ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
148 / 171
第十三章

第七話 幻の中での戦闘

しおりを挟む
 俺たちの前に着地した幻死狼、ホラゾンウルフを睨みながら、太刀を構える。

 今度も幻か、それとも本物か。それを見極めるためにも攻撃あるのみだ。

 モンスターがユリヤたちを標的にしないように、率先してやつに近づき、太刀を横に振る。

 刃はホラゾンウルフの前足を斬るも、今度は消えなかった。

「よし、今度こそ本物だ」

 本物だと分かればこっちのもの、あとは普通のモンスターを相手にするように倒すだけ。

『ワウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン!』

 攻撃を受けた半分ゾンビのモンスターは、後方に跳躍すると遠吠えをする。すると建物の陰から三体のハクギンロウが顔を出し、ゆっくりと近づくと俺を囲む。

 どうせこいつらも幻覚だろう。今は無視だ。

 白銀の狼を居ないものと判断して、ホラゾンウルフに近付こうとしたとき、俺の前方にいたハクギンロウが地を蹴って飛びかかってきた。

 幻覚に一々尻込みするかよ。

 そう思ったが、すぐにその考えを改める。

 いや、こいつから感じる迫力はどこかが違う。もしかして。

 念のために太刀を縦一文字に振ると、刃が白銀の狼に触れた瞬間に手応えを感じる。

『キャウウウン!』

 モンスターから鮮血が流れ、斬られたハクギンロウは地面に倒れる。

 チッ、今度は本物まで混ざってきやがったか。こいつは少し不味いな。

 今までは全て幻覚だから少しは心のゆとりがあった。しかし本物のモンスターまで混ざると、どれが本物なのか判断しないといけないので、脳に負担をかけることになる。

 心の乱れは隙を生み、冷静な判断ができなくなる。

 幻覚と本物を見極める方法、もしくは幻覚をみないで済む方法を考えなければ。

 何かなかったか。御伽噺では、最後はレジェンドランクのハンターに倒される。その内容を思い出せば、何かヒントを掴め得るはずだ。

 思考を巡らせるも、幼少期に聞いたストーリーは朧げで、断片的にしか思い出せない。

「ユリヤ、テレーゼ、エリーザ姫、ホラゾンウルフを討伐したハンターの御伽噺おとぎばなしを知っているか!」

「あ、はい。序盤だけなら」

「あたしは中盤だけしか覚えていないわね」

「わたくしはラストなら覚えています」

 三人とも覚えている話はバラバラだ。でも、彼女たちのを繋げれば、ストーリーを思い出してホラゾンウルフを攻略することができる。

「頼む! ストーリーを語ってくれ!」

「分かりました。これは~これは~とある伝説の、ハンターの~物語~」

 ユリヤがリズミカルに御伽噺おとぎばなしを口にする。そう言えば、この話は吟遊詩人みたいに音程があったな。

「む・ら・のせ~いねん、子犬を~川にお~とした~……子犬はな~くなり、そのた~ましいを、ホライズンウルフが~迎えにきた~……い・か・り・にも~える、モ~ンス~ター、村を襲って~村を滅ぼした~」

「被害しいった~伝説のハンター~ホライゾンウルフに~戦いを挑む~……た・く・さ・んの~幻を相手に~苦戦をしながらも~遂に見つける~……ほ・え・た・そ・の・と・き~ハンターは追い詰め~られた……し・を・か・く・ご・したとき~神風が~巻き起こる~」

「そ・の・しゅん、かーん、幻覚がきえーた~……ハ~ンター、勇敢に~も~モンスターに~立ち向かう~……や・い・ば・ふーりおーろし、ホライゾンウルフの~心臓ひと突き~と・う・ば~つ、か・ん・りょう~君も命を~大切に~」

 三人の歌う物語を聴き、俺はホライゾンウルフがどうして幻覚を見せることができるのか、その方法を思い出した。

 やつは吠えると、体内から幻覚を見せる物質を放出する。その物質を鼻に吸引して脳に届けられることで、脳に異常が起き、幻覚を見せられる。

 つまり、目に見えない物質を吸引しないようにしなければならない。

 俺は柄に嵌めてある風の属性玉に意識を集中させ、風を発生させる。

 空気中の気圧に変化を起こし、ホライゾンウルフに向けて強風を起こす。

 その瞬間、俺の周りにいたハクギンロウたちの姿が消える。

「よし、御伽噺おとぎばなしどおりの展開になった。風を起こして幻覚物質を吸引しなければ、もう幻覚を見ることはない」

 常に風上にいる状況を作り出し、ホライゾンウルフに接近する。

 幻覚が見えなければ、やつは大きい狼の死体だ。動きは鈍いし、攻撃を食らうことはない。

 モンスターに接近して次々とモンスターの肉体を切り付けていく。

 俺の動きついてこられないようで、やつは反撃しようにもワンテンポ遅れてしまうので、攻撃を受けることはない。

 肉が腐って中の臓器が丸見えになっているお陰で、簡単に心臓の位置がわかる。

「どうしてこの町を襲ったのかはわからないが、これ以上は好き勝手にはさせない。こいつで止めだ!」

 やつの心臓に刃を突き刺す。

『ギャオオオオオオオオオオォォォォォォン!』

 ホライゾンウルフは断末魔の声を上げるとそのまま地面に倒れ、それ以上動くことはなかった。

「ホライゾンウルフ、討伐完了だ」

「チッ、まさかホライゾンウルフが倒されるとはな。こいつ程度ではリュシアンに仕返しすることはできなかったか」

 男の声が聞こえ、そちらに顔を向ける。

 トミトを食べながら、ガリの男がこちらに歩いてきた。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...