メールが劇的に伝わりやすくなる3つのポイント

口では伝わるのに、文章だとなぜか伝わらない……と悩んでいませんか?(写真: jhphoto/PIXTA)
コロナ禍をきっかけに定着したリモートワーク。対外的なメールだけでなく、社内コミュニケーションにおいても対面から文章へと比重が大きく傾きましたが、文章で伝えるのは苦手、というのは少なくありません。そこで本稿では、『マジ文章書けないんだけど』著者で、朝日新聞社元校閲センター長、文章コンサルティングファーム「未來交創」代表取締役などを務める文章のプロ、前田安正氏が伝わりやすい文章を書くコツを伝授します。

文章で伝えるのが苦手な人は少なくない

社内やプロジェクトチーム内でのコミュニケーションにおいて、Slack、Microsoft Teams、LINEなどのチャットツールの活用が増えました。「仕事が早く進められるようになった」との声がある一方、「文章で伝えるのは苦手。発言するのが怖い……」という悲観的な声も耳にします。

「話が勘違いされやすい」
「期待通りの返事がもらえない」
「いつも不安で落ち着かない」

こんな悩みを持つビジネスパーソンに向け、本記事では、拙著『マジ文章書けないんだけど』より、3つの例題をご紹介。それらの文章の改善に、ぜひチャレンジしてみてください!

【1】主語と述語、ちゃんとかみ合っていますか?

<例文 1>
 このモデルは背が高くて脚が長くスタイルがいいので顔が小さく、どんな服でもよく似合うモデルだ。

まずは、この例文を見ていきましょう。何となく言いたいことはわかるのですが、不自然なところがあります。お気づきでしょうか。

まず、「このモデルは……モデルだ」という構造になっています。これは「は」という係助詞(副助詞)が、遠い述語(述部)にかかるという働きによるものです。そこに、「脚が長くスタイルがいい」「顔が小さい」「どんな服でもよく似合う」という要素が詰め込まれているのです。そのため、主語と述語の関係があいまいになってしまうのです。

複雑な構造になったもう一つの原因が「ので」という根拠・理由・原因を表す接続助詞です。接続助詞は文の要素をつなぐ役目があります。例文の場合、「顔が小さい」の理由が「背が高くて脚が長くスタイルがいい」から、という説明になってしまっています。顔が小さいのは、背の高さとは直接関係ありませんね。

以上を踏まえ、わかりやすい文章に作り替えてみてください。ポイントは、文の要素を分けて主語と述語の関係を明確にすることです。

<改善例 1>
 このモデルは背が高く脚が長いのでスタイルがいい。加えて顔も小さいので、どんな服でもよく似合う。

改善例を見てください。

まず、背の高いモデルのスタイルがいい理由を、1つの文にまとめて言い切ります。そして、「顔が小さい」に関してはスタイルのよさの一因ではありますが、背の高さとは直接関係ないので切り分けています。最後に、「どんな服でもよく似合う」という要素でまとめました。

■ポイント
・主語と述語をしっかり対応させる。
・1つの文は1つの要素で書く。

丁寧に書くことと何度も同じことを言うのとは別

【2】あれこれ言っても伝わらないぞ! 言葉を整理しよう

<例文 2>
 会社の帰りに最近できたハンバーガーショップに行った。バーガーショップでハンバーガーとコーンスープとコールスローを頼んで支払いをして、出店した。
 翌日、財布がないことに気づいた。慌ててバーガーショップに電話をしたら、店で預かってくれていた。
 この間1日、店頭に寄って財布を返してもらった。

これも、何となくわかるけれど、どこかぎくしゃくした印象になっています。短い文章の中に「ハンバーガーショップ」が2回、「バーガーショップ」が1回。同様の言葉が計3回も出てきています。