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第十一章
第十三話 ハゲといったほうがハゲなんだ
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~ベルトラム視点~
「おい、ボウズ! 何をしているんだ! せっかくワシが地上に落としてやったのに、逃げられたではないか!」
ワシことベルトラムは、ハンター会の期待の星であるリュシアンに声を上げる。
「いや、あれだけボロボロの姿で、まだ飛べる力を残しているとは思ってもいなかったからさ」
リュシアンが言い訳を言うが、その気持ちも分からなくもない。何せ、ワシも驚いてつい改良型バリスタの弾を撃ち損なってしまった。
「とにかく追うぞ。あの深手なら、隣のエリアに移動するのがやっとだろう」
長年の経験からそう判断したワシは、移動式バリスタ発射装置を押しながら、八番エリアに向けて歩く。
ボウズたちも後ろを付いて来た。
八番エリアに辿り着くと、あの龍を探す。しかし、どこにも見当たらなかった。
おかしい。あの深手ではここまで飛ぶのがやっとのはずだ。まさか、ワシの勘が外れたのか?
とにかく今は、この八番エリア内を探す必要があるな。
若かった頃のハンター時代の記憶が蘇り、周辺の気配に注視する。
うん? ワシの気配探知がビンビン反応をしておる。この先にあの龍がいるかもしれない。
それにしても、年をとっても気配探知はビンビンに反応しているのに、ワシの股間はビンビンにはならない。どうしてこっちは年をとると衰えるのじゃろうか。若かった頃は年老いてもなお盛んであると思い込んでおったと言うのに。
「ボウズ、こっちの方を探すぞ」
ゴツゴツとした岩場の上を歩くと、七十代と思われるジジイの側に、女の子が倒れているのが視界に映る。
その人物を目の当たりした瞬間、ワシは改良型バリスタの弾を設置してジジイに向けて発射した。
放たれたバリスタの弾は、ジジイに向けて真っ直ぐに飛んで行く。だがヤツは気付き、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「久しいなベルトラム。まさかこんなところで出会えるとは思ってもいなかったぞ」
ジジイがワシの名を口に出した瞬間、やつは高速で放たれるバリスタの弾を掴んだ。
「こんな飛び道具に頼るとは、やはり人間と言う下等生物は弱いな。歳を取れば取るほど弱体化してしまうなんて」
「それはお主だって同じことだろう。五十年前に比べて老けたではないか!」
「老け具合はお前には負ける。全盛期だった頃は髪の毛がふさふさであったのに、今ではツルツル頭のハゲではないか」
ジジイの言葉にワシはカッとなる。
「誰がハゲだ! スキンヘッドはハゲではないわ! そもそもハゲと言った方がハゲなんだ! やーいハゲ野郎!」
「このフサフサの髪のどこがハゲとる! あまり悪口を言うと、お前のスキンヘッドをボールドヘッドにして、完全なるハゲにしてやるからな!」
「できるものならやってみろ!」
「あ、あのう。ベルトラムさん? もしかしてサウザーのことを知っているのですか?」
背後からボウズが声をかけ、ワシは振り向く。彼はなんとも言えない微妙な顔をしていた。
まぁ、いきなり攻撃を仕掛けてピリピリとした空気から一転して、いきなり悪口合戦になってしまったのだ。そのような顔をしても仕方がない。
「ああ、やつはあんな人間の姿をしているが、あれは仮初めの姿だ。本当のあやつは千年もの間、この世界に生きているサウザンドドラゴン」
ボウズに教えてやると、彼は顔を引き締める。
何せサウザンドドラゴンは、伝龍や古龍と呼ばれるモンスター。ハンターの一生のうちに姿を見られるのはまさに奇跡だ。しかし、裏を返せば強敵を目の当たりにしているとも言える。
