誰もが羨む大学生活。その実態は、女性をとっかえひっかえし、その武勇伝に悦に入る最低の男だった。そんな彼の人生は、一方的に捨てた元カノに刺されるという、自業自得の結末であっけなく幕を閉じる。――はずだった。

次に目覚めた時、そこは剣と魔法の異世界。強大な魔力を手に入れた彼は、前世の罪を償うかのように「人助け」を心に誓う。しかし、女性に刺されたトラウマは深く、他人との、特に女性との深い関わりを頑なに拒絶するようになっていた。行く先々で無自覚に人助けを重ねては「英雄」と称えられるが、その名声と女性からの好意は、彼にとって恐怖の対象でしかない。彼はただひたすらに、心の安息を求めて街から街へと逃げ続けるのだった。

そんな彼がようやく見つけた「天職」、それは誰もが匙を投げる「スーパーワガママ」な王女の護衛任務。「これなら絶対に好かれない」。王女からの侮蔑の言葉に安らぎさえ覚える主人公だったが、彼の誠実さと圧倒的な実力は、皮肉にも王女の凍てついた心を溶かしてしまう。暗殺の危機から命を救われた王女は、あろうことか護衛である彼に熱烈な恋心を抱いてしまったのだ。

最も恐れていた事態に、主人公は再び逃亡を図る。しかし、王女は「あなたの気持ちが冷めるまで、そばにいる」と宣言し、強引に旅に同行！ ぎこちない二人旅は、港町の鍛冶師、天才魔導士、女騎士といった個性豊かな仲間たちとの出会いを経て、やがて大陸を股にかける賑やかな冒険へと変わっていく。
旅を通じて、王女の意外な優しさや強さに触れ、主人公の心もまた確実に変化していた。花畑でついに前世の罪を告白した主人公と、それを受け入れた王女。二人の距離が縮まった矢先、大陸を揺るがす帝国の脅威が迫る。仲間を、そして自らが守ると決めた王女を「俺の大事な人」と叫ぶ主人公。

果たして彼は、女性を傷つけた過去のトラウマを乗り越え、今度こそ大切な人を守り抜くことができるのか。転落から始まった男の再生と、本当の愛を見つける物語が、今、始まる。