――おふたりはWebコミックの連載は「制御魔法」と「平兵士」が初めてですが、何か仕事の仕方や環境に変化はありましたか?
なお自分のほうは、仕事の仕方に違いはありません。Webコミックの場合、サイトによっては原稿が1ページずつ表示されるケースもありますが……アルファポリスのコミックは基本2ページごとに表示されます。コミックスにまとまった時も2ページずつ読むことになりますから、隣り合うページが同じような構図にならないようにネームの段階から気を配るなど、むしろ紙媒体と同じ意識で仕事をするように心がけています。
イゾ私は、Webコミックではノド(※)を空けなくなりました。紙媒体ではノド側の絵や文字が食い込まれるので、ノド付近にはあまり絵を描かないようにしていたんです。「平兵士」も第1話はノドを空けていたのですが、真ん中の余白が気になって……。第2話以降は、ノドを空けずに描くようになりました。
※編集部注「ノド」
印刷用語で、本の綴じ部付近のこと。その部分に絵や文字があると見切れてしまうため、紙媒体用の原稿はノドに余白を作ることが鉄則となっている。
それと、無料配信についてはありがたく思っています。Twitterで更新の告知をすると、友達やTwitterでフォローしてくれている方から「見たよ」って感想をいただけることが増えました。雑誌はわざわざ買わないといけないけど、無料配信なら気軽に読めますからね。
なお編集さんも漫画を知っている方が担当してくれているので、安心感がありますね。
――なるほど。今回のインタビューでは、ご夫婦で漫画家をなさっていることのメリットをたくさんうかがえましたが、デメリットはあったりしますか?
なおうーん……お互い、我が強い! 主張がぶつかり合うと、お互いになかなか譲らないから大変なんですよ(笑)
――そこですか(笑)。日常生活で困ることはありませんか?
イゾそれはないかな。もともと私たちは、他人と暮らしても平気なタイプの人間同士なんです。同業の知り合いの方たちに、同じ仕事部屋に毎日一緒にいるのは辛くないかっていわれることもあるんですけど……人として最低限の決まりごとさえ守られていれば、全然辛くないんです。
なお外に出て働いている人たちから見れば、24時間ずっと一緒にいるのはありえないって思うみたいですが、全然大丈夫ですね(笑)。アシスタント時代に、集団生活で寝泊まりしながら作業していたから、慣れているのかな。
――それはすごいですね。……で、先ほど仕事場に宅急便が届いて、なお先生がさっそく荷物を取り出していましたが?
なおiQOS(加熱式タバコ)のキットが一式入るケースです。イゾからのクリスマスプレゼントなんですよ。
イゾなおさん、12月生まれなんです。iQOSが欲しいっていうから、キットを誕生日にプレゼントしたら、今度はクリスマスプレゼントにケースが欲しいって。うまく言うなぁって思いました(笑)。超合金のおもちゃが欲しいって言わなかったから、今回はよしとしようと(笑)
――では最後に、今後の目標をお願いします。
なお幅広くいろいろな仕事をしたいです。イラストも、ロボットやキャラクターデザインの仕事も全部込みで。これまで身につけてきたスキルや経験を活かして、漫画に縛られず、絵に関わる仕事をしていきたい。もちろん、単行本になる漫画の仕事もやりたいです(笑)
イゾ私は、単行本になるお仕事をいっぱいしたいです。自分の名前がついた本が、ひとつでも多く世の中に出せればいいなと思います。ふたりともずっと、この仕事を続けていきたいですね。
――お忙しい中、全4回にわたるロングインタビューに応じていただき、誠にありがとうございました。よりよい漫画を読者のみなさんにお届けするため、これからもよろしくお願いいたします!
ふたりお疲れ様でした。こちらこそ、ありがとうございました。
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