「辛口ばかりで疎まれる人」が見落とす盲点

「ポジティブフィードバック」を習慣化すると、周囲の目がきっと変わります(写真:xiangtao / PIXTA)

筆者はこれまで、多くの日本企業の現場で、経営改革、組織改革、人材育成を支援してきました。社員数万人の大企業から、数人で運営するベンチャーまで、実にさまざまな職場を見てきましたが、その中でどうしても気になることがあります。それは、「きつい物言い」で職場の士気やアウトプットの量を下げる、残念な上司、残念な職場があまりに多いということです。

日本企業の職場で多く見られる「きつい物言い」

部下が結果を出せないとき、むしゃくしゃして気分が悪いとき、人はどうしても相手を否定するようなネガティブな言い方をしてしまいがちです。

「ばかやろう」

「ぜんぜんダメだな」

「社会人何年やってるの?」

「人の話聞いてた?」

インパクトのある言葉を使うことで、劇的な改善を促したいのかもしれませんが、言葉がきつすぎます。「若い頃、自分もこのくらいは先輩に言われてきた」という反論が聞こえてきそうですが、だからそれでいいということにはなりません。今の時代に冷静に見てみると、パワハラです。

筆者は海外企業の現場も長く見てきましたが、こうしたケースは日本企業に多く見られます。

きつい言葉を使っても、何もいいことはありません。結果を出せなかった部下や取引先は、怒られなくても、すでに反省していたり、自己嫌悪に陥ったりしています。口では反論や自己弁護をしていたとしても、心の中は別で、本当はがっかりしているのです。

そういうとき、腹を立てて相手をなじっても逆効果です。やる気をそいだり、さらに落ち込ませたり、うるさがられて避けられたり、嫌われたりするだけです。

そんなとき、ぜひ一度試してほしいことがあります。それが「ポジティブフィードバック」です。

ポジティブフィードバックとは、部下、他部門、取引先などとのやり取りを明るく、ポジティブなトーンにすることで、コミュニケーションをスムーズにしてくれるちょっとした工夫です。ちょっとした工夫ですが、効果は絶大です。

仕事上の摩擦を減らしながら生産性を上げ、かつ費用もかかりません。効果を感じるまでも速く、リーダーシップも強化されます。

まさか?と思う方もいるかもしれませんが、以下に述べたやり方でぜひトライしてみてください。仕事以外、特に家族や付き合っている相手に対しても、大きな効果があります。

ポジティブフィードバックの具体的なやり方

具体的なやり方は、状況によって若干異なりますので、それぞれご説明します。

まず、「よい結果」に対して。外部と連携するプロジェクトを大成功させたケースなど、ここぞとばかりに、「すばらしい。本当によかった」「これはすごい」「よくこんなにうまくできたね」「びっくりしたよ。すごくうれしいよ」などと大きく褒めます。遠慮、躊躇なく褒めてください。

相手が図に乗るのでは、次からサボり始めるのではなど、心配をする必要はありません。手放しに褒めつつ、感謝の気持ちを心から伝えます。1対1で褒めるのもいいですが、同僚の前で行うとさらに効果的になります。

次に、「ちょっとしたよい結果」に対してです。大したことではないから、などと考える必要はありません。たとえば、新人が1人で企画書を仕上げることができたという場合。「よくやった」「すばらしい」などと言ってみましょう。

大事なのは、その場で褒めること。「後でまとめて」とか「もし何回かあったら」などと、出し惜しみしてはいけません。日本の男性の多くはこれがとにかく苦手です。せっかくの機会を逃しているのがもったいないと思います。

褒めたとしても、つい同時に問題を指摘し、改善点を伝えたくなりますが、その場は褒めるだけにしましょう。そうしないと「なんだ、珍しく褒めてくれたと思ったら、文句を言う前置きだったのか」とがっかりさせ、効果がなくなります。裏切られた分、逆効果にもなります。フィードバックがある場合は、必ず場を変え、午前と午後、あるいは翌日にする、といったように間を空ける必要があります。