69 / 90
考察
しおりを挟む
ヴァニタス家に攫われて初めての夜が明けた。
私が予想した通りあれ以降彼らが部屋に来ることはなかった。
飢えさせるつもりはないのか軽い朝食が出されたことにチグハグな印象を受けるが、何というかヴァニタス親子は悪党と言うにはどこかしら小物感が漂っている。
まぁ、そんなことを思われていると知ったら怒るでしょうけど。
「これってけっこうな証拠よね?」
私は手元に残された書類を眺めながらそう呟いた。
書類には昨日言われた内容が書かれているわけだが、私が無事に救出されればこれが脅迫の証拠となることに彼らは気づいているのだろうか。
悪事に手を染めている割には彼らのやっていることに抜けているところが多く、そのせいか私自身昨日よりも少し気持ちに余裕が出ていた。
「ウィラー青年はちゃんとべラルド卿と会えたかな」
窓から外を見れば太陽はだんだんと上がっていっている。
とはいえヴァニタスが言っていた期限にはまだ時間があった。
何もない状態でベラルド卿が助けに来てくれるとは思わなかったが、SOSを出したからには彼は何かしら動いてくれるだろう。
それくらいの信頼はある。
問題はウィラー青年が無事に会えたかどうかだ。
べラルド卿はトルス国の宰相。
対してウィラー青年は一介の騎士に過ぎない。
普通に考えれば簡単に会える相手ではないよね。
そこら辺はウィラー青年の手腕にかかっている。
それにしても、レイラ嬢が私を疎ましく思うのはわかるけどヴァニタス卿はなぜああも法案に反対するのだろう?
たしかに家門としての仕事が決まっていれば収入源が確保されているわけだから安心だ。
ただ、競争相手がいないことで切磋琢磨される機会が少なく、ある意味漫然と仕事をし続けても許されてしまう土壌ができているように思えた。
何となく世襲議員を思い出しちゃうよね。
そういえば日本では金融機関の人とかは癒着を防ぐためか一所に留まることなく、配属先が数年に一度変わるんだっけ。
そんなことを親が金融勤めの友だちが言っていたように思う。
「まさか……」
そこまで考えたところでふと気づいた。
「もしかして、何か後ろ暗いことをしてる?」
だからこそ書類に資金の横領などという内容が盛り込まれているのではないだろうか。
何も悪いことをしていない人ならこんなこと思いつかないだろうし。
何よりも法の改善に強固に反対しているのも怪しかった。
少しでも国を良くしていこうという姿勢があれば、悪いところは改善して良いところを残していくのが一番。
でも既得権益を得ている人ほど変化を求めない。
なぜなら都合が悪くなるからだ。
「どこの国も一緒ね……」
おそらく私の予想は大きく外れていないはず。
だったら変化を起こすためにも膿は出し切らなければならない。
「レグルスくんの相談に乗った時点で、巻き込まれることは避けられなかったってことか……」
ある意味自業自得?
いや、ヴァニタス家が悪いことをしていなければ問題なかったはずなんだから、私のせいではない……と思いたい。
そんなことを考えながら、私は事態が動くのを待ったのだった。
私が予想した通りあれ以降彼らが部屋に来ることはなかった。
飢えさせるつもりはないのか軽い朝食が出されたことにチグハグな印象を受けるが、何というかヴァニタス親子は悪党と言うにはどこかしら小物感が漂っている。
まぁ、そんなことを思われていると知ったら怒るでしょうけど。
「これってけっこうな証拠よね?」
私は手元に残された書類を眺めながらそう呟いた。
書類には昨日言われた内容が書かれているわけだが、私が無事に救出されればこれが脅迫の証拠となることに彼らは気づいているのだろうか。
悪事に手を染めている割には彼らのやっていることに抜けているところが多く、そのせいか私自身昨日よりも少し気持ちに余裕が出ていた。
「ウィラー青年はちゃんとべラルド卿と会えたかな」
窓から外を見れば太陽はだんだんと上がっていっている。
とはいえヴァニタスが言っていた期限にはまだ時間があった。
何もない状態でベラルド卿が助けに来てくれるとは思わなかったが、SOSを出したからには彼は何かしら動いてくれるだろう。
それくらいの信頼はある。
問題はウィラー青年が無事に会えたかどうかだ。
べラルド卿はトルス国の宰相。
対してウィラー青年は一介の騎士に過ぎない。
普通に考えれば簡単に会える相手ではないよね。
そこら辺はウィラー青年の手腕にかかっている。
それにしても、レイラ嬢が私を疎ましく思うのはわかるけどヴァニタス卿はなぜああも法案に反対するのだろう?
