税務調査で妨害&嫌がらせ行為をするとトンデモないシッペ返しを食らう!

「Thinkstock」より

 元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな英単語は「bankbook」です。

 税金を賃金の財源とし、まったく喜ばれない税務調査や差押えを繰り返す国税局の職員は、納税者たちから嫌われています。よしんば嫌われていなくとも、好かれることはないでしょう。調査中には、海千山千の納税者から、さまざまな嫌がらせを受けることがあります。本連載記事『国税職員をヘロヘロにした税務調査先会社の「陰険&低レベルすぎる」嫌がらせ』において、コーヒーに塩を入れられる“エチオピアコーヒー”事案を紹介しましたが、一部の悪質ないじめ手法は、これにとどまりません。

●準備調査

 ある税務署から東京都道318号環状七号線(通称:環七)の外側に出たエリアにある法人に、税務調査を行うことになりました。これは、ひとつの傾向なのですが、環七を越えると納税率が下がります。重加算税も増え、税理士以外の人に確定申告書の作成を依頼する法人も散見されるようになります。

 調査を行う際は、まず対象法人の準備調査から始めます。準備調査の段階で、前回の税務調査の記事を確認すると、調査に非協力的である旨の記載がありました。調査の突然のリスケジュール、帳簿の提示に難色を示す、反面調査への激しい抵抗など、新米の調査官の気分を憂鬱にするには十分の内容でした。11月のある日、担当の税理士に連絡して調査日の予約を入れようとするも、折り返しの電話で決まった日程は2カ月後でした。税務署の繁忙期には調査の手を緩めると考えて、確定申告期間が迫る1月にしたのでしょう。

●実地調査

 予約した時刻の10分前に調査先の法人の前に着き、予約時刻ちょうどに受付を訪ねました。

 会議室や応接室ではなく、入り口外の喫煙所のベンチに案内されました。従業員が入れ代わり立ち代わりタバコを吸っている横で30分待たされ、ようやくビルの2階の資料室へと通されました。資料室には、机だけで椅子はなく、切れかけの蛍光灯がぼんやりと部屋を照らし、大音量で流れるカーペンターズの『Top Of The World』がカビ臭い壁に響いていました。

 その資料室でさらに立ったまま長時間待たされました。部屋を出て人を呼ぼうにも、どこに誰がいるのかもわかりません。トイレに行きたくなり廊下に出ると、男子トイレのドアには「使用禁止」の張り紙がありました。

 約30分待つと、経理担当者が手ぶらでやってきました。概況を話し、帳簿を確認したい旨を伝えると、「わかりました」と言ったきり20分戻ってきません。ようやく届いた総勘定元帳も1年分のみ。取り急ぎ、重要な部分をコピーして保存するために、コピー機を貸してほしいと所望すると、社内のすべてのコピー機が故障していると言います。にわかには信じがたいですが、どうすることもできません。代替案を考えねばなりません。また、税務調査では最大7年、最低でも3年分の帳簿書類を確認するので、他の年分の帳簿も要求しました。

 経理担当者は「わかりました」と言って部屋を出ようとしたので、一緒について行くことにしました。下の階に降り、事務所のような場所に入ると、社長と従業員2名が立って話をしていました。どうやら、どうやって調査を遅滞させようか考えているようでした。その横では、髪の毛をくすんだ茶色に染めた事務員の若い女性がコピー機を使用しています。

 このように、調査自体を拒否することはせず、ささやかな妨害をしてくることはままあります。それは、国税通則法によって税務調査の拒否ができないからです。

【国税通則法第127条(抜粋)】
 次のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金
二  第74条の2の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三  第七十四条の二の規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出した者