あなたの心臓になれたなら。

高校生の少年・キヨは、通信制の高校に通っているが、月に2回の登校さえ難しいほどの息苦しさを感じていた。
学校では陰口を言われ、何をしても嘲笑される毎日。誰からも必要とされず、自分から誰かを求められる程の勇気もない。憂いを覚える日々の中、キヨは少しずつ自分の周囲を膜で囲っていく。
何層にも重なった膜に閉じこもり自分を守る事で必死だった。
誰からも嫌われぬよう、はじめからすべてを拒絶して上手に呼吸もできない自分を責めては苦悩し、周囲との繋がりを断ち切る。それが「正しい事」だと信じていた彼だったが、彼を苛む負の感情はやがて希死念慮へと形を変える。
やがて、彼が立っていた場所は雑居ビルの屋上であった。まるで吸い寄せられるように金網を超えて、眼下に広がる世界を見ていた。
そんな時、不意に彼は鼻腔を線香の匂いがしたのを感じた。次いで、癖のある啓発な声が届く。
振り向いた先、そこには男が立っていた。髪も瞳も、身にまとう服も何もかもが黒色の彼。そんな中、彼の肌だけが異様な青白さを際立たせていた。
まさに投身自殺が行われようとしている瀬戸際に男は尚も明るく言った。
「お前の心臓、俺に頂戴。」……と。
そして男は信じられない言葉を発する。自分は「死神」なのだ、と。
そこから始まる男子高校生と死神の奇妙な毎日。
「命を刈り取る筈の存在に、何故だか俺は、今日も生かされている――……。」

ちっぽけな矜持を守る為、自ら不幸の道を行く彼と死神と名乗る男の惨めな嘘。
「目が覚めた時、お前がいる。それだけで、こんなに泣けて来ちゃうのはなんでだろ?」

ふたりが紡ぐ「繋がり」の物語。
苦悩し嘆きながらも生きて来た。その一本道で出会うべくして運命を選んだ。
これが「奇蹟」じゃないというのなら、一体なんだと言うの?
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