漫画家へGO プロ漫画家インタビュー

No. 2THE NEW GATE
三輪ヨシユキ先生

わたしの履歴書

第2回 三輪先生の仕事道具&漫画制作スケジュールを大公開!

仕方なくのデジタル移行だったが、作業スピードが格段に上がった。

――デジタルへ移行した切っ掛けはなんだったのですか?

トーンストックがなくなってしまって、地方在住だったため、すぐにトーンの調達ができず、もう強制的に仕上げのみコミスタに移行せざるを得なかった。それ以降はネームから線画まではアナログ、仕上げはデジタルでした。

――フルデジタルへ移行したのはなぜなんですか?

今度は原稿用紙のストックがなくなってしまって。もうどうせだったら、すべてデジタルでやってみるか、という感じで移行したんです。その時にちょうどクリスタ(編注:クリップスタジオ)が出ていて、実はコミスタ(編注:コミックスタジオ)、よくわかってなかったので、いっそクリスタを一から覚えたほうがいいのでは、と使い始めました。それからは、ネームから仕上げまですべてデジタルで描いています。

――アナログ時代とどう違いますか?

なんといってもスピードが格段に上がります。修正とかトーン貼り替えとか、ボタン一発で直せちゃいますから、すごい作業が楽になりました。それと私は筆圧高いっていいましたが、鉛筆で下絵描くじゃないですか、それをペン入れしたあと、下描き線を消しゴムで消すんですが、うまく消せないんですよ。鉛筆線が筆圧のせいで溝のようになってて、かなり力を入れないと消えてくれない。すべてのページを消しかけすると指がちぎれそうになり、もうこの時だけは消しかけだけのアシスタントがほしいと心から願いましたね(笑)。それがデジタルだと簡単に消せる、もう天国ですよ! アナログ時代、この消しかけ作業がいやでいやで、途中からネームを下絵代わりに、直接ペン入れし始めたくらいですから。

――え? 下絵、描かないのですか!? 失礼かもしれませんがあのかなりラフなネームから線画を一発描きしてたんですか??

ええ、あのネームから(笑)。新人時代の途中から下絵が面倒になり一発描きです。絵の構図やパースはある程度、パッと見て直感的に描き出せたので、頭の中で組み立てて、どんどんペンを入れていきます。ただ、実は、何度も直してしまうリスクを回避している面もあります。例えばアナログ時代、入り組んだ構図の絵柄や動きのある絵など、おおまかにアタリを入れた後、気合を入れて鉛筆で下絵を描くとその線が一番輝いてしまったんです。そしてその後、2回目となるペンを入れた線が、気合が乗らずのっぺり、あっさりしてしまうことが多く「ああっ、あの輝いた線が再現できない!」という悔しい思いを何度味わったか。そして何度描き直したことか! そのせいで、締め切りがヤバイことにもなったので、いっそ一発で気合を入れて描いた方が、輝く線を描けるようになるのではと。結果、連載デビューできたので、切り替えてよかったと思います。

――おお! それではその話は次回の作画の工程をお聞きする時に実際にどうやっているか、お聞きします。逆に気を付けている点などはありますか?

気を付けているのは、統合前のデータは必ず残しておく、とかでしょうか。うっかり統合データしか残していないと大変なことになります。ちょっとした修正のはずが、レイヤーが分かれていないために1ページ丸々修正になる恐ろしさ(泣)。

――ああ、確かに。レイヤーが分かれていれば、部分だけの修正で済みますが、分かれていないとすべてのコマに手をいれなければならなくなりますもんね。

そうなんです。面倒くさがりとしては考えただけで悲鳴がでてしまいますね(笑)

――(笑)、では現在はどんなデジタル機器を使用していますか?

液タブ「Cintiq Companion 2」を使用しています。それをそのまま、パソコンのデスクトップにはつなげずに使っています。

これが、三輪さんの愛用タブレット。漫画はもちろん落書きにも重宝。

――どうしてつなげてないのですか?

机に向かっての仕事が得意でないのと手元を見ながら描けないのが苦手で、それと持ち運びできるのが大きいですね。現在6歳の息子がいるのですが、締め切りに合わせるように熱を出したり体調を崩すことが。その場合、寝室に1人寝かせるというのは無理なので、となりで作業できるようにと。ただ気を付けないと、うっかり寝てしまうことも。起きたら何描いてたんだか、わからない時があったりしますね(笑)

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