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姉と恋バナと誤解の午後
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「ただいま……」
学校から帰ってきた僕は、玄関でため息をついた。どうしよう……完全に誤解されたままだ。
「やらかしたな、僕は……」
トボトボと歩みを進めながら、リビングのソファにグダっと倒れ込む。
普段だったらこんな時はアニメでも見て気分を紛らわせるのに……白瀬さんの顔が脳裏をよぎって、どうしてもそんな気分になれない。
そんな時だった。玄関の方から「ただいま」という聞き慣れた声がした。
「なんだ、蓮もう帰ってたの……てかその姿、一体なに?」
「おかえり、姉さん……なんでもないよ。ただ今はこうしていたいだけ……」
「そ、そう……なんか変だな」
姉さん――有馬すず。それが姉さんの名前だ。大学生の姉さんは僕なんかよりずっと優秀で、人望もある。
学校ではよく、広い交友関係を持つ姉さんと比べられてきたっけ。
そんなことを考えていると、頬にひんやりとした冷たい感覚が伝わってきた。
ふと目線を上げると、そこには冷えた缶コーラを持った姉さんがいた。
「何か悩みでもあるんでしょ?」
「……ないよ」
「嘘つけ。視線が合わなかった」
どうやら姉さんには僕の嘘は通じないらしい。仕方ない……でもどう言おう。『気になってる人に誤解をされました』なんて言ったら、間違いなく変に勘ぐられてからかわれるに決まってる……。
「今日、友達に変な誤解をされて……そのまま解けないまま帰ってきた」
僕がそう言うと、姉さんは驚いたような目をした。まるで「え? アンタ友達いたの?!」と言いたげな目だ。
「え? アンタ友達いたの?!」
ほら。
「最近できたんだよ」
「でもどうせ、野蛮な男友達か、陰気な男友達とかでしょ」
嘲笑するように姉さんは言う。
「いや、お、女の人……」
瞬間、姉さんの動きが止まった。
「蓮、嘘をつくならもっとマトモな嘘をつきなさい。アンタに異性の友達ができるなんてお姉ちゃん許しません!」
「なんだよそれ! 否定するにしても酷すぎるだろ!」
僕は信じてなさそうな姉さんに声を荒げた。すると、姉さんは硬直したように口を開ける。
「蓮、あ、アンタ……その女とお姉ちゃんを会わせなさい! 悪い女かどうか、この目で見極めるから」
「白瀬さんは! そんな人じゃない!」
思わず叫んでいた。姉さんの目が、鋭く細められる。
「白瀬さん?」
「あ……」
やばい、つい名前を……。僕が慌てていると、姉さんの顔が妙ににやけた。
「へぇ、白瀬ちゃんって言うんだ~。ふーん、へぇ~」
わざとらしくからかうような顔をする姉さん。顔が熱くなるのを感じた。
「ふ、風呂入ってくる!」
「行ってらっしゃ~い。白瀬ちゃんのこと、お風呂でゆっくり考えてきな~」
「うるさい!」
※
翌日、土曜日の昼。僕は姉さんと一緒に街のショッピングモールに来ていた。姉さんの手にはすでに服が入った買い物袋。
僕と姉さんは、性格も行動も何もかも逆だと思う。姉さんは頭が良く、悪い評判なんて聞いたことがない。困っている人がいれば迷わず助け、何に対しても全力で取り組む。
一方の僕はその逆。頭はそこそこ、空気が読めないだの陰気だの言われる。困っている人がいても見て見ぬふり。何に対しても全力を出すのが苦手だ。
だからこそ姉さんとの間には壁ができていて、僕はいつしか姉さんを「神様」みたいな存在だと思うようになっていた。
『お前はきっと、陽キャを王様か神様みたいな"上の存在"だと思ってるんだろ。でもな、そんなことはない』
海斗くんの言葉が脳裏をよぎる。言いたいことは分かる。けど、一度できてしまった感情や壁を壊すのは難しい。
「ねぇ蓮、聞いてる?」
そんな考えを巡らせていると、前を歩いていた姉さんが声をかけてきた。
