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第一章 青春の1ページ
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「それじゃ、今からテスト返していくからなー」
数学担当の先生が言うと――
周りから上がる声は、悲鳴と絶叫のみ。
一方、僕も彼らと同様に、冷や汗を滝のように流していた。
平均以下だったら、どうしよう。
どうしよう、どうしよう!?
数学以外のテストの結果は、全て返ってきていた。
国語 82点
英語 79点
生物 79点
その他もろもろ、大体平均より上の点数だった。
良かった。
頑張った甲斐があった。
しかし――
数学に限っては、話が違う!
今回の数学は、異常に難しかった。
なんだよ! 最後の問題!
入試レベルの問題だったし!
この数学の先生が作る問題だけ、レベルミスってるよ!?
そんなことを内心思いながら――
数学の先生は、淡々とした様子でテスト用紙を封筒から取り出す。
「出席番号順に、取りに来い」
その冷淡で冷徹な目に、再びクラスメイトは絶叫した。
もう、これ一種の拷問だよ。
みんなが、一人一人テスト返却されていく。
その中で――
悲鳴をあげる者。
安堵する者。
歓喜する者がいた。
さあ、僕は一体どれになるのだろうか?
心臓が、うるさい。
「有馬」
前に立った僕に、先生が声をかける。
あれー?
これは……赤点か!?
そんな怖い想像が、頭を埋め尽くす。
「よくやったな。合格だ」
「え?」
そう言われて渡された紙を、咄嗟に見る。
そこには――
「96点!?」
信じられない。
僕が、96点?
「お前が、このクラスの最高得点だ」
その瞬間――
周りから、驚きの声が上がる。
みんなの視線が、僕に向けられる。
その中で、司くんや海斗くん、光くんが僕の点数を見る。
「やったな! 有馬!」
司くんが、僕の肩を叩く。
「うわー、負けた」
海斗くんが、苦笑いする。
「有馬、今度僕に勉強教えてよ!」
光くんが、ニコニコしている。
彼らの言葉、反応を見て――
つい、笑みがこぼれた。
嬉しい。
すごく、嬉しい。
これなら、この結果なら――
僕は思う存分、夏休みを満喫できる!
「有馬っち!」
ふと、後ろから声がかかる。
視線を向けると――
そこには、白瀬さんがテスト用紙を持って立っていた。
嬉しそうな顔。
「私! 85点!」
「――ッ! 良かったね! 白瀬さん!」
「有馬っちのおかげだよー!」
ぴょんぴょんと、嬉しそうに飛び跳ねる白瀬さん。
その姿が、とても可愛い。
それを見て、僕も嬉しくなる。
白瀬さんが、喜んでくれている。
それだけで、嬉しい。
そのあと、司くんたちみんながテストの結果を見せ合い――
有村さんたちも、平均点を超えていた。
あの日、勉強会した甲斐があって良かった……。
そんな安堵の表情を浮かべ――
前期の夏休み前の鬼門だったテストは、乗り越えた。
※
そして――
テストが返却された日の、最後の時間。
生徒は体育館に集められ、そこで夏休み前の終業式が行われた。
校長先生の長い話。
生徒指導の先生からの注意喚起。
みんな、退屈そうにしている。
僕も、少し眠くなってきた。
そして――
最後に、僕らの担任の前澤先生から――
「夏休み、全力で楽しむように!」
その言葉に、みんなが顔を上げる。
「そして、その顔、もう一度見せに来い!」
活力を入れるような言葉を残して――
終業式が、終わった。
みんなが、拍手する。
僕も、拍手した。
夏休みだ。
ついに、夏休みだ。
※
終業式も終わり、みんなが帰る支度をする中――
僕は、窓の外を眺めていた。
空を飛ぶ鳥。
青い空。
白い雲。
夏の、始まり。
あの日、あの時――
僕は、確かに変われた。
中学の時に築き上げたモノを、土足で壊され、踏み散らかされた。
僕の日常は、失われた。
友達も、笑顔も、全て。
でも――
今は、違う。
徐々に、再構築できている。
中学以上に、楽しいと思える日々。
僕を認めてくれた人たち。
司くん、海斗くん、光くん。
有村さん、須藤さん。
水野さん、妃さん。
そして――
白瀬さん。
止まっていた時計の針が、動き出すように。
僕も、1歩、また1歩、前進している――
そんな気がする。
白瀬さんにした僕の告白が、たとえ上手くいかなくても。
僕は、彼女と、白瀬さんを取り巻く環境に順応できると――
そう、確信できる。
だから――
どうか、この世界に青春の神様がいるのなら。
この先、長い青春の1ページを、まだまだ描き続けてください。
最後に僕が笑って、この青春の1ページを閉じられるように。
僕は――
もう、一人じゃない。
「有馬っちー!! みんな、先に行ったよー!!」
教室の扉の方から、聞こえた白瀬さんの声。
僕は、彼女の方に体を向ける。
頬を上げ――
過去の自分を受け入れるように、微笑んだ。
「今から行く!」
バイト先から始まった、白瀬さんとの物語は――
きっと、いつまでも続いていくだろう。
これも全て、『ヒーリング』という作品が、僕と彼女を出会わせてくれたおかげ。
そんなことを思いながら――
僕は、白瀬さんの元へ走った。
まるで、それが――
次の章の始まりを告げるように。
――第1章 完――
数学担当の先生が言うと――
周りから上がる声は、悲鳴と絶叫のみ。
一方、僕も彼らと同様に、冷や汗を滝のように流していた。
平均以下だったら、どうしよう。
どうしよう、どうしよう!?
