市販カーナビ、需要蒸発で“叩き売り”状態…スマホ地図の普及が追い打ち

 カーナビ業界は、スマホの普及による販売の伸び悩みに加え価格競争が激化し、自動運転技術の開発費の増加など三重苦の状態だ。

 17年10月、トヨタ自動車系のデンソーが、富士通が55%出資する富士通テン(現デンソーテン)を168億円で取得して子会社にした。アルプス電気が経営統合を打ち出した子会社のアルパインは、今年12月5日に開催する臨時株主総会で統合を正式決定する。パイオニアは香港の投資ファンド、ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア傘下のファンドに500~600億円規模の第三者割当増資を計画。11月以降に正式決定する。

 そして今回、日立はクラリオンを仏ファルシアに売却する。この数カ月の間にカーナビ会社の再編が相次いだことになる。

 電子情報技術産業協会の統計によると、17年(暦年)のカーナビの国内出荷台数は5%増の582万台。2年連続で増えた。18年1~9月までの累計でも、前年より4%増えて459万台だ。カーナビの販売が落ちているわけではない。

 カーナビは売れているのに、カーナビメーカーはなぜ叩き売られるのか。市場構造の変化が起こった。かつてカーナビはカー用品店で購入するのが普通だったが、自動車メーカーが組み立てラインのなかで装着したり、ディーラーが取り付けて販売するケースが増えてきた。

 そのため、カー用品店などで売る市販用は、この5年間で2割ほど減った。市場が縮小したため安売り競争が激化し、市販用カーナビの平均価格は半分になった。カーナビメーカーは、自動車メーカー向けより利益率が高いカー用品店向けの市販で稼いできたが、ここでも利益が出なくなった。

 これがカーナビメーカーの叩き売りが始まった原因である。今後は、海外のカーナビメーカーを巻き込んだ再編によって勢力地図が激変しそうだ。
(文=編集部)