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「ちょっと~、聞いててよ~」
「な、なんて言ってたの?」
「だから~、この後、蓮の服も買いに行かない? って言ったの」
「服……」
僕の服は全部、母さんが適当に買ってきたものばかりだった。
「いいよ。服は母さんに頼むから」
そう言うと、姉さんは眉間に皺を寄せて怒った顔をする。
「いや、お母さん服のセンス終わってるから。アンタいつもダサいよ? 少しくらい自分で選びなさい! ――姉ちゃんも一緒に選んであげるから!」
「……わ、分かったよ」
観念した僕は、姉さんに導かれるまま服屋へ向かった。
※
服屋に入ると、スッキリした店内にはおしゃれな服が並び、客はカップルやイケてる人ばかり。そんな中でパッとしない僕と、隣で僕の服を吟味するイケてる姉さん。
……いけない、考え込むとまた憂鬱になる。
「ねぇ蓮はさ、どんな服が着たいの?」
「え、僕は……」
その時、脳裏に浮かんだのは白瀬さんの顔だった。そして口が勝手に動いていた。
「ちゃんとした男だと思われるような、かっこよくてオシャレな服が着たい」
「……蓮」
姉さんが、少し驚いたような顔でこちらを見る。
「OK! それなら分かりやすいね~。任せといて!」
姉さんはそう言って店の奥へ行ってしまった。
……僕、今けっこう変なこと言ったよな。次からは考えてから話そう……。
そんなことを思っていた時だった。
「あれ? 有馬っち?」
「――ッ!?」
聞き覚えのある声に思わず振り向く。
そこにはオシャレな洋服を持ち、オシャレな格好をした白瀬さんが立っていた。
私服の白瀬さんを見るのは初めてだ。淡いベージュのニットに、膝丈のスカート。いつもより柔らかい印象で――綺麗だった。心臓が、ドクンと大きく跳ねる。
「し、白瀬さん……」
「なにしてんの、こんなとこで」
あとがき♪̊̈♪̆̈
有馬……羨ましい!
お前そこ変われ!!
私が行く!!
明日も投稿するかもなのでよろしくお願いします🙏
それではまた(*^-^*)ノ~~マタネー
学校から帰ってきた僕は、玄関でため息をついた。どうしよう……完全に誤解されたままだ。
「やらかしたな、僕は……」
トボトボと歩みを進めながら、リビングのソファにグダっと倒れ込む。
普段だったらこんな時はアニメでも見て気分を紛らわせるのに……白瀬さんの顔が脳裏をよぎって、どうしてもそんな気分になれない。
そんな時だった。玄関の方から「ただいま」という聞き慣れた声がした。
「なんだ、蓮もう帰ってたの……てかその姿、一体なに?」
「おかえり、姉さん……なんでもないよ。ただ今はこうしていたいだけ……」
「そ、そう……なんか変だな」
姉さん――有馬すず。それが姉さんの名前だ。大学生の姉さんは僕なんかよりずっと優秀で、人望もある。
学校ではよく、広い交友関係を持つ姉さんと比べられてきたっけ。
そんなことを考えていると、頬にひんやりとした冷たい感覚が伝わってきた。
ふと目線を上げると、そこには冷えた缶コーラを持った姉さんがいた。
「何か悩みでもあるんでしょ?」
「……ないよ」
「嘘つけ。視線が合わなかった」
どうやら姉さんには僕の嘘は通じないらしい。仕方ない……でもどう言おう。『気になってる人に誤解をされました』なんて言ったら、間違いなく変に勘ぐられてからかわれるに決まってる……。
「今日、友達に変な誤解をされて……そのまま解けないまま帰ってきた」
僕がそう言うと、姉さんは驚いたような目をした。まるで「え? アンタ友達いたの?!」と言いたげな目だ。
「え? アンタ友達いたの?!」
ほら。
「最近できたんだよ」
「でもどうせ、野蛮な男友達か、陰気な男友達とかでしょ」
嘲笑するように姉さんは言う。
「いや、お、女の人……」
瞬間、姉さんの動きが止まった。
「蓮、嘘をつくならもっとマトモな嘘をつきなさい。アンタに異性の友達ができるなんてお姉ちゃん許しません!」
