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バスの中で
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蒸し暑い、本格的な夏が始まる。
セミの鳴き声が、程よく聞こえる。
時刻は、まだ十一時前。
僕は学校近くのバス停に立っていた。Tシャツに短パン、リュックを背負って。
今日は――BBQ当日だ。
楽しみだ。ワクワクする。
でも――少し、緊張もしている。
「おーい! 有馬!」
遠くから聞こえてきた声。
その声の方角へ視線を向けると――そこには、司くん、光くん、海斗くんがいる。
僕は、そんな彼らに手を振った。
「待たせたな、有馬!」
「気にしないで!」
僕は司くんと言葉を交わし、ハイタッチする。パン、と良い音。
ふと視線を光くんに向けた時――彼の手には、スーパーで買ったと思われる食材が入った袋がある。重そうだ。
「お金は、あとで光に渡すから、準備しといて」
海斗くんが、みんなに言う。
「分かった、ありがとう!」
僕は頷く。
海斗くんは、いつも通りのテンションだ。
いつも通りの彼らを見て、頬が緩む。なんだか――嬉しい。
「おーい! みんな!」
聞き馴染みのある声が、聞こえる。
僕は、誰よりも先に視線を後ろへ向ける。
心臓が、跳ねた。
そこには――白瀬さん、水野さん、有村さん、須藤さんたちがいた。
みんなの私服が、綺麗だ。
夏らしい、明るい色。
白瀬さんは――白いワンピース。
可愛い。すごく、可愛い。
「おっはー! 有馬っち!」
白瀬さんが、はしゃぎながら僕の元へ来る。
白瀬さんは、僕の元に来るなり、体をかがめて、僕を見下ろすように――
「有馬っち、昨日のヒーリング、見た?」
「見ましたよ! 最高の神回でした!」
「――だよね!!」
昨日のアニメ『ヒーリング』第2期の感想を、分かち合う。
白瀬さんと、こうやって話せるのが――嬉しい。楽しい。
そんな中で、司くんや須藤さんたちも、仲良さそうに話している。
「ねぇ、司~。何買ったの?」
「牛と豚、鳥は買っといた! あとは光が選抜した!」
「うん、僕なりに選んだよ! 絶対に美味しいと思う!」
そんな会話を他所に聞いていると――海斗くんと水野さんが、話しているのを見た。
「みんな、仲良しですね!」
水野さんが微笑む。
「そうだね、俺もそう思う」
海斗くんが頷く。
「水野さんは、良いの? 夏休みを、僕たちと過ごして」
「あ、それなら気にしないでください! 今日は、仲のいい子、みんな予定があって、元々暇だったので!」
水野さんが手を振る。
「――むしろ、私こそ、なんか無理言って入ったみたいで、申し訳ないです」
「そんなことないよ。みんな、人が多い方が好きな奴らだから」
「――それなら、良かったです!」
水野さんが、ほっとした顔をする。
良かった……。水野さんも、楽しんでるみたいで。
「むー、有馬っち、話聞いてる?」
頬を膨らませた白瀬さんが、こちらを見つめている。
やばい。聞いてなかった。
「聞いてる、聞いてる!」
僕は咄嗟に言った。
白瀬さんが、ジッと見つめてくる。
そんな会話をしていれば――バスが見えてきた。
僕たちの前に止まると、司くんが先導して入っていく。
「行こ! 有馬っち!」
白瀬さんの、ネイルされて綺麗な手が、僕の手を引く。
柔らかい。温かい。
心臓が、また大きく跳ねた。
そして――僕たちは、そのままバスに乗って、目的の場所まで向かう。
※
目的地まで走る、バスの中。
僕は、白瀬さんの隣の席だった。
壁や変な空間がない、真隣だ。距離が、近い。
白瀬さんの香りが、する。
甘い香り。
白瀬さんは、楽しそうな目をしている。
楽しそうな顔をしている。
それを見て、僕もつい頬が緩む。
――そして、心臓がうるさい。ドキドキする。
白瀬さんが、隣にいる。
それだけで、嬉しい。
「どした? 有馬っち?」
「いや、その……楽しそうにしてるな、と思って……」
「アハハ! 何言ってんの。有馬っちと一緒だから、楽しみにしてるんだよ!」
「――な、何言ってるんですか!」
顔が熱くなる。心臓の音が、うるさすぎる。
「有馬っちは、楽しみじゃないの?」
白瀬さんが、ニヤッとしながら聞いてくる。
その笑顔が反則級に可愛い。
「僕も、白瀬さんと一緒で……楽しみです」
「アハ! 有馬っちは、やっぱり可愛い、私の後輩だ!」
「それは、もう終わった話でしょ!?」
「アハハ! そうだね!」
白瀬さんが、笑う。
その笑顔が、眩しい。
僕も、笑う。
なんだか――幸せだ。
このまま、ずっと続けばいいのに。
そんなことを思いながら――僕は、窓の外を眺めた。
青い空。白い雲。
夏の、始まり。
楽しい、夏になりそうだ。
ふと、白瀬さんの方を見ると、彼女も窓の外を眺めていた。
