魔性少女カスミちゃん~隣の刹那君は私に惚れない~

三一五六(サイコロ)

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四性 刹那君の正体

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「そうちゃん、行ってくるから賢く留守番しといてね!」
「はーい!」

 よし、今日こそは惚れさせてやる。
 毎日、こんな感じで失敗してるけどね、フフ! ……わ、笑えない。
 早速、今から刹那君の家の近くの待機場所に向かう。なんか、探偵みたいだな。
 サッ、ササ、サッ! っと移動完了!
 って、この足音は忍者じゃん。ニンニン! ドロン!
 それより来る時にかなりの人に見られたな。流石、私だ。
 でも、今日は目立たない格好をして来たのに何でかな?
 帽子、眼鏡、マスク、黒のロングコート、黒のジーンズっ感じ。
 完璧な変装だと思うんだけど、みんなもそう思うよね?
 あ、その話は今はどうでもよくて、ターゲットが扉から出てきた。
 ここはバレない距離をとって尾行っと! そろり、そろり!
 おっと、最近流行りの狂言のモノマネをしてしまった。
 なんか一人で『ストーキング』じゃなくて『尾行』するのって緊張感が半端ないね。
 それよりどこに向かっているのかな? 荷物もかなり大きいし、アレって何だろう?
 あっという間に若者に流行っている都内の街まで来たけど、あの陰キャのプロの刹那君が、何でリア充が集まる街に来ているのかな?
 実はホストクラブの人気ナンバーワンでしたとか?
 それとも猫耳メイド喫茶の常連客のパターン?
 いや、あの大きな荷物はギターだ。多分、巷で有名なバンドマンじゃないかな?
 果たしてこの中に正解はあるのか。

「あ、そこを右ね」

 刹那君は路地裏に入る角を曲がった。
 路地裏の見えづらい場所にライブハウスがあるパターンだな。
 私も急いで曲がろっと!
 刹那君はどこかな? お、普通に歩いてるし!
 ここはあえて堂々と歩こう。逆に怪しまれないようにね。
 私は刹那君のバンド仲間、刹那君のバンド仲間、バンド仲間、仲間!
 思い込みが大切。そう、何でも思い込みが力を発揮する。

「誰だ?」

 ん? 誰の声? 空耳かな?
 かなりドスの効いた声だったよね? 怖いな、怖い、ヤクザかな?

 ―ービュン!

 お、なんか前から刃物のような物が飛んできたけど、気のせいかな?
 恐る恐る振り返ってみると、電信棒に綺麗にナイフが刺さっているではありませんか!
 これってなんかヤバいやつ?

「何で僕を尾行していたんですか?」

 あ、バ、バレたかな? これってアウトだよね?
 てか、なんて言えばいいのか分からないんだけど、どうしたらいいかな?

「答えてください。工口さん」

 名前まで呼ばれたら、もう逃げられないよね。
 ここは仕方なく諦めるか。
 変装グッズを片付けてっと!

「た、たまたま通る道が一緒だっただけだよ」

 かなり厳しい言い訳をしてしまった。小学生レベルだな。
 いや、今の小学生の方がまだマシか。

「そういうことですか。じゃあ、こちらもそれなりの対応を取らしてもらいます」

 何それ。それなりの対応って何?
 さっきナイフを投げた人に、それを言われると恐怖しかないんですけど……。
 命は大丈夫だよね?

「他の人に聞かれると面倒なので、もう少し奥に行きましょう」

 それは私の悲鳴でしょうか?
 って、聞けない私は刹那君に手を捕まれ、奥の方へ連れて行かれる。
 そこは昼間というのに真っ暗。微かにカラスの鳴き声が聞こえるだけ。

「じゃあ、もう一度聞きます。本当の目的は何ですか?」

 これで嘘をついたら絶対に殺されるよね。うん、地面の下に地獄が見えるから絶対にそうだ。

「そ、その……私にとって刹那君は宇宙人みたいな存在だったの。それで私は色々知りたいと思った人を、知らないうちに尾行してしまうらしいくて……」

 あ、嘘をついてしまった。自分でも意味が理解できない嘘だ。

「う、宇宙人って……」

 刹那君の表情が……

「面白すぎでしょ!」

 笑顔に変わった。
 あ、おそらく救われたのかな? セーフ、セーフ!

「あ、あははは」

 ここはお得意の苦笑い。
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