たしかに家門としての仕事が決まっていれば収入源が確保されているわけだから安心だ。
ただ、競争相手がいないことで切磋琢磨される機会が少なく、ある意味漫然と仕事をし続けても許されてしまう土壌ができているように思えた。
何となく世襲議員を思い出しちゃうよね。
そういえば日本では金融機関の人とかは癒着を防ぐためか一所に留まることなく、配属先が数年に一度変わるんだっけ。
そんなことを親が金融勤めの友だちが言っていたように思う。
「まさか……」
そこまで考えたところでふと気づいた。
「もしかして、何か後ろ暗いことをしてる?」
だからこそ書類に資金の横領などという内容が盛り込まれているのではないだろうか。
何も悪いことをしていない人ならこんなこと思いつかないだろうし。
何よりも法の改善に強固に反対しているのも怪しかった。
少しでも国を良くしていこうという姿勢があれば、悪いところは改善して良いところを残していくのが一番。
でも既得権益を得ている人ほど変化を求めない。
なぜなら都合が悪くなるからだ。
「どこの国も一緒ね……」
おそらく私の予想は大きく外れていないはず。
だったら変化を起こすためにも膿は出し切らなければならない。
「レグルスくんの相談に乗った時点で、巻き込まれることは避けられなかったってことか……」
ある意味自業自得?
いや、ヴァニタス家が悪いことをしていなければ問題なかったはずなんだから、私のせいではない……と思いたい。
そんなことを考えながら、私は事態が動くのを待ったのだった。
625
あなたにおすすめの小説
私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!
近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。
「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」
声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。
※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です!
※「カクヨム」にも掲載しています。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
恋愛は見ているだけで十分です
みん
恋愛
孤児院育ちのナディアは、前世の記憶を持っていた。その為、今世では恋愛なんてしない!自由に生きる!と、自立した女魔道士の路を歩む為に頑張っている。
そんな日々を送っていたが、また、前世と同じような事が繰り返されそうになり……。
色んな意味で、“じゃない方”なお話です。
“恋愛は、見ているだけで十分よ”と思うナディア。“勿論、溺愛なんて要りませんよ?”
今世のナディアは、一体どうなる??
第一章は、ナディアの前世の話で、少しシリアスになります。
❋相変わらずの、ゆるふわ設定です。
❋主人公以外の視点もあります。
❋気を付けてはいますが、誤字脱字が多いかもしれません。すみません。
❋メンタルも、相変わらず豆腐並みなので、緩い気持ちで読んでいただけると幸いです。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
魅了魔法に対抗する方法
碧井 汐桜香
恋愛
ある王国の第一王子は、素晴らしい婚約者に恵まれている。彼女は魔法のマッドサイエンティスト……いや、天才だ。
最近流行りの魅了魔法。隣国でも騒ぎになり、心配した婚約者が第一王子に防御魔法をかけたネックレスをプレゼントした。
次々と現れる魅了魔法の使い手。
天才が防御魔法をかけたネックレスは強大な力で……。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
【完結】異世界から来た聖女ではありません!
五色ひわ
恋愛
ミシュリーヌは、第四王子オーギュストの妃としてフルーナ王国の王宮で暮らしている。しかし、夫であるオーギュストがミシュリーヌの寝室に訪れることはない。ミシュリーヌは聖女の力を持っていたため、妻に望まれただけなのだ。それでも、ミシュリーヌはオーギュストとの関係を改善したいと考えている。
どうすれば良いのかしら?
ミシュリーヌは焦っていた。七年間かけて国中の水晶を浄化したことにより、フルーナ王国は平穏を取り戻しつつある。それは同時に聖女の力がこの国に必要なくなったことを意味していた。
このまま、オーギュストの優しさに縋ってお飾りの妻を続けるしかないのだろうか。思い悩むミシュリーヌの前に現れたのは、オーギュストの恋人を名乗る女性だった。
・本編141話
・おまけの短編 ①9話②1話③5話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる