普通の学生だった〜番外編｡「吸血鬼」

お手伝い 4

メイド視点

｢ぼくがおきがえする!!｣
｢｢え？｣｣
｢ひとりでおきがえなの!!｣
先程まで寝ていらっしゃった柚琉様は珍しく夜着のままテレビをご覧になっていたのですが…。
…あぁ､1人でお着替えしたコーナーがあったんですね。
さすが教育番組です｡
 ｢お手伝いの次はひとりで､ですか｣
｢…たちけて｣
まずはひとりで夜着を脱ごうとしたのでしょう。
ワンピース型の夜着のすそを掴んでバッと上にあげたら…そのまま絡まって動かなくなってしまいました。
｢むぅ…｣
｢柚琉様､もう少し簡単なお洋服の時にお着替えに挑戦しましょうね｣
｢今日は奥様とのお出かけとのことでめいっぱいオシャレするのでしょう？｣
｢うん!!｣
絡まってしまった夜着を脱がせ､これまたワンピースを頭から被せました。
柚琉様はコロコロとしてしまうことが多いので上下がわかれていますと可愛らしい真っ白なお腹がチラチラと見えてしまうのです。
｢ぼくがあたまえらぶー!!｣
｢｢え？｣｣
｢ぼくね､これするの!!じぶんでやるの!!｣
先日お店で買われたヘアピンを手に取って言われました。
…なんでも自分でやりたい頃なのでしょうか。
｢ままにね､がんばったねーってしてもらうの!!｣
｢褒められたいのですね｣
｢柚琉様ならば毎日のようにお勉強もなされていますし成果を見せれば奥様は褒めてくださるのでは？｣
｢あのねーままおしごとなのー…｣
お仕事で普段は構っていただけない、と仰っているのでしょうかね。
言葉が足りていませんけど…想像で補うしかありません。
｢ぱっちんできたよー!!｣
｢｢お上手です｡柚琉様｣｣
しかし…私達が髪をセットする前にヘアピンをつけてしまったのですね。
上手く崩さないようにセットしなければいけなくなりましたね…｡