ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
126 / 171
第十一章

第十二話 何このジジイ!メチャクチャ怖いのだけど!

しおりを挟む
~アイリス視点~



 私ことアイリスは、突然放たれたバリスタの弾に動揺して、七番エリアを見下ろす。そこにはリュシアンたち以外の下等生物が、いつに間にか七番エリアにいた。

 何? あのスキンヘッドのジジイは?

 男の側には移動式バリスタ発射装置があった。

 どうやらあのバリスタの弾は、そこのジジイが発射したようね。

 バリスタの弾を受けた衝撃で高度が下がり、地上との距離が縮まる。すると、あいつらの会話が聞こえてきた。

「リュシアン待たせたな。町の方はどうにかなったので、加勢に来てやったぞ」

「ベルトラムさん!」

 リュシアンが現れたジジイの名を口にする。

 あのジジイ、ベルトラムって言うのね。うん? ベルトラム? その名前はどこかで聞いたことがあるような?

 脳の中に保管されてある記憶を引き出す。

 そう言えば昔、お爺様がベルトラムと言う名前を憎々しげに語っていたわね。と言うことは、もしかしたらあのジジイも倒せば、お爺様はもっと私を認めてくれるかもしれないわ。

 現れたベルトラムもろとも灰にしようと口を開ける。その間もあいつらの声が耳に入ってきた。

「お前たちを追って来たら、上空に巨大な龍がいたからついバリスタの弾を発射してしまった。なんだあの龍は? あんな龍は見たこともないぞ」

「あれが町を襲った女の子の成れの果ての姿です」

「何だと!」

 ジジイが声を上げ、私を見る。男と目が合った瞬間、何とも言えない寒気を感じた。

「メスの討伐か! こいつは腕がなる。ワシのバリスタでいかせてやるからな」

 ベルトラムの言葉が耳に入り、目をぴくつかせる。

 わざとなのか天然なのか知らないけど『あの世に』って言葉がないせいで完全にセクハラ発言になっているじゃないのよ!

「あの龍は呆然としている! 攻撃するなら今だ! ワシの改良型バリスタの弾ムスコ! あの子の中で暴れて来るのだ!」

 ジジイのセクハラ発言に変な思考をしてしまったからか、隙を生んでしまった。

 そのせいで発射されたバリスタの弾を回避することができずに直撃を受ける。

 何なのこの弾! 龍の鱗を貫いて私の中に入ってくる何て!

 鱗を貫いたバリスタの弾は内部で爆発をしたようで、尋常ではない痛みを覚える。

『痛いいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ』

 あまりの痛さに、口から声が漏れる。

「うむ、うむ。どうやらワシの攻撃がそれほど良かったようだな。あまりの気持ちよさに、いい声で鳴いておる」

 このセクハラジジイ! 変態のくせに何て強さなの! 龍と化した私にここまでダメージを与えるなんて!

 ダメージを受けて上手く揚力を得ることができなくなっているのか、さっきよりも高度が下がってしまう。

「おう、おう、どんどん近付いて来ておるわい。そんなにワシを求めておるのか? いやーモテると言うのは罪じゃのう。それ、どんどん改良型バリスタの弾ムスコを中に入れてやるから安心しろ。中で一つになろうではないか」

『このクソジジイ!』

 こんな体ではまともに動くことができない。こうなったらダメージを受ける覚悟であのジジイに接近して食い殺してやる。

 ベルトラムに向けて接近し、大きく口を開けた。しかし、この行動が間違いだった。

「そーれ、二発目の発射じゃ。まだまだ移動式バリスタ発射装置ワシは萎えておらぬ。改良型バリスタの弾ムスコはまだまだあるからのう。弾切れまでたっぷりと楽しもうではないか」