「なんだよそれ! 否定するにしても酷すぎるだろ!」
僕は信じてなさそうな姉さんに声を荒げた。すると、姉さんは硬直したように口を開ける。
「蓮、あ、アンタ……その女とお姉ちゃんを会わせなさい! 悪い女かどうか、この目で見極めるから」
「白瀬さんは! そんな人じゃない!」
思わず叫んでいた。姉さんの目が、鋭く細められる。
「白瀬さん?」
「あ……」
やばい、つい名前を……。僕が慌てていると、姉さんの顔が妙ににやけた。
「へぇ、白瀬ちゃんって言うんだ~。ふーん、へぇ~」
わざとらしくからかうような顔をする姉さん。顔が熱くなるのを感じた。
「ふ、風呂入ってくる!」
「行ってらっしゃ~い。白瀬ちゃんのこと、お風呂でゆっくり考えてきな~」
「うるさい!」
※
翌日、土曜日の昼。僕は姉さんと一緒に街のショッピングモールに来ていた。姉さんの手にはすでに服が入った買い物袋。
僕と姉さんは、性格も行動も何もかも逆だと思う。姉さんは頭が良く、悪い評判なんて聞いたことがない。困っている人がいれば迷わず助け、何に対しても全力で取り組む。
一方の僕はその逆。頭はそこそこ、空気が読めないだの陰気だの言われる。困っている人がいても見て見ぬふり。何に対しても全力を出すのが苦手だ。
だからこそ姉さんとの間には壁ができていて、僕はいつしか姉さんを「神様」みたいな存在だと思うようになっていた。
『お前はきっと、陽キャを王様か神様みたいな"上の存在"だと思ってるんだろ。でもな、そんなことはない』
海斗くんの言葉が脳裏をよぎる。言いたいことは分かる。けど、一度できてしまった感情や壁を壊すのは難しい。
「ねぇ蓮、聞いてる?」
そんな考えを巡らせていると、前を歩いていた姉さんが声をかけてきた。
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「ちょっと~、聞いててよ~」
「な、なんて言ってたの?」
「だから~、この後、蓮の服も買いに行かない? って言ったの」
「服……」
僕の服は全部、母さんが適当に買ってきたものばかりだった。
「いいよ。服は母さんに頼むから」
そう言うと、姉さんは眉間に皺を寄せて怒った顔をする。
「いや、お母さん服のセンス終わってるから。アンタいつもダサいよ? 少しくらい自分で選びなさい! ――姉ちゃんも一緒に選んであげるから!」
「……わ、分かったよ」
観念した僕は、姉さんに導かれるまま服屋へ向かった。
※
服屋に入ると、スッキリした店内にはおしゃれな服が並び、客はカップルやイケてる人ばかり。そんな中でパッとしない僕と、隣で僕の服を吟味するイケてる姉さん。
……いけない、考え込むとまた憂鬱になる。
「ねぇ蓮はさ、どんな服が着たいの?」
「え、僕は……」
その時、脳裏に浮かんだのは白瀬さんの顔だった。そして口が勝手に動いていた。
「ちゃんとした男だと思われるような、かっこよくてオシャレな服が着たい」
「……蓮」
姉さんが、少し驚いたような顔でこちらを見る。
「OK! それなら分かりやすいね~。任せといて!」
姉さんはそう言って店の奥へ行ってしまった。
……僕、今けっこう変なこと言ったよな。次からは考えてから話そう……。
そんなことを思っていた時だった。
「あれ? 有馬っち?」
「――ッ!?」
聞き覚えのある声に思わず振り向く。
そこにはオシャレな洋服を持ち、オシャレな格好をした白瀬さんが立っていた。
私服の白瀬さんを見るのは初めてだ。淡いベージュのニットに、膝丈のスカート。いつもより柔らかい印象で――綺麗だった。心臓が、ドクンと大きく跳ねる。
「し、白瀬さん……」
「なにしてんの、こんなとこで」
あとがき♪̊̈♪̆̈
有馬……羨ましい!
お前そこ変われ!!
私が行く!!
明日も投稿するかもなのでよろしくお願いします🙏
それではまた(*^-^*)ノ~~マタネー
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