エイリアンチートで新人類に進化した俺は、異星文明で現代地球を開拓して南朝復活をめざします

大沢 雅紀

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エルフリーデ

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「うわぁぁぁぁぁぁ」
蝙蝠の羽を焼かれた勇人は、真っ逆さまに地上の森へと落ちていった。
「くっ。『斥力結界』」
最後の力を振り絞って、『地神盾』で結界を作って全身を覆う。
勇人の身体は森の木々をなぎ倒し、大きな音を立てて森に激突した。
「ぐはっ」
あまりの衝撃に、強化した肉体でも耐えられずに大けがを負ってしまう。
「くそっ。『雷治療』」
『治療』の電気信号を発して、意識的に赤血球をコントロールして傷を治そうとするが、雷力を使い果たしていたため思うように体内電気を操作できない。焦っていると、いつのまにか緑色の民族衣装をまとった一団に囲まれていた。
「き、貴様は何者だ!その体、亜人類だな。金王朝の追手か!」
先頭にいた若い男が誰何してくる。彼らの耳は、人間より大きく細長かった。
「ち、違う……」
「問答無用。撃て!」
耳が長い男たちが一斉に矢を構える。もはやこれまでかと観念したとき、澄んだ声が響き渡った。
「待ちなさい」
彼らの中から、清楚な美しい女性が進み出る。その顔をみて、勇人は驚いた。
「え?姫子?」
「あなた、何者?姫子のことを知っているの?」
美しい女性は首をかしげる。よく見たら、彼女の顔は姫子とそっくりだが、少し大人びていた。
「そ、そうだ。姫子を助けないと。ぐっ」
勇人は必死に立ち上がろうとしたが、大けがのために動けない。美しい女性は意を決した顔になると、勇人に近づいてその体に手を当てた。
『ハイヒール』
女性の手から強力な治療電気信号が発せられ、体内の血小板が傷に集められる。勇人の傷はみるみるうちにふさがっていった。
「あなたは……?」
困惑した顔になる勇人に、その女性は優しく微笑んだ。
「私は12使徒の1人『森人類(エルフ)』のエルフリーデ。姫子の母よ。詳しい話を聞かせてもらえるかしら」
こうして。勇人は『森人類(エルフ)』たちのキャンプに招かれるのだった。


「そう……私たちのせいで、お父さんやあなたにも迷惑をかけてしまったみたいで、ごめんなさいね」
今までの話を聞いたエルフリーデは、勇人に深く頭を下げた。
「いや、それはいいんですが、どうして姫子の前から姿を消したんですか?彼女は寂しがっていましたよ」
日本で無理をしながら一人で頑張って生きていた姫子のことを伝えると、エルフリーデではポツポツとその理由を話し始めた。
「私たち『森人類(エルフ)』は、森を育て、自然と共に生きてきた種族だったの」
それによると、彼らの能力は大地に走る微弱な電気をコントロールして一か所に集め、そのエネルギーで大気中の窒素を化合して肥料を作り出し、植物を育てるといったものらしい。その力で森を活性化し、狩猟生活で生活を立てていた。
「しかし、その力を北句麗王国を支配していた『竜人類(ドラゴン)』の金一族に目をつけられてしまったの」
今から30年前、『苦難の90年代』という飢饉が北句麗王国を襲った。当時から世界中で孤立していた王国は、他国の援助の手を受けず、別の解決法を選んだという。
「別の解決法?」
「手下となっていた『蛇人類(スネーク)』を使い、世界中から『森人類(エルフ)』を誘拐して農業に拘わらせることよ」
その手は正体を隠して日本にいた『森人類(エルフ』たちにも及び、王子である金正夫(キムジョンフ)が派遣された。
「しかし、彼は狭い北句麗から出て、世界を見たことで、自分の国がいかに貧しく後進的であるかを知った。葛藤を抱えているときに、私と出会って恋に落ちたの」
彼はよく語ったという。『森人類(エルフ』たちを捕まえて奴隷にするよりも、他国の手を借りて北句麗を開発し、貿易で肥料を輸入にして国土を豊かにすべきだと。
「そのことを訴えた彼は、国家体制に反逆するものとして、容赦なく暗殺されてしまった」
エルフリーデの顔が、暗く沈む。
「そのことを知った私は、娘をお父さんに託してこの北句麗王国に来たのよ。あの人の意思を継いで、奴隷にされた同胞たちを救うためにね」
「そうだったんですか……」
長い話を聞き終えた勇人は、大きなため息をついた。
「それで、なぜ姫子まで狙われたのかしら」
「船から救い出したときに姫子から聞きました。なんでも、彼らの神てある『白竜(バイロン)』とやらの封印を解く為だと」
それを聞いたエルフリーデンの顔が、さっと青ざめた。
「いけない。白竜山には、私と同じ12使徒の1人『竜人類(ドラゴン)の白竜(バイロン)』が、自我をなくした状態で封印されているの、もし彼が目覚めたら、冗談ではなく人類が滅びるかも知れない」
エルフリーデによると、白竜は大地の地脈ー地面を奔る電気エネルギーを使って、地中のマグマを操れるという。その気になったら世界中の火山を噴火させることも可能ときいて、勇人の顔も強張った。
「す、すぐに行きましょう」
こうして、勇人は『森人類(エルフ)』たちと共に白竜山に向かうのだった。

