98 / 171
第九章
第十二話 サウザーとの出会い
しおりを挟む
「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
俺は太刀を振り下ろしてモンスターと化したゴッドヒルフを斬った。
今の一撃が決定打になったのか分からない。身体から大量の血液を噴き出した馬型のモンスターは、息絶えたようでピクリとも動かなくなった。
すまない。こうするしか解決方法が思い付かない俺を許してくれ。
屍となった彼を見下ろしながら、心の中で亡くなったゴッドヒルフに謝る。
「リュシアン」
太刀に付着したモンスターの血を振り払い、鞘に収めたところでテレーゼが近付いてきた。
「こいつ剥ぎ取るの?」
彼女の問い掛けに無言で首を横に振る。
「いや、嫌いなやつだったとは言え、剥ぎ取って素材にするようなことはしたくない。他のモンスターに掘り起こされないように、地中深くに埋めてやろう」
ゴッドヒルフの遺体を埋めることにしたその時、後方から拍手の音が聞こえ、振り向く。
そこには七十代と思われる男が立っていた。タキシードを着て片方だけのメガネをかけている。
いつの間に背後にいたんだ! 気配を感じ取れなかった。
雰囲気から執事のようにも見えるが、ハンターでもない人物がこの密林にいるのは不自然だ。
こいつは普通ではない。直感が働き、いつでも太刀を抜けるように柄に手を添える。
「ワシを見ただけで警戒すべきやつだと見抜いたか。さすがはSランクハンターだ。ラープロテクションを倒したのは偶然ではないと言うことが分かって複雑な気分だよ」
この男、俺がSランクハンターであることや、ラープロテクションを倒したことを知っている!
「テレーゼ、油断するな。こいつは普通の人間ではない」
警戒を緩めないようにテレーゼに忠告すると、彼女は無言で頷く。
「自己紹介がまだであったな。ワシの名はサウザー、フェルディナンに暗黒龍様の魂が封印されてある宝玉を取り戻すように依頼した者だ」
「お前何者だ! どうして暗黒龍の魂が封印されてある宝玉を狙う」
男に問い詰めると、彼は意外だと言いたげな顔つきをした。
「分からないのか? 暗黒龍様の魂を集めていると言うことは、あの方の復活を願っているからだよ」
彼は俺から視線を外した。やつの視線を追うと亡くなったゴッドヒルフを見ていることが分かった。
「ワシは宝玉を集めるために世界中から利用できる人間を探し、様々なことをしている。その男はお主に恨みを持っていたのでな。実験ついでに人をモンスターに変える変異の秘宝を渡して、リュシアンを倒すように仕向けた」
サウザーの言葉を聞いた瞬間、鞘から太刀を抜いて地を蹴って駆け出す。
「お前が元凶か!」
声を上げながら得物を振り下ろす。
「そんなに怖い顔をしないでくれ。老人はもっと労わるものだよ」
刃が男に触れようとした寸前で、目の前からサウザーが消えた。俺の一撃は虚しくも空を斬る。
「悪いがここでお主とやり合うつもりはない。まともな準備ができていない状況では、ワシが不利だと身体が証明してくれた」
サウザーの額から赤い液体が流れ落ちた。避けられたと思っていたが、どうやら当たっていたみたいだ。
「では、然るべき時にまた会おうではないか」
男がパチンと指を鳴らす。すると、洞窟の中であるにも関わらず、突如強風が吹いて砂塵が舞った。
砂が目に入り、目を開けることができなくなる。
しばらくすると目に入った砂が取れたが、視界にはどこにもサウザーの姿を捉えることができなかった。
逃げられてしまったか。だけど重大な情報を得たことは大きい。このことをエレーヌさんに話して世界中のギルドに協力を求めれば、やつに辿り着くことができるはずだ。
そのためにも、今やるべきことをしなければ。
「テレーゼ穴を頼めるか」
「任せて。アー!」
テレーゼが口を窄めて息を吸い、そして声を出す。すると爆破したみたいに地面に穴が開いた。
墓穴ができるとゴッドヒルフの遺体を穴の中に入れ、穴を埋めて彼を埋葬した。
次はピッグコングだ。
巨体のモンスターを運ぶのも一苦労しそうだな。どうやって運ぼうか。
「討伐対象のピッグコング討伐おめでとうございます」
悩んでいると男の声が聞こえて振り向く。
ハンターの格好をしているけど、この男は見覚えがある。運営側のハンターだ。
彼は運搬屋を呼ぶ笛を吹くと、しばらくしてウサギのケモノ族たちがやって来た。
「このモンスターを運んでください」
「分かりました」
ハンターの指示に従い、ウサギのケモノ族たちは協力して荷台に乗せると、この場から離れて行く。
「では、我々も行きましょうか。これから表彰式を始めますので」
表彰式を執り行うと言われ、俺たちは洞窟を抜けると港町に帰った。
そしてその十分後。
「優勝者はリュシアン・プライムだ! 彼がピッグコングを倒してくれたぞ!」
大会運営の男が俺を紹介すると一斉に歓声が上がる。
「では、優勝賞品の武器だ。受け取ってくれ」
大会運営の男から優勝賞品の武器を受け取る。すると再び歓声が上がった。
今回の大会では多くの被害者が出た。この大会は自己責任での参加だから、俺がとやかく言うつもりはない。だがこんな悲しみが生まれないように、あのサウザーの野望は絶対に阻止しなければならない。
俺は亡くなった人たちの分まで生き抜き、サウザーを倒すことを心に誓った。
俺は太刀を振り下ろしてモンスターと化したゴッドヒルフを斬った。
今の一撃が決定打になったのか分からない。身体から大量の血液を噴き出した馬型のモンスターは、息絶えたようでピクリとも動かなくなった。
すまない。こうするしか解決方法が思い付かない俺を許してくれ。
屍となった彼を見下ろしながら、心の中で亡くなったゴッドヒルフに謝る。
「リュシアン」
太刀に付着したモンスターの血を振り払い、鞘に収めたところでテレーゼが近付いてきた。
「こいつ剥ぎ取るの?」
彼女の問い掛けに無言で首を横に振る。
「いや、嫌いなやつだったとは言え、剥ぎ取って素材にするようなことはしたくない。他のモンスターに掘り起こされないように、地中深くに埋めてやろう」
ゴッドヒルフの遺体を埋めることにしたその時、後方から拍手の音が聞こえ、振り向く。
そこには七十代と思われる男が立っていた。タキシードを着て片方だけのメガネをかけている。
いつの間に背後にいたんだ! 気配を感じ取れなかった。
雰囲気から執事のようにも見えるが、ハンターでもない人物がこの密林にいるのは不自然だ。
こいつは普通ではない。直感が働き、いつでも太刀を抜けるように柄に手を添える。
「ワシを見ただけで警戒すべきやつだと見抜いたか。さすがはSランクハンターだ。ラープロテクションを倒したのは偶然ではないと言うことが分かって複雑な気分だよ」
この男、俺がSランクハンターであることや、ラープロテクションを倒したことを知っている!