「まさかリュシアンを探していたところにベルトラムがいるとは好都合だ。二人纏めて、いや、そこにいるクソザコハンターたちも含めて、全員この場で始末してくれよう。だが、その前に」
サウザーが口を開けると火炎を吐き、地面に倒れている女の子を燃やす。
「サウザー! お前、自分の孫娘になんてことをする!」
ボウズが叫ぶ。
あの娘、サウザーの孫だと言うのか。普通なら自分の孫を手にかけるようなことはしない。だが、あのジジイは狂っている。
「別におかしなことではないだろう? 死体を焼却したまでだ。土葬ではモンスターに食い荒らされるかもしれないからな。祖父として大切な孫の死体を冒涜されないための処置だよ」
淡々とした口調で、サウザーが燃やした理由を答える。しかしやつからは、祖父としての慈愛の感情らしきものが、何一つ感じ取られなかった。
炎が消えると、女の子の遺体が骨すら残さず灰に変わる。
まるで神が彼女を天に返そうとしているかのように、炎が消えたタイミングで偶然にも風が吹く。
風に流された灰が上空に舞うと、そのまま天へと登っていった。
「では、早速始めるとしようか。お前たちを倒せば、障害となるものは何もいない」
サウザーが両手を組み、ボキボキと音を鳴らす。
すると上空から一羽の鳥が舞い降りてきた。
あのフクロウに似ておる鳥は、リピートバードだな。サウザーの方を向いておる。いったい誰からのメッセージなんだ。
『ペテンからメッセージがあります……サウザー、そっちはどうかな? 私の方は順調にジャイリスクの神殿に侵入して宝玉を手に入れることができたよ。今から所用を済ませてから基地に帰るから。本当に野盗はいい仕事をしてくれたよ。多くの犠牲が出たみたいだけど、あんな人間のゴミはいなくなっても誰も困らないからね。それじゃ、後で今後の作戦に付いて話そう』
メッセージの受取人の許可もなく、勝手にリピートバードは言葉を連ねる。そして全ての言葉を話した後、羽ばたいてどこかに飛んで行った。
「ペテンのやつめ、ろくに訓練もされていないリピートバードを使いやがって。まぁいい。悪いが急用ができた。この勝負は預けさせてもらう」
「待て!」
踵を返したサウザーに、ワシは呼び止める。
「心配しなくとも、お前たちとの決着はつけるさ。優先順位が変わっただけのこと。命が延命できたことを心から喜ぶのだな」
捨て台詞を吐くと、サウザーの体が空中に浮く。そして天高く舞い上がった。
「逃すと思っているのか!」
あのジジイを逃すまいと、移動式バリスタ発射装置に改良型バリスタの弾をセットしてすぐに発射する。
だが、放たれたバリスタの弾は、やつを貫くことなく弾かれる。
くそう。まだまだ貫通力を上げないと、やつの肉体を貫くことができないのか。
次第に遠ざかって行くサウザーを、ワシはただ見つめることしかできなかった。
「おい、ボウズ! 何をしているんだ! せっかくワシが地上に落としてやったのに、逃げられたではないか!」
ワシことベルトラムは、ハンター会の期待の星であるリュシアンに声を上げる。
「いや、あれだけボロボロの姿で、まだ飛べる力を残しているとは思ってもいなかったからさ」
リュシアンが言い訳を言うが、その気持ちも分からなくもない。何せ、ワシも驚いてつい改良型バリスタの弾を撃ち損なってしまった。
「とにかく追うぞ。あの深手なら、隣のエリアに移動するのがやっとだろう」
長年の経験からそう判断したワシは、移動式バリスタ発射装置を押しながら、八番エリアに向けて歩く。
ボウズたちも後ろを付いて来た。
八番エリアに辿り着くと、あの龍を探す。しかし、どこにも見当たらなかった。
おかしい。あの深手ではここまで飛ぶのがやっとのはずだ。まさか、ワシの勘が外れたのか?
