竜の花嫁〜最弱回復術師から世界最強の花嫁への道〜

本編

10

｢リオ｡何が食べたい？｣
｢あ､えっと…その…｣

ど…どうしよう｡見たことの無いものばかりで何がどんな味なのか…分からない｡

｢どうした？｣
｢あの…僕…分からない…ので…サトが…選んで…ください｣
｢リオの好きそうなものか…｣

サトは悩みながら大皿から数品取り分けてくれた｡

｢こんなものか｣
｢…ありがとうございます｣

僕はカトラリーを手に取ろうとしたのだがサトが先に取ってしまった｡

｢…え？｣
｢私が食べさせてやろう｣
｢うっわ…激甘…きっつ…｣

黄色の髪をした人がそう呟いていた｡

｢ほら､リオ｡口を開けろ｣
｢あの…僕1人で…｣
｢リオ｣
｢はい…｣

僕が大人しく口を開けると何かを口に入れられた｡

｢これ…なんです…か？｣
｢ドラゴンの尻尾の肉だ｣
｢ぇ…｣

ちょっと口から出そうになった｡

ど…ドラゴン…？世界を脅かすと言われている…あれ？サト達って…竜人だよ…ね？ドラゴンの仲間…？

｢…リオ？｣
｢あー…俺らとは違うから安心しな？ドラゴンって呼んでるデカ目のトカゲだから｣
｢とかげ…？｣
｢俺たちは竜種｡正真正銘のドラゴンだけどこいつは偽物｡それも食用に育てられたやつだから｣

赤色の人が丁寧に教えてくれた｡

｢すまない｡人族は食べないのであったな｣
｢…いえ｣

美味しいし…｡でも少し筋が噛みきれない｡最近僕…パンしか食べてなかったから噛む力が弱くなってしまったのかもしれない…｡

｢リオこっちを向け｣
｢は…ぁ…｣

サトは唇を合わせ…舌を入れて僕の口の中からお肉を抜き取っていった｡

｢リオには硬かったな｡これからは人族用の食事を用意させよう｣
｢…美味しかった…です｣
｢リオに無理をさせる訳にはいかないからな｣

…僕はパンと水だけでいいのに｡でもさっきの…あの美味しい味を知ってしまったら…もう元の食事には戻れないかもしれない｡