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「んっ……あれ?」
目を覚ました俺が体を起こすと、薄暗い夕方の病室で、ハッとしたような声がした。
「周藤!」
叫ぶように俺の名を呼んだのは、風紀委員長だった。
「相良……? なんだよ、そんなに慌てて」
俺が首を捻ると、周藤が息を呑んで、目を丸くした。
「お前……自分の名前は分かるか?」
「はぁ? 何言ってんだよ。報道部部長の俺の名前を、俺が忘れるわけが――……あ」
そこで俺は、つらつらと述べていた口を止めた。
そうだった。
「あー!! お、俺! 記憶喪失になってた! え、なんでだ? 思い出したぞ!? 俺は、うん。え? あれ? 思い出したけど……あれ? 相良、お前俺に告白してなかったから!? いや、夢……?」
「馬鹿……っ」
相良はそう言うと、ギュッと俺を抱きしめた。それて涙を堪えるように息を呑んでから、俺の両肩を掴み、泣きながら笑った。
「夢なんかじゃない。俺はお前の事がきちんと好きだ。日記……読ませてもらった。もう、俺の事を諦めるなんて言わないでくれ。いいや、だというなら、今度は俺が追いかける」
「!」
その言葉に、俺は目を見開いた。それから、嬉しくなって思わず破顔した。
「追いかける相良なんて、校則違反の時しか思いつかねぇからお断りだよ! 一緒に――並んで歩こうぜ!」
俺が笑うと、虚を突かれた顔をしてから、相良も笑顔で頷いた。
――なんでも俺は、野球部が投げた結果窓ガラスを割って入ってきたボールで頭を強打して、その結果、記憶が戻ったそうだった。なんとも、運が良かったのか、悪かったのかは不明だが。その後の検査でも異常は無くて、俺の記憶が戻ったことを、学園中が喜んでくれた。同時に、委員長との恋が実ったことも。
「これからも、この部屋で過ごすか」
退院した俺は、風紀委員長と二人の部屋へと戻った。
すると玄関の扉が閉まった直後、俺を後ろから抱きしめた風紀委員長が笑み混じりの優しい声を放った。最近の俺は、控えめに言って溺愛されている。
俺が首だけで振り返ると、俺の頬に手を当てた委員長が、俺の顎を持ち上げてきちんと自分の方を向かせてから、首を少し傾けて、俺の唇に触れるだけのキスをした。思わず俺が赤面すると、優しい目をした相良が唇の両端を持ち上げて、今度は深いキスを俺に落とした。
「愛してる」
「うん」
「大切にする」
「もうされてるって」
このようにして、俺の恋は実った。
その後俺は、風紀委員長の腕の中で、いつまでも愛に浸ったのだった。
―― 終 ――
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