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四章 先生の恋にもおにぎりを ~胃袋を掴む、カルボナーラ風ベーコンエッグ~
⑨
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「まず、ベーコンを炒めていきます」
ベーコンを入れると同時に、油が跳ねた。
そんなの慣れている隼斗君は気にしていない。
こんがりと焼き目がつくまで、隼斗君は鼻歌混じりで炒めている。
仕事がない私は、指示があるまで隣で見守ることにした。
「よし、ベーコンに火が通ってきたら、六原さんが作ったソースを入れるよ! バターも忘れずにね」
あ、これ……ソースなんだ。
バターを入れてから、ボウルの中身をフライパンの上に流し込んだ。
薄黄色の液体がグツグツするまで、火を通していくみたいだ。
「ちょうど良く火が通ったら、一旦火を止めて……」
あ、火を止めた。
次は何をするんだろう……。
田尻先生も声を出さずに、一生懸命にその作業を見ていた。
「ここで米を投入します! そして調味料も……」
お父さんが持ってきてくれたたくさんの調味料も、リズムよく入れていく。
えーと……塩コショウに、あれは……ガーリックパウダー? 小瓶のラベルにそう書かれている。
どちらも目分量で入れた。
まだまだ出てくる調味料。
次に入れたのは……コンソメスープの素だ。
粒のようなコンソメスープの素を、これもまた目分量でシャッシャッと追加。
カルボナーラの素となるであろう卵の液状に、だんだんと火が入り、お米と調味料が混ざっていく。
「うわぁ、すごい美味しそう……」
隼斗君の隣で、心の声が漏れてしまった。
それを聞いた隼斗君はこっちを見てニコッと微笑む。
炒める用の木ベラでチャーハンを作るように混ぜ炒めていった。
これはカルボナーラパスタならぬ、カルボナーラチャーハン? みたいな感じか。
ベーコンがカリカリして、美味しそう……。
「最後に醤油で味を調整して……よし、完璧だ!」
火を止めて、ビニール手袋をつけた隼斗君。
お、いよいよ握るのか。
「超絶熱いから、六原さんは触らないで!」
「わ、わかった! 私は何をすれば……」
「じゃあ握ったおにぎりの上から、ブラックペッパーを少し振りかけてほしい」
「ブラックペッパーね! わかった!」
キッチンの見やすい位置に置いてあったブラックペッパーを手にする。
隼斗君はフライパンの上のカルボナーラチャーハンを手の上にのせて、「アチッアチッ」と声に出しながら握っていった。
田尻先生が「やけどしないでね」と忠告する。
隼斗君は「余裕だよ!」と笑顔で答えた。
一つ、また一つと握られていく。
今日は三つ分みたいだ。隼斗君と田尻先生と……私の分かな?
ブラックペッパーを上からパラパラとかけていって……正方形の綺麗な白い皿に、三つのおにぎりが並ぶ。
「カルボナーラ風ベーコンエッグのおにぎり、いっちょあがり!」
ベーコンを入れると同時に、油が跳ねた。
そんなの慣れている隼斗君は気にしていない。
こんがりと焼き目がつくまで、隼斗君は鼻歌混じりで炒めている。
仕事がない私は、指示があるまで隣で見守ることにした。
「よし、ベーコンに火が通ってきたら、六原さんが作ったソースを入れるよ! バターも忘れずにね」
あ、これ……ソースなんだ。
バターを入れてから、ボウルの中身をフライパンの上に流し込んだ。
薄黄色の液体がグツグツするまで、火を通していくみたいだ。
「ちょうど良く火が通ったら、一旦火を止めて……」
あ、火を止めた。
次は何をするんだろう……。
田尻先生も声を出さずに、一生懸命にその作業を見ていた。
「ここで米を投入します! そして調味料も……」
お父さんが持ってきてくれたたくさんの調味料も、リズムよく入れていく。
えーと……塩コショウに、あれは……ガーリックパウダー? 小瓶のラベルにそう書かれている。
どちらも目分量で入れた。
まだまだ出てくる調味料。
次に入れたのは……コンソメスープの素だ。
粒のようなコンソメスープの素を、これもまた目分量でシャッシャッと追加。
カルボナーラの素となるであろう卵の液状に、だんだんと火が入り、お米と調味料が混ざっていく。
「うわぁ、すごい美味しそう……」
隼斗君の隣で、心の声が漏れてしまった。
それを聞いた隼斗君はこっちを見てニコッと微笑む。
炒める用の木ベラでチャーハンを作るように混ぜ炒めていった。
これはカルボナーラパスタならぬ、カルボナーラチャーハン? みたいな感じか。
ベーコンがカリカリして、美味しそう……。
「最後に醤油で味を調整して……よし、完璧だ!」
火を止めて、ビニール手袋をつけた隼斗君。
お、いよいよ握るのか。
「超絶熱いから、六原さんは触らないで!」
「わ、わかった! 私は何をすれば……」
「じゃあ握ったおにぎりの上から、ブラックペッパーを少し振りかけてほしい」
「ブラックペッパーね! わかった!」
キッチンの見やすい位置に置いてあったブラックペッパーを手にする。
隼斗君はフライパンの上のカルボナーラチャーハンを手の上にのせて、「アチッアチッ」と声に出しながら握っていった。
田尻先生が「やけどしないでね」と忠告する。
隼斗君は「余裕だよ!」と笑顔で答えた。
一つ、また一つと握られていく。
今日は三つ分みたいだ。隼斗君と田尻先生と……私の分かな?
ブラックペッパーを上からパラパラとかけていって……正方形の綺麗な白い皿に、三つのおにぎりが並ぶ。
「カルボナーラ風ベーコンエッグのおにぎり、いっちょあがり!」
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