前作「脅感覚」でもテーマになっていた。今回、「水廷」に人災の要素はあったかというと、水害が一つのヒントだった。

　大きな流れの中に組み込まれたいくつかの意図が連鎖して、引き起こした、私は天災と呼ばれる災害についてそう考えるようになった。
　元凶の元を解いていけば実に複雑かつ誰もが加担していることが分かってくる。人間が悲劇を生んでいる。

　地球温暖化も環境汚染も海面上昇も異常気象も、すべて人間が急激に時計の針を進めた。地球の寿命を縮めているのは人間である。
　地球を壊していくのは人間なのだ。人間は賢すぎる知能で世界を破壊していく。

　武力を放棄したからといって、世界の中で武装しない国は、武力をちらつかせる国に守ってもらうしかなく、いいように搾取される側に下るばかりだ。
　言いなりの側もいつまでも化けの皮をかぶってヘコヘコしているわけではない。抜け道なんていくらでも。ようは「兵器」だと悟られずに、相手の力を削いでいけばいい。

　天災と称して、天候さえも兵器として操る。人為的に生み出した災害である。
　人間の知能は驚異と脅威を併せ持つ。世界という大きな枠組みを作り上げた才知と自分たちの世界を守るために巡らす知略。

　人間が作り出したものたちが人間を滅ぼしかねない。破滅の足音がすぐそこまで迫っている。

　人間は賢い。まちがいを正せるだけの賢明さを持っている。人間様だからと、おごりたかぶらず、地球の一員として謙虚に、破壊のない未来を築いていってほしい。