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第六章
第二話 王様との謁見
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俺はユリヤとテレーゼと一緒に、王様からの依頼を受けるために王城へと向かっていた。
ギルドの馬車は他のハンターが使うことになっていたので、俺たちは馬車を手配して移動している。
もちろんこの馬車代はギルドの経費だ。
「はぁー何だか退屈ね」
馬車の中で揺られていると、窓から外を眺めているテレーゼがポツリと言葉を漏らした。
どうやらテレーゼは全然緊張していないみたいだな。まぁ、世界の歌姫ともなると、王様たちに歌を披露する機会もあるだろうし、それなりに場数を踏んでいるのかもしれないな。
「退屈と言っていられるのも今の内だぞ。王様を目の前にしたら緊張するだろうから」
「それは心配ないわ。だってあたしは世界のトップ歌姫だもの! 王族の前で歌を披露することもあったから問題ないわよ。まぁ、今から向かうこの国の王様とは初めて会うけれどね」
堂々とした態度でテレーゼは自信満々に言う。
やっぱり王様たちの前で歌を披露したことがあったのか。
「私は逆に、テレーゼさんが慣れすぎて、王様の機嫌を損なうようなことを言わないか心配です」
「ユリヤ! いくらあたしでも外面くらいするわよ!」
そんなやりとりをしていると、いつの間にか馬車は城下町に辿り着いたようで、多くの建物が馬車の窓から見える。
「城下町に着いたみたいだから、そろそろ降りる準備をしよう」
「わかりました」
「一応お化粧の確認をした方がいいかしら?」
ポーチから手鏡を取り出し、テレーゼは自分の顔を確認する。
テレーゼ、化粧をしていたのかよ。ナチュラルメイクすぎて全然気付かなかった。
馬車が止まり、俺は扉を開けて最初に降りる。そして次に降りるユリヤとテレーゼに手を貸して降りやすくした。
二人が降りると、仕事を終えた御者は再び馬を走らせてこの場から去って行く。
俺たちの目の前には大きなお城が聳え立っていた。
「本物の城を見たのは初めてだけど、こんなに大きいんだな」
「本当ですね。何だか感動します」
「そう? あたしは何度か見ているから、今更なんとも思わないわね」
それぞれが感想を漏らす中、俺は招待状の入った封筒をポーチから取り出す。
「それじゃあ行こうか」
二人に声をかけ、俺たちはお城の門のところに向かう。
「そこの三人組止まれ!」
「何ようでここに来た! ここはお前たちのような庶民の来るところではないぞ!」
門に近づくと、突然門番たちが警戒して声をかけてくる。
「俺たちは王様から依頼を受けたハンターだ。王様からの招待状を受け取っている」
門番に自分たちの身分を明かす。そして俺は封筒から招待状を取り出して彼らに見せた。
「確かにこれは王様からの招待状だな」
「しかしそのようなことは聞かされていないのだが」
門番の二人は顔を見合わせるともう一度俺たちの方を向く。
「今から確認する。少々待たれよ」
そう言うと、門番の一人が門を開けて城の方に走って行く。そして数分して戻って来た。
「大変失礼しました。王様がお待ちです。謁見の間までご案内しますので、着いて来てください」
確認を取った男が頭を下げて謝ると、門を開けて俺たちを城の中へと連れて行く。
数メートル歩くと城の扉を開けて俺たちは中に入った。中も豪華な作りとなっており、天井には大きなシャンデリアがあった。
壁には絵画などが飾られ、埃の一つすら見当たらないほどの清潔に保たれている空間に、俺は圧倒される。
「|リュシアン【ピグレット》、初めてのお城で色々と興味があるのは分かるけど、あんまり挙動不審な態度を取らないほうが良いわ。変に怪しまれるわよ」
謁見の間を歩きながらテレーゼが小声でアドバイスをくれる。
そうだった。俺はギルドの命運がかかった大事な仕事をしに来ている。彼女の言うとおり、不審に思われるような態度を取らないようにしなければ。
今日のテレーゼは頼もしいな。
「ありがとう。お陰で今回の重要性を思い出した」
「別にお礼を言わなくて良いわ。リュシアンをサポートするのはわたしの仕事だから」
彼女は片目を瞑ってウインクをする。
「着きました。こちらが謁見の間となります」
謁見の間に着いたことを門番が教えると、彼は扉をノックする。
「例のハンターをお連れしました!」
「良い、入られよ」
門番が声を張り上げて俺たちが来たことを伝えると、扉の中から返事が返ってきた。
「で、では、私はこれで失礼します。くれぐれも王様に失礼のないように」
声を張り上げていたからか、門番は少し辛そうな表情で俺たちに声をかけ、この場から去って行く。
どうしてあんなに声を張り上げたのか疑問だったが、扉を開けた瞬間にその理由が分かった。
扉から王様が座っている玉座までの距離が長かった。
うん、これだけ距離が空いていたら声を張り上げないと聞こえないよな。つまり王様も声を張り上げていたと言うことになる。
俺が先頭になって先を歩き、王様に近づく。
王様は四十代後半といった容姿をしており、頭には王冠を被っている。コールマンと呼ばれる口の上だけに短く生やした髭をしていた。
「良く来てくれた。ハンターたち。ワタシがこの国の王、レンナルト・ブルーイットである。ハンターたちの名を聞かせてもらっても良いか?」
「俺はリュシアン・プライムと申します。こちらが、ユリヤ・イグナチエフ。そして彼女の隣にいるのがテレーゼ・フライヤーです」