とにかく今は、この八番エリア内を探す必要があるな。
若かった頃のハンター時代の記憶が蘇り、周辺の気配に注視する。
うん? ワシの気配探知がビンビン反応をしておる。この先にあの龍がいるかもしれない。
それにしても、年をとっても気配探知はビンビンに反応しているのに、ワシの股間はビンビンにはならない。どうしてこっちは年をとると衰えるのじゃろうか。若かった頃は年老いてもなお盛んであると思い込んでおったと言うのに。
「ボウズ、こっちの方を探すぞ」
ゴツゴツとした岩場の上を歩くと、七十代と思われるジジイの側に、女の子が倒れているのが視界に映る。
その人物を目の当たりした瞬間、ワシは改良型バリスタの弾を設置してジジイに向けて発射した。
放たれたバリスタの弾は、ジジイに向けて真っ直ぐに飛んで行く。だがヤツは気付き、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
「久しいなベルトラム。まさかこんなところで出会えるとは思ってもいなかったぞ」
ジジイがワシの名を口に出した瞬間、やつは高速で放たれるバリスタの弾を掴んだ。
「こんな飛び道具に頼るとは、やはり人間と言う下等生物は弱いな。歳を取れば取るほど弱体化してしまうなんて」
「それはお主だって同じことだろう。五十年前に比べて老けたではないか!」
「老け具合はお前には負ける。全盛期だった頃は髪の毛がふさふさであったのに、今ではツルツル頭のハゲではないか」
ジジイの言葉にワシはカッとなる。
「誰がハゲだ! スキンヘッドはハゲではないわ! そもそもハゲと言った方がハゲなんだ! やーいハゲ野郎!」
「このフサフサの髪のどこがハゲとる! あまり悪口を言うと、お前のスキンヘッドをボールドヘッドにして、完全なるハゲにしてやるからな!」
「できるものならやってみろ!」
「あ、あのう。ベルトラムさん? もしかしてサウザーのことを知っているのですか?」
背後からボウズが声をかけ、ワシは振り向く。彼はなんとも言えない微妙な顔をしていた。
まぁ、いきなり攻撃を仕掛けてピリピリとした空気から一転して、いきなり悪口合戦になってしまったのだ。そのような顔をしても仕方がない。
「ああ、やつはあんな人間の姿をしているが、あれは仮初めの姿だ。本当のあやつは千年もの間、この世界に生きているサウザンドドラゴン」
ボウズに教えてやると、彼は顔を引き締める。
何せサウザンドドラゴンは、伝龍や古龍と呼ばれるモンスター。ハンターの一生のうちに姿を見られるのはまさに奇跡だ。しかし、裏を返せば強敵を目の当たりにしているとも言える。
「まさかリュシアンを探していたところにベルトラムがいるとは好都合だ。二人纏めて、いや、そこにいるクソザコハンターたちも含めて、全員この場で始末してくれよう。だが、その前に」
サウザーが口を開けると火炎を吐き、地面に倒れている女の子を燃やす。
「サウザー! お前、自分の孫娘になんてことをする!」
ボウズが叫ぶ。
あの娘、サウザーの孫だと言うのか。普通なら自分の孫を手にかけるようなことはしない。だが、あのジジイは狂っている。
「別におかしなことではないだろう? 死体を焼却したまでだ。土葬ではモンスターに食い荒らされるかもしれないからな。祖父として大切な孫の死体を冒涜されないための処置だよ」
淡々とした口調で、サウザーが燃やした理由を答える。しかしやつからは、祖父としての慈愛の感情らしきものが、何一つ感じ取られなかった。
炎が消えると、女の子の遺体が骨すら残さず灰に変わる。
まるで神が彼女を天に返そうとしているかのように、炎が消えたタイミングで偶然にも風が吹く。
風に流された灰が上空に舞うと、そのまま天へと登っていった。
「では、早速始めるとしようか。お前たちを倒せば、障害となるものは何もいない」
サウザーが両手を組み、ボキボキと音を鳴らす。
すると上空から一羽の鳥が舞い降りてきた。
あのフクロウに似ておる鳥は、リピートバードだな。サウザーの方を向いておる。いったい誰からのメッセージなんだ。
『ペテンからメッセージがあります……サウザー、そっちはどうかな? 私の方は順調にジャイリスクの神殿に侵入して宝玉を手に入れることができたよ。今から所用を済ませてから基地に帰るから。本当に野盗はいい仕事をしてくれたよ。多くの犠牲が出たみたいだけど、あんな人間のゴミはいなくなっても誰も困らないからね。それじゃ、後で今後の作戦に付いて話そう』
メッセージの受取人の許可もなく、勝手にリピートバードは言葉を連ねる。そして全ての言葉を話した後、羽ばたいてどこかに飛んで行った。
「ペテンのやつめ、ろくに訓練もされていないリピートバードを使いやがって。まぁいい。悪いが急用ができた。この勝負は預けさせてもらう」
「待て!」
踵を返したサウザーに、ワシは呼び止める。
「心配しなくとも、お前たちとの決着はつけるさ。優先順位が変わっただけのこと。命が延命できたことを心から喜ぶのだな」
捨て台詞を吐くと、サウザーの体が空中に浮く。そして天高く舞い上がった。
「逃すと思っているのか!」
あのジジイを逃すまいと、移動式バリスタ発射装置に改良型バリスタの弾をセットしてすぐに発射する。
だが、放たれたバリスタの弾は、やつを貫くことなく弾かれる。
くそう。まだまだ貫通力を上げないと、やつの肉体を貫くことができないのか。
次第に遠ざかって行くサウザーを、ワシはただ見つめることしかできなかった。
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