白竜山の噴火口近くには、まるで闘技場のような広さの石で作られた祭壇があって、その近くの台に下着姿の姫子が縛り付けられている。
その前では、『蛇人類(スネーク)』の精鋭部隊に守られた黒いローブをまとった男が、姫子を見下ろしていた。
金王朝の国王、金正竜(キムジョンロン)である。今まさに、白竜復活の儀式は始められようとしていた。
「くくく……我が『竜人類(ドラゴン)』の偉大なる祖先、白竜(バイロン)様の封印を解くことができれば、核兵器以上の力を得て、わが国が世界を征服できる」
「もったいねえな。結構可愛いのに」
そうつぶやいたのは、王子にして大将軍の金正王(キムジョンワン)。彼は姫子を気に入った様子で、下着姿にされた彼女をニヤニヤと眺めていた。
「白竜様に捧げる生贄は、処女が望ましいのだ。手を出すでないぞ」
「ちっ」
しぶしぶといった様子で、姫子から離れる。
その時、『蛇人類(スネーク)』から報告が入った。
「森に不穏な気配があります。エルフリーデ率いる『森人類(エルフ)』たちが奪還にやってきたようです」
それを聞いて、ジョンワンは父親に告げる。
「親父はここで儀式を続けていてくれ。俺が蹴散らしてくる」
「うむ。お前ひとりで大丈夫か?」
「問題ねえ。炎のブレスで全滅さ。『蛇人類(スネーク)』どもは儀式を守っていろ」
そう言い捨てて、ジョンワンは白竜山の周囲に広がる森に向かう。ジョンロンは、そんな息子を冷たい目で見送った。
森に向かったジョンワンは、自らに備わった第三の目―体温を感知する『ピット』という器官に意識を集中させる。すると、森に隠れるように潜む『森人類(エルフ)』たちの体温を感じることができた。
「いくら隠れたって無駄だ。全員焼き殺してやる」
ジョンワンは大きく息を吸いこみ、肺の中で可燃性ガスを作る。
「あばよ!」
ジョンワンから吐き出された炎のブレスが、『森人類(エルフ)』たちに降りかかるのだった。

「エルフリーデ様!空を!」
『森人類(エルフ)』の1人が、空を指さす。はるか上空に、竜の姿をした人間が飛んでいた。
「あいつは金将軍だわ。みんな、絶対に見つからないように息をひそめているのよ」
エルフリーデの指示により、『森人類(エルフ)』は森に身を隠す。
しかし、ジョンワンから放たれたブレスは、正確に『森人類(エルフ)』たちに飛んできた。
「もうだめ!」
エルフリーデたちが目をつぶった瞬間、巨大な蝙蝠のような人間が飛び上がり、ブレスの前にでる。
「『地神盾』」
腕のバックラーが輝き、巨大な盾を作ってブレスを受け止めた。
「勇人ちゃん!」
「こいつは俺に任せて下さい。エルフリーデさんたちは姫子を!」
ブレスを防いだ勇人は、地上の『森人類(エルフ)』たちに告げる。
「わかったわ。みんな、今ならまだ間に合うわ、姫子を救って儀式を止めるわよ!」
「おう!『地雷移動』」」
『森人類(エルフ)』たちは森から飛び出すと、電気体になって地面に潜り、白竜山を駆け上がっていった。
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