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第5章 天空塔ダンジョン編
EX34 少年とゴーレムの話・Ⅱ
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「ベル様。出撃の準備が整いました」
バリガンガルドにある城にて。
兵士がそう告げてきた。
「うん、ありがとう」
この城の真の城主であるベルは集まった兵士たちを見渡す。
かなりの人数の兵士が集まっていた。
元々はゴーレムだけでガレンシア本国に攻め入ろうと考えていたのだが。
想定外の心強い味方だった。
バリガンガルドの市民には、すでに城主の交代を公表していた。
街に大きな混乱は見られない。
もともと帝国領であり、城主が代わってもその事実は変わらない。
それにこの街には冒険者ギルドがある。
冒険者が大勢出入りし、彼ら相手の商売で栄えている。
それを制限するような施策を行わなければ、不満の声は上がらない。
だからこそあの男も支配権を簡単に手に入れられたのだ。
そう思うと少し複雑な気分にならなくもなかったが……。
ともあれ、ベルの計画は想像以上に順調だった。
次は、集まった兵士たちと百体のゴーレムを引き連れて本国へ向かう。
これだけいれば制圧は容易いだろう。
ガレンシア公爵は抵抗してくるだろうが、有無は言わせない。
チェインハルト商会からはじきに追加のゴーレムが送られてくるはずだ。
その数は四百。
総勢五百の鋼の兵士たち。
ガレンシア公爵が勝てるはずもない。
「待っていろ、ガレンシア公――いや、簒奪者ドリュマ」
ベルは控えるゴーレムたちに命令を下す。
「進撃開始!」
――しかし。
『…………』
ゴーレムが動かない。
「ん? どうした? 進撃だぞ」
『…………』
やはりピクリとも動かない。
つい数分前、この広場に整列させたゴーレムたちだ。
それが突然動かなくなるとはどういうことだろう。
そのとき。
ぐらりと地面が揺れた。
「地震!?」
「ベル様! 危ない!」
メイドのカタリナに呼びかけられ、上を見る。
まるでただの石像になったみたいなゴーレムがこちらに倒れてきた。
「っ!」
避ける暇などない。
確実に、ベルはゴーレムの下敷きになるはずだった。
「危ないところでしたね」
「エドさん!?」
エド・チェンハルトが手袋をはめた右手片手だけでゴーレムを支えていた。
ベルが避けると、エドは手を離す。
ゴーレムはそのまま倒れてしまった。
「エドさん、あなたは……」
ベルは目を丸くして彼を見る。
チェインハルト商会の代表であるエド・チェインハルト。
彼に、ゴーレムを支えられるほどの力も、特殊なスキルもなかったはずだ。
「僕だって元は冒険者ですよ。これくらいはね」
「いや、それにしても……」
エドの今の力は気になるが、今はそれどころではない。
「……とりあえずお礼を言っておきます。助かりました……それで、これはどういうことですか? 突然ゴーレムが動かなくなってしまったのですが」
「ええ。そのことについてお話ししなければと思い、飛んできたのです」
エドはいつになく真剣な表情で頷く。
気づけば、その傍には秘書のクーネアが立っていた。
「ゴーレムの突然の活動停止の理由。それと、ご提案を一つ」
「提案?」
「ええ。エド様にはガレンシア本国の前に、ヴォルフォニア帝国に攻め入っていただけないかと思いまして」
バリガンガルドにある城にて。
兵士がそう告げてきた。
「うん、ありがとう」
この城の真の城主であるベルは集まった兵士たちを見渡す。
かなりの人数の兵士が集まっていた。
元々はゴーレムだけでガレンシア本国に攻め入ろうと考えていたのだが。
想定外の心強い味方だった。
バリガンガルドの市民には、すでに城主の交代を公表していた。
街に大きな混乱は見られない。
もともと帝国領であり、城主が代わってもその事実は変わらない。
それにこの街には冒険者ギルドがある。
冒険者が大勢出入りし、彼ら相手の商売で栄えている。
それを制限するような施策を行わなければ、不満の声は上がらない。
だからこそあの男も支配権を簡単に手に入れられたのだ。
そう思うと少し複雑な気分にならなくもなかったが……。
ともあれ、ベルの計画は想像以上に順調だった。
次は、集まった兵士たちと百体のゴーレムを引き連れて本国へ向かう。
これだけいれば制圧は容易いだろう。
ガレンシア公爵は抵抗してくるだろうが、有無は言わせない。
チェインハルト商会からはじきに追加のゴーレムが送られてくるはずだ。
その数は四百。
総勢五百の鋼の兵士たち。
ガレンシア公爵が勝てるはずもない。
「待っていろ、ガレンシア公――いや、簒奪者ドリュマ」
ベルは控えるゴーレムたちに命令を下す。
「進撃開始!」
――しかし。
『…………』
ゴーレムが動かない。
「ん? どうした? 進撃だぞ」
『…………』
やはりピクリとも動かない。
つい数分前、この広場に整列させたゴーレムたちだ。
それが突然動かなくなるとはどういうことだろう。
そのとき。
ぐらりと地面が揺れた。
「地震!?」
「ベル様! 危ない!」
メイドのカタリナに呼びかけられ、上を見る。
まるでただの石像になったみたいなゴーレムがこちらに倒れてきた。
「っ!」
避ける暇などない。
確実に、ベルはゴーレムの下敷きになるはずだった。
「危ないところでしたね」
「エドさん!?」
エド・チェンハルトが手袋をはめた右手片手だけでゴーレムを支えていた。
ベルが避けると、エドは手を離す。
ゴーレムはそのまま倒れてしまった。
「エドさん、あなたは……」
ベルは目を丸くして彼を見る。
チェインハルト商会の代表であるエド・チェインハルト。
彼に、ゴーレムを支えられるほどの力も、特殊なスキルもなかったはずだ。
「僕だって元は冒険者ですよ。これくらいはね」
「いや、それにしても……」
エドの今の力は気になるが、今はそれどころではない。
「……とりあえずお礼を言っておきます。助かりました……それで、これはどういうことですか? 突然ゴーレムが動かなくなってしまったのですが」
「ええ。そのことについてお話ししなければと思い、飛んできたのです」
エドはいつになく真剣な表情で頷く。
気づけば、その傍には秘書のクーネアが立っていた。
「ゴーレムの突然の活動停止の理由。それと、ご提案を一つ」
「提案?」
「ええ。エド様にはガレンシア本国の前に、ヴォルフォニア帝国に攻め入っていただけないかと思いまして」
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