 連続でバリスタの弾を発射され、私の口内に侵入すると同時に中で爆発を起こす。

『痛いいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ』

 外側から貫通されるのとは違い、内部は体の構造的に弱い部分が多い。今まで以上の痛みと苦しみを覚え、絶叫せずにはいられなかった。

 意識が次第に遠ざかり、気が付くと地面に倒れていた。

「ワシの仕事はここまでだ。地上に引き摺り出した以上は、リュシアンたちハンターの仕事だ」

「ベルトラムさんありがとうございます」

 リュシアンたちが武器を構えて近付く。私は力を振り絞って立ち上がり、尻尾を横薙ぎにしてあいつらにテールアタックを放つ。

 しかし、ダメージを受けすぎたこの肉体では素早く動くことができなかった。

 簡単に躱され、誰一人としてダメージを与えることができない。

 くそう。くそう。くそう。どうしてこうなってしまったの! 奇跡が起きて私は完全なる龍の姿になった。完全に上等生物になれた時点で、私の勝利は確約されたようなものだったのに!

 これも全てあのベルトラムとかいうハゲのせいよ。あいつが来なければ、私がこんなに苦戦することはなかった。

 迫り来るリュシアンたちを近付けさせないように炎を吐こうとする。

 しかし、出るのは小さな炎だった。それもあいつらに当たる前に霧散して消える。

 嘘! どうして炎が出ないの! 今までこんなことなかったって言うのに!

 いったい何が起きているのかがわからないでいると、その原因がすぐに明らかになる。

 物凄い空腹感に包まれ、すぐに何かを食べないといけないと思ってしまった。

 この症状、もしかして飢餓状態!

 耐え難い空腹感に襲われ、口から涎がダラダラと流れてしまう。

 いや、やめて。止まってよ! こんな私を見ないで!

「アイリスがスタミナ切れを起こしている! 早く倒さないと他のモンスターを食べて回復されてしまう」

 そうだった。飢餓状態は肉を食べれば治る。モンスターを食べるなんてグロテスクな行為だけど、背に腹はかえられないわ。

 まさか敵に塩を送られるとは思ってもいなかったけど、その情報をありがたく有効利用させてもらいましょう。

 リュシアンたちに背を向けて、隣のエリアに向かおうとする。

 隣のエリアからモンスターの匂いが漂ってきた。

 ああ、早く食べてこの空腹を満たさないと気が狂いそうだわ。

 移動を開始しようと足を一歩前に踏み出した。その時、急に体が重く感じ、まともに歩けないことに気付く。

 体が重い。足を引き摺りながらじゃないと前に進めないわ。

 この現象、モンスターが命の危険性を感じて逃げようとするときに似ている。

 もしかして私は死にかけているの? このままじゃまずい。早く安全な場所に移動しなければ。

 力を振り絞り、両翼を羽ばたかせて空に舞い上がる。

 飛んで逃げる力が残されていると思っていなかったようで、あいつらはその場で固まり、追撃をしてこない。

 呆気に取られている内に何とか逃げることができそうね。でも、体の傷の具合からしても、隣の八番エリアに移動するのが限界そう。

 力の限り両翼を羽ばたかせて八番エリアに移動する。

「アイリス、ここにおったのか! 龍の姿になったとしても、ワシには分かるぞ!」

 この体でも姿を隠せる場所を上空から探していると、お爺様の声が聞こえた。

『お爺様!』

 肉親である彼の顔を見た瞬間、私は安心した。お爺様なら龍から人に変わる全てを知っているはず。人の姿に戻れば、いくらでも隠れる方法があるわ。

『お爺様助けて! 人間に戻るにはどうしたらいいの!』

 八番エリアに降りると、人の姿に戻る方法を訊ねる。

「そうか。なら、ワシが戻してくれよう」

 私の体にお爺様が触れる。その瞬間体が光り、気が付くと元の人間の姿に戻っていた。

「お爺様ありが……え?」

 急に腹部に痛みが走り、視線を下げる。

 お爺様の腕が私のお腹を貫いていた。

「お前を人間に戻したのは、殺した後に燃やしやすいからだ。お前のような欠陥品などもういらない。良かったな。大好きな両親に会えるぞ」

 その言葉を最後に、私の意識は遠のいた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...