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第二幕
2-3・悩み事
しおりを挟むようやく願い事の方向性は決まったような気がしている。
健康に関して。
然乎さんもいいと言っていたし、一度そう考えると、それしかないような気がしてきていた。
とはいえ、結局それ以上は固められておらず、今度は健康とは何だろう、などと悩み始めてしまう。
流石に仕事が手につかないなどということはなかったが、どうやら自分でも気づかないうちに、思い悩む時間が増えていたようだった。なにせついにはあの上司に、
「麻菊。お前最近どうしたんだ? 何か悩み事でもあるのか?」
なんて聞かれる始末で。
「え? 俺、そんなに態度に出てましたか?」
俺は自覚がなかったので驚いた。
この上司がそんなことを聞いてくるなんて余程のことだ。
一度注意を受けて以来、出来るだけ仕事中は考えないよう心掛けていたのだが。
「あ~、そうだなぁ……仕事はいつも通りだが、休憩時間とかにな。ぼうっとしてることが増えてるぞ」
心当たりは勿論あった。
それにしても休憩時間まで観察されていたとは。実はこの上司は暇なのだろうか。いや、違うな。この上司が気付いてしまうぐらい、俺の様子がおかしかったのだろう。
「あ~……そうですね。悩み事って言えば、悩み事、ですかね……」
否定するのもおかしいだろうと思い、俺は曖昧に頷いた。
「言いづらいことなのか? 何かあれば相談しろよ」
「いや、大したことではないんですけど……でもそうですね、どうしてもだったら相談させてもらいます」
実際に悩みを聞く気などはそれほどないだろうけれど、一応といった具合にそう言われたので、俺も上司の言葉を無下にはせずに首肯した。
そもそも、上司に相談するようなことでもない。
なにせ俺の願い事の話なのだ。健康に関する願い事。
ふと、この上司ならどう願うのだろうかと一瞬思って。
だが、この間の今である。
あまりしつこくこの話題を引きずるのもよくはないかと思い直した。
ただでさえ上司には先日、健康というヒントをもらっている。
それ以上は、やはり自分で考えなければ。
でも。
然乎さんの、嬉しそうな様子を思い出す。やっぱり出来るだけ早く願い事は固めなければいけないな、再度、決意した。
この後。そんな悠長なことを言っていられる状況ではなくなることなど思いもせず。俺は自分のことだけを考えていたのである。
もっと早くに願っていれば、なんて。
後悔は、後から悔いるから後悔。
そんな言葉を痛感する瞬間は、すぐそこまで迫ってきていた。
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