ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第十三章

第一話 チャプス王子の大脱出

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 ~チャプス視点



「出せええええええぇぇぇぇぇぇぇ! ここから出せええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!」

 僕ことチャプスは、牢屋の鉄格子を握りながら思いっきり叫んでいた。

 しかし僕の声は誰にも届かず、地下牢に駆け付けてくる者はいない。

 その光景を見て、ニヤリと口角を上げる。

 よし、よし良いぞ! 僕の作戦が上手くいっている。誰もこの地下牢に駆け付けようとはしない。

 踵を返して牢の奥に行き、寝床に浸かっていた布を剥ぎ取る。すると隠してあった穴が顔を出す。

「さぁ、脱出のときが来た。今こそ外に飛び出し、自由を手に入れるのだ」

 これまで見張りに気付かれないように、細心の注意を払いながら穴を掘り進めた。努力が功をなし、先日城下町に繋がる抜け道を開通させたのだ。

 今日は本当に素晴らしい。開通記念日だな。

「自由を手に入れるためにさぁ行くぞ!」

 穴の中に飛び降りようとした瞬間、僕のお腹が空腹を奏でる。

「そう言えば、そろそろ飯が運ばれる時間だな。お腹が空けば途中で力尽きてしまうかもしれない。まずは食事をしてから脱出することにしよう」

 空腹を満たしてから外に脱出することを決め、布を被せて穴が見えないようにする。

 冷たい床に横になり、食事が運ばれて来るのを待つ。しかし、いつまで待っても食事が運ばれて来ることはなかった。

「くそう。城の衛兵は何をやっているんだ。空腹で死にそうではないか」

 ふくよかでワガママボディーだった昔と比べ、今の僕の体型はガリガリだった。足りない栄養を補うために、脂肪が燃焼された結果だ。そのせいで皮は伸びるし、肉割れもある。

「早く飯を持って来てくれないだろうか」

 空腹に耐えていると、笑い声が聞こえてきた。

「ギャハハハハ! マジかよ」

「ああ、それでな」

 話しながら二人の兵士が牢屋にやって来る。彼らの手には料理の入った皿が入っていた。

「お前たち遅いぞ! 何をやっていたんだ! 僕は空腹で今にも死にそうなんだぞ!」

 ニヤニヤと楽しそうに笑いながら会話をしている二人に怒りが湧き上がり、怒鳴りつける。

「悪い、悪い。仕事が終わって飲みに行っていたらエサやりするのを忘れていてよ。ヒック」

 二人の兵士の頬は赤く染まり、ほろ酔いになっているのが分かった。

 くそう。僕は牢に入れられてから酒の一滴も飲んでいないと言うのに、平民の癖に酒なんぞ飲みやがって!

「ほらよ! スープだ。あっ!」

 牢の鍵を開けてスープの入った皿を入れようとしたその時、兵士は手を滑らせて皿を落としてしまった。

 皿が割れる音が響き、スープが床に溢れる。

「あーあ、何やっているんだよお前」

「すまん。すまん。手を滑らせてしまった」

「「アハハハハハ!」」

 大笑いをする二人を見て、更に怒りのボルテージが増していく。

「ふざけるな! 貴重な食材をムダにして! 今すぐ代わりのものを持って来い!」

 二人の兵士に代わりの物を持って来るように要求する。すると、彼らは何を言っているんだっと言いたげな表情で僕のことを見てきた。

「何を言っているんだよ。牢に入っているものがそんな贅沢ができる訳がないだろう」

「そんなに食いたければ床に落ちたスープを野犬のように嘗めて飲むんだな」

「ふざけるな! 僕はこの国の王子なんだぞ!」

 感情が昂ってしまい、思わず兵士に掴みかかる。

「こいつくせー! 汚物が俺に触るな!」

 男が言葉を喋ると、アルコールの匂いが鼻腔に入り、気持ち悪さを感じる。

 お前も人のことを言えないくらいに臭いじゃないか!

「おい離せ! この犯罪者が!」

 兵士が僕を突き放し、転倒してしまう。その瞬間兵士がお腹に足を乗せ、思いっきり踏んでくる。

「ぐあああああああぁぁぁぁぁ!」

「おい、おい。大丈夫なのかよ。いくらクソゴミと言っても、一応この国の王子ってことになっているんだぜ」

「かまうものかよ。こいつはこの国をダメにする国家犯罪者だ。牢で死んでも誰も気にしない。その証拠としてレンナルト王も、地下牢の様子を見に来なくなったじゃないか」

「確かにそうだな。なら、俺も日頃のストレス発散として蹴らせてもらおうかなっと!」

 踏みつけている兵士が足を退かすと、もう一人の兵士が蹴りを入れて来る。その反動で僕の体は少し転がる。

「ほら、さっさと牢の中に入れ!」

 両手と両足を掴まれ、二人の兵士は僕の体を掴むと牢屋の中に連れ込む。

 そして叩き付けるように地面に落とされると、全身に痛みが走った。

「ぐあっ!」

「あーあ、どうしてこんなクソがこの国の後継なんだか。これならあのリュシアンってハンターが王子の方が何百倍もマシだぜ」

「ああ、あの男か。レンナルト王さまが、バカの代わりに王子を演じさせたのだったよな」

 苦痛で顔を歪める中、二人の会話が耳に入る。

 リュシアンって確か、僕が成人の儀のときに父上が雇ったハンターの名だったよな。

 名前を聞いた途端にあの時のことが蘇る。

 そうだ。こうなったのも全てあの男のせいだ。あいつのせいで、僕の人生はめちゃくちゃになってしまった。

 絶対に許さない。ここから脱出したら、真っ先に殺しに行ってやる!

 復讐に燃えている中、兵士たちは牢の前でまだ会話を続けている。

「しかも隣国のバーンズ王にまで気に入られているって話しだ」

「噂によると、エリーザ姫との婚約にまで発展したらしいぞ」

「くうー! 羨ましいぜ! 俺もいつか成り上がりたい」

「いやいや、お前にはムリだ。だって成り上がるのは俺だからな」

「「アハハハハハハハ!」」

 二人の兵士は大笑いをしながら牢屋から出て行く。

 冷たい床に背中預け、痛みが引くのを待つ。

「こうなるのなら、飯を待たずにさっさと抜け出せばよかった」

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