その横顔が、夏の光に照らされて――綺麗だった。
セミの鳴き声が、程よく聞こえる。
時刻は、まだ十一時前。
僕は学校近くのバス停に立っていた。Tシャツに短パン、リュックを背負って。
今日は――BBQ当日だ。
楽しみだ。ワクワクする。
でも――少し、緊張もしている。
「おーい! 有馬!」
遠くから聞こえてきた声。
その声の方角へ視線を向けると――そこには、司くん、光くん、海斗くんがいる。
僕は、そんな彼らに手を振った。
「待たせたな、有馬!」
「気にしないで!」
僕は司くんと言葉を交わし、ハイタッチする。パン、と良い音。
ふと視線を光くんに向けた時――彼の手には、スーパーで買ったと思われる食材が入った袋がある。重そうだ。
「お金は、あとで光に渡すから、準備しといて」
海斗くんが、みんなに言う。
「分かった、ありがとう!」
僕は頷く。
海斗くんは、いつも通りのテンションだ。
いつも通りの彼らを見て、頬が緩む。なんだか――嬉しい。
「おーい! みんな!」
聞き馴染みのある声が、聞こえる。
僕は、誰よりも先に視線を後ろへ向ける。
心臓が、跳ねた。
そこには――白瀬さん、水野さん、有村さん、須藤さんたちがいた。
みんなの私服が、綺麗だ。
夏らしい、明るい色。
白瀬さんは――白いワンピース。
可愛い。すごく、可愛い。
「おっはー! 有馬っち!」
白瀬さんが、はしゃぎながら僕の元へ来る。
白瀬さんは、僕の元に来るなり、体をかがめて、僕を見下ろすように――
「有馬っち、昨日のヒーリング、見た?」
「見ましたよ! 最高の神回でした!」
「――だよね!!」
昨日のアニメ『ヒーリング』第2期の感想を、分かち合う。
白瀬さんと、こうやって話せるのが――嬉しい。楽しい。
そんな中で、司くんや須藤さんたちも、仲良さそうに話している。
「ねぇ、司~。何買ったの?」
「牛と豚、鳥は買っといた! あとは光が選抜した!」
「うん、僕なりに選んだよ! 絶対に美味しいと思う!」
そんな会話を他所に聞いていると――海斗くんと水野さんが、話しているのを見た。
「みんな、仲良しですね!」
水野さんが微笑む。
「そうだね、俺もそう思う」
海斗くんが頷く。
「水野さんは、良いの? 夏休みを、僕たちと過ごして」
「あ、それなら気にしないでください! 今日は、仲のいい子、みんな予定があって、元々暇だったので!」
水野さんが手を振る。
「――むしろ、私こそ、なんか無理言って入ったみたいで、申し訳ないです」
「そんなことないよ。みんな、人が多い方が好きな奴らだから」
「――それなら、良かったです!」
水野さんが、ほっとした顔をする。
良かった……。水野さんも、楽しんでるみたいで。
「むー、有馬っち、話聞いてる?」
頬を膨らませた白瀬さんが、こちらを見つめている。
やばい。聞いてなかった。
「聞いてる、聞いてる!」
僕は咄嗟に言った。
白瀬さんが、ジッと見つめてくる。
そんな会話をしていれば――バスが見えてきた。
僕たちの前に止まると、司くんが先導して入っていく。
「行こ! 有馬っち!」
白瀬さんの、ネイルされて綺麗な手が、僕の手を引く。
柔らかい。温かい。
心臓が、また大きく跳ねた。
そして――僕たちは、そのままバスに乗って、目的の場所まで向かう。
※
目的地まで走る、バスの中。
僕は、白瀬さんの隣の席だった。
壁や変な空間がない、真隣だ。距離が、近い。
白瀬さんの香りが、する。
甘い香り。
白瀬さんは、楽しそうな目をしている。
楽しそうな顔をしている。
それを見て、僕もつい頬が緩む。
――そして、心臓がうるさい。ドキドキする。
白瀬さんが、隣にいる。
それだけで、嬉しい。
「どした? 有馬っち?」
「いや、その……楽しそうにしてるな、と思って……」
「アハハ! 何言ってんの。有馬っちと一緒だから、楽しみにしてるんだよ!」
「――な、何言ってるんですか!」
顔が熱くなる。心臓の音が、うるさすぎる。
「有馬っちは、楽しみじゃないの?」
白瀬さんが、ニヤッとしながら聞いてくる。
その笑顔が反則級に可愛い。
「僕も、白瀬さんと一緒で……楽しみです」
「アハ! 有馬っちは、やっぱり可愛い、私の後輩だ!」
「それは、もう終わった話でしょ!?」
「アハハ! そうだね!」
白瀬さんが、笑う。
その笑顔が、眩しい。
僕も、笑う。
なんだか――幸せだ。
このまま、ずっと続けばいいのに。
そんなことを思いながら――僕は、窓の外を眺めた。
青い空。白い雲。
夏の、始まり。
楽しい、夏になりそうだ。
ふと、白瀬さんの方を見ると、彼女も窓の外を眺めていた。
その横顔が、夏の光に照らされて――綺麗だった。
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