「テレーゼ、油断するな。こいつは普通の人間ではない」
警戒を緩めないようにテレーゼに忠告すると、彼女は無言で頷く。
「自己紹介がまだであったな。ワシの名はサウザー、フェルディナンに暗黒龍様の魂が封印されてある宝玉を取り戻すように依頼した者だ」
「お前何者だ! どうして暗黒龍の魂が封印されてある宝玉を狙う」
男に問い詰めると、彼は意外だと言いたげな顔つきをした。
「分からないのか? 暗黒龍様の魂を集めていると言うことは、あの方の復活を願っているからだよ」
彼は俺から視線を外した。やつの視線を追うと亡くなったゴッドヒルフを見ていることが分かった。
「ワシは宝玉を集めるために世界中から利用できる人間を探し、様々なことをしている。その男はお主に恨みを持っていたのでな。実験ついでに人をモンスターに変える変異の秘宝を渡して、リュシアンを倒すように仕向けた」
サウザーの言葉を聞いた瞬間、鞘から太刀を抜いて地を蹴って駆け出す。
「お前が元凶か!」
声を上げながら得物を振り下ろす。
「そんなに怖い顔をしないでくれ。老人はもっと労わるものだよ」
刃が男に触れようとした寸前で、目の前からサウザーが消えた。俺の一撃は虚しくも空を斬る。
「悪いがここでお主とやり合うつもりはない。まともな準備ができていない状況では、ワシが不利だと身体が証明してくれた」
サウザーの額から赤い液体が流れ落ちた。避けられたと思っていたが、どうやら当たっていたみたいだ。
「では、然るべき時にまた会おうではないか」
男がパチンと指を鳴らす。すると、洞窟の中であるにも関わらず、突如強風が吹いて砂塵が舞った。
砂が目に入り、目を開けることができなくなる。
しばらくすると目に入った砂が取れたが、視界にはどこにもサウザーの姿を捉えることができなかった。
逃げられてしまったか。だけど重大な情報を得たことは大きい。このことをエレーヌさんに話して世界中のギルドに協力を求めれば、やつに辿り着くことができるはずだ。
そのためにも、今やるべきことをしなければ。
「テレーゼ穴を頼めるか」
「任せて。アー!」
テレーゼが口を窄めて息を吸い、そして声を出す。すると爆破したみたいに地面に穴が開いた。
墓穴ができるとゴッドヒルフの遺体を穴の中に入れ、穴を埋めて彼を埋葬した。
次はピッグコングだ。
巨体のモンスターを運ぶのも一苦労しそうだな。どうやって運ぼうか。
「討伐対象のピッグコング討伐おめでとうございます」
悩んでいると男の声が聞こえて振り向く。
ハンターの格好をしているけど、この男は見覚えがある。運営側のハンターだ。
彼は運搬屋を呼ぶ笛を吹くと、しばらくしてウサギのケモノ族たちがやって来た。
「このモンスターを運んでください」
「分かりました」
ハンターの指示に従い、ウサギのケモノ族たちは協力して荷台に乗せると、この場から離れて行く。
「では、我々も行きましょうか。これから表彰式を始めますので」
表彰式を執り行うと言われ、俺たちは洞窟を抜けると港町に帰った。
そしてその十分後。
「優勝者はリュシアン・プライムだ! 彼がピッグコングを倒してくれたぞ!」
大会運営の男が俺を紹介すると一斉に歓声が上がる。
「では、優勝賞品の武器だ。受け取ってくれ」
大会運営の男から優勝賞品の武器を受け取る。すると再び歓声が上がった。
今回の大会では多くの被害者が出た。この大会は自己責任での参加だから、俺がとやかく言うつもりはない。だがこんな悲しみが生まれないように、あのサウザーの野望は絶対に阻止しなければならない。
俺は亡くなった人たちの分まで生き抜き、サウザーを倒すことを心に誓った。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活
石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。
ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。
だから、ただ見せつけられても困るだけだった。
何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。
この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。
勿論ヒロインもチートはありません。
他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。
1~2話は何時もの使いまわし。
亀更新になるかも知れません。
他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる