不動産会社の「家を買っても大丈夫」は要注意?住宅ローン「返せる額」を知る方法

「Gettyimages」より

 私は有料相談専門のファイナンシャル・プランナー(FP)として、年間300件ほどの家計相談を受けている。一番多い相談内容は「住宅購入」で、そのなかでも多いものの一つに「不動産会社で『買っても大丈夫』と言われた住宅の価格が、自分たちにとって高過ぎないか」がある。多くの人は、住宅価格の大部分を住宅ローンで借りたお金で賄う。「住宅の価格が自分たちにとって高過ぎないか」という質問は、「住宅ローンをいくらまで借りても大丈夫なのか」にほぼ等しい。

●借りられる額と返せる額は違う

 不動産会社の営業担当者が「買っても大丈夫」という場合、主に3つのパターンが考えられる。1つ目は単純に、「その金額を銀行から住宅ローンとして借りられる」というだけの意味で言っているケースだ。「借りられる額と返せる額は違う」とよく言われるように、返済していけるかどうかの根拠にはなっていない。

●「返済負担率25%以内」という目安は当てにならない

 2つ目は「返済負担率」を根拠としているケースだ。返済負担率とは、税込年収に対する住宅ローンの年間返済額の比率をいう。例えば、住宅ローン5,000万円を返済期間35年、金利1.4%で借りる場合、年間返済額は約181万円となり、税込年収1,000万円の人であれば返済負担率は約18.1%ということになる。

 住宅ローン借入額の目安としてよく使われているのが「返済負担率25%以内」であり、雑誌やウェブの記事でも目にすることが多いのだが、この目安はそれほど当てにならないと私は考えている。住宅以外の生活費はそれぞれの家庭で大きな差があり、また子どもの数によりかかる教育費もまったく異なる。また購入する住宅が一戸建ての場合とマンションの場合では、住宅ローン以外にかかる住宅コストにかなりの差がある。つまり、同じ税込年収でも住宅ローンの支払いに使える金額は家庭によりかなり異なるからだ。

 また、返済負担率が25%の場合、税金・社会保険料を引いた手取りの年収が税込年収の75%と仮定すると、住宅ローンの支払いは手取りの年収の約33%を占めることになり、子育て世代であればかなり厳しいというのは感覚的にも理解できるのではないだろうか。返済負担率25%で住宅ローンを借りたと仮定し「キャッシュフロー表」をさまざまなパターンで作成し、私は検証しているが、例えば子どもが2人の家庭では返済負担率が25%どころか20%以下でないと、老後まで充分な貯蓄を確保できないことも多い。

●キャッシュフロー表は生活費の設定が正確でないと精度が低い

 3つ目は上述したキャッシュフロー表を作成し検証してくれるケースである。キャッシュフロー表とは自身と家族の将来のライフイベントや家計の収支、貯蓄残高等を一覧表にしたもので、さまざまな仮定の上ではあるが、数十年先の貯蓄残高を予測できる。不動産会社が提携のFPをお客様に紹介し、検討している物件を購入し住宅ローンを借りたという仮定に基づき、キャッシュフロー表を無料、あるいは非常に安価に作成してくれるということも増えてきている。

 キャッシュフロー表を作成して検証するというと、精度が高そうに思ってしまうが、実はそうでもない。キャッシュフロー表上の老後の貯蓄残高に大きな影響を与えるのは、生活費の設定だ。世帯主年齢40歳未満の2人以上世帯の消費支出(社会保険料や税金、貯蓄型の保険料などを含まない支出額)の平均月額は約26万円(総務省統計局「家計調査」<平成28年 年報>)である。

 少々乱暴だが、35歳から95歳まで消費支出が変わらないとして、月額26万円と仮定した場合と同じく21万円と仮定した場合では、95歳時の貯蓄額は5万円×12カ月×60年=3,600万円も後者が多くなってしまう。つまり、月の生活費の設定を実際より数万円少なく設定してしまうと、価格がかなり高い物件を買っても大丈夫なように見えてしまうのだ。

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