たとえば「ドーナツ」や「家」を描いてみようと提案したとき、「絵が上手でない人」は、決まって次のような描き方をします。

それは、小さな円の周りに大きな円を描いた「ドーナツ」や、正方形の上に三角形の屋根をのせた「家」の絵です。

なぜそれらが「上手な絵」に見えないのかというと、そこには「あるもの」が欠けているからです。

「上手な絵」を、ここでは「まるで本物のようにリアルな絵」と定義しましょう。では、円が2つ重なった「ドーナツ」や、三角形と四角形で構成された「家」が、「上手な絵」に見えない理由は、どこにあるのでしょうか。具体例を挙げて解説していきます。

「絵が下手な人」と「上手い人」の差、1つめは「立体感」を表現できるかどうかです。「スマートフォン」を描いてみると、よくわかります。

【決定的な差①】「立体感」の有無

みなさんは、スマートフォンをお持ちですね? 今まさに手にしている人も多いはずです。

便利ですが、まわりが見えなくなるほど人を夢中にさせる「スマートフォン」。こんな当たり前のように使っている身近なものこそ、「おもしろい絵の題材」になります。

スマートフォンの形は、いうまでもなく長方形です。しかし、ただ長方形を描いても、リアルな絵に見せることができません。なぜなら、そこには「立体感」がないからです。

スマートフォンの形「長方形」をそのまま描いた図。このままでは立体的な絵にはならない(出所:『誰でも30分で絵が描けるようになる本』)

では、どのように描くと、「立体的に」見えるのでしょうか。

スマートフォンを「立体的に」見せるワザ

私の「30分方式」の描き方では、対象を身近な「基本図形」に分解して「設計図」を作ることから始めます。

まず、左側に傾けた斜めの「長方形」を描きましょう。その後、最も高い位置にある右上の角を頂点とした「三角形」を取り除きます。