数学以外のテストの結果は、全て返ってきていた。
国語 82点
英語 79点
生物 79点
その他もろもろ、大体平均より上の点数だった。
良かった。
頑張った甲斐があった。
しかし――
数学に限っては、話が違う!
今回の数学は、異常に難しかった。
なんだよ! 最後の問題!
入試レベルの問題だったし!
この数学の先生が作る問題だけ、レベルミスってるよ!?
そんなことを内心思いながら――
数学の先生は、淡々とした様子でテスト用紙を封筒から取り出す。
「出席番号順に、取りに来い」
その冷淡で冷徹な目に、再びクラスメイトは絶叫した。
もう、これ一種の拷問だよ。
みんなが、一人一人テスト返却されていく。
その中で――
悲鳴をあげる者。
安堵する者。
歓喜する者がいた。
さあ、僕は一体どれになるのだろうか?
心臓が、うるさい。
「有馬」
前に立った僕に、先生が声をかける。
あれー?
これは……赤点か!?
そんな怖い想像が、頭を埋め尽くす。
「よくやったな。合格だ」
「え?」
そう言われて渡された紙を、咄嗟に見る。
そこには――
「96点!?」
信じられない。
僕が、96点?
「お前が、このクラスの最高得点だ」
その瞬間――
周りから、驚きの声が上がる。
みんなの視線が、僕に向けられる。
その中で、司くんや海斗くん、光くんが僕の点数を見る。
「やったな! 有馬!」
司くんが、僕の肩を叩く。
「うわー、負けた」
海斗くんが、苦笑いする。
「有馬、今度僕に勉強教えてよ!」
光くんが、ニコニコしている。
彼らの言葉、反応を見て――
つい、笑みがこぼれた。
嬉しい。
すごく、嬉しい。
これなら、この結果なら――
僕は思う存分、夏休みを満喫できる!
「有馬っち!」
ふと、後ろから声がかかる。
視線を向けると――
そこには、白瀬さんがテスト用紙を持って立っていた。
嬉しそうな顔。
「私! 85点!」
「――ッ! 良かったね! 白瀬さん!」
「有馬っちのおかげだよー!」
ぴょんぴょんと、嬉しそうに飛び跳ねる白瀬さん。
その姿が、とても可愛い。
それを見て、僕も嬉しくなる。
白瀬さんが、喜んでくれている。
それだけで、嬉しい。
そのあと、司くんたちみんながテストの結果を見せ合い――
有村さんたちも、平均点を超えていた。
あの日、勉強会した甲斐があって良かった……。
そんな安堵の表情を浮かべ――
前期の夏休み前の鬼門だったテストは、乗り越えた。
※
そして――
テストが返却された日の、最後の時間。
生徒は体育館に集められ、そこで夏休み前の終業式が行われた。
校長先生の長い話。
生徒指導の先生からの注意喚起。
みんな、退屈そうにしている。
僕も、少し眠くなってきた。
そして――
最後に、僕らの担任の前澤先生から――
「夏休み、全力で楽しむように!」
その言葉に、みんなが顔を上げる。
「そして、その顔、もう一度見せに来い!」
活力を入れるような言葉を残して――
終業式が、終わった。
みんなが、拍手する。
僕も、拍手した。
夏休みだ。
ついに、夏休みだ。
※
終業式も終わり、みんなが帰る支度をする中――
僕は、窓の外を眺めていた。
空を飛ぶ鳥。
青い空。
白い雲。
夏の、始まり。
あの日、あの時――
僕は、確かに変われた。
中学の時に築き上げたモノを、土足で壊され、踏み散らかされた。
僕の日常は、失われた。
友達も、笑顔も、全て。
でも――
今は、違う。
徐々に、再構築できている。
中学以上に、楽しいと思える日々。
僕を認めてくれた人たち。
司くん、海斗くん、光くん。
有村さん、須藤さん。
水野さん、妃さん。
そして――
白瀬さん。
止まっていた時計の針が、動き出すように。
僕も、1歩、また1歩、前進している――
そんな気がする。
白瀬さんにした僕の告白が、たとえ上手くいかなくても。
僕は、彼女と、白瀬さんを取り巻く環境に順応できると――
そう、確信できる。
だから――
どうか、この世界に青春の神様がいるのなら。
この先、長い青春の1ページを、まだまだ描き続けてください。
最後に僕が笑って、この青春の1ページを閉じられるように。
僕は――
もう、一人じゃない。
「有馬っちー!! みんな、先に行ったよー!!」
教室の扉の方から、聞こえた白瀬さんの声。
僕は、彼女の方に体を向ける。
頬を上げ――
過去の自分を受け入れるように、微笑んだ。
「今から行く!」
バイト先から始まった、白瀬さんとの物語は――
きっと、いつまでも続いていくだろう。
これも全て、『ヒーリング』という作品が、僕と彼女を出会わせてくれたおかげ。
そんなことを思いながら――
僕は、白瀬さんの元へ走った。
まるで、それが――
次の章の始まりを告げるように。
――第1章 完――
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