自己紹介を始め、俺は二人をレンナルト王に紹介する。
「リュシアンにユリヤ、そしてテレーゼだな。覚えた。遠路遥々良く来てくれた。そなたたちに来てもらったのは他でもない。我が息子チャプスが成人の儀を執り行うことになった。諸君らには彼らの護衛をしてもらいたい」
うん、ここまでは依頼書に書かれてあったとおりだ。
「誰かチャプスを呼んで参れ」
「はっ!」
レンナルト王が控えている兵士に声をかけると、一人が謁見の間から出て行く。そしてしばらくすると再び扉が開かれ、王子と思われる男が謁見の間に入ってくる。
「父上、僕に何かようですか?」
男は太々しい歩き方で俺たちの横を通り過ぎ、レンナルト王の前に立った。
「彼らがお前の成人の儀を護衛してくれるハンターだ」
レンナルト王がチャプス王子に俺たちを紹介すると、彼は振り返って俺たちを見た。
「ギャハハハハハ! ち、父上! 冗談はよしてくださいよ! どう見たってこの僕を護衛するに相応しくないじゃないですか! しかも三人のうち二人は女ですよ! ギャハハハハ!」
チャプス王子はツボに嵌まってしまったのか、彼はお腹を抑え、目から涙を流して大笑いしていた。
なんだよ、こいつ。本当にこの国の王子なのか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!
など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。
【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。気軽にしていただけると助かります。
何卒宜しくお願いします。
ギルドの馬車は他のハンターが使うことになっていたので、俺たちは馬車を手配して移動している。
もちろんこの馬車代はギルドの経費だ。
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馬車の中で揺られていると、窓から外を眺めているテレーゼがポツリと言葉を漏らした。
どうやらテレーゼは全然緊張していないみたいだな。まぁ、世界の歌姫ともなると、王様たちに歌を披露する機会もあるだろうし、それなりに場数を踏んでいるのかもしれないな。
「退屈と言っていられるのも今の内だぞ。王様を目の前にしたら緊張するだろうから」
「それは心配ないわ。だってあたしは世界のトップ歌姫だもの! 王族の前で歌を披露することもあったから問題ないわよ。まぁ、今から向かうこの国の王様とは初めて会うけれどね」
堂々とした態度でテレーゼは自信満々に言う。
やっぱり王様たちの前で歌を披露したことがあったのか。
「私は逆に、テレーゼさんが慣れすぎて、王様の機嫌を損なうようなことを言わないか心配です」
「ユリヤ! いくらあたしでも外面くらいするわよ!」
そんなやりとりをしていると、いつの間にか馬車は城下町に辿り着いたようで、多くの建物が馬車の窓から見える。
「城下町に着いたみたいだから、そろそろ降りる準備をしよう」
「わかりました」
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テレーゼ、化粧をしていたのかよ。ナチュラルメイクすぎて全然気付かなかった。
馬車が止まり、俺は扉を開けて最初に降りる。そして次に降りるユリヤとテレーゼに手を貸して降りやすくした。
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二人に声をかけ、俺たちはお城の門のところに向かう。
「そこの三人組止まれ!」
「何ようでここに来た! ここはお前たちのような庶民の来るところではないぞ!」
門に近づくと、突然門番たちが警戒して声をかけてくる。
「俺たちは王様から依頼を受けたハンターだ。王様からの招待状を受け取っている」
門番に自分たちの身分を明かす。そして俺は封筒から招待状を取り出して彼らに見せた。
「確かにこれは王様からの招待状だな」
「しかしそのようなことは聞かされていないのだが」
門番の二人は顔を見合わせるともう一度俺たちの方を向く。
「今から確認する。少々待たれよ」
そう言うと、門番の一人が門を開けて城の方に走って行く。そして数分して戻って来た。
「大変失礼しました。王様がお待ちです。謁見の間までご案内しますので、着いて来てください」
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数メートル歩くと城の扉を開けて俺たちは中に入った。中も豪華な作りとなっており、天井には大きなシャンデリアがあった。
壁には絵画などが飾られ、埃の一つすら見当たらないほどの清潔に保たれている空間に、俺は圧倒される。
「|リュシアン【ピグレット》、初めてのお城で色々と興味があるのは分かるけど、あんまり挙動不審な態度を取らないほうが良いわ。変に怪しまれるわよ」
謁見の間を歩きながらテレーゼが小声でアドバイスをくれる。
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扉から王様が座っている玉座までの距離が長かった。
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王様は四十代後半といった容姿をしており、頭には王冠を被っている。コールマンと呼ばれる口の上だけに短く生やした髭をしていた。
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