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悪魔の質問の後、少しの沈黙が訪れる。
(何も…してこない)
恐る恐る目を開けてみる。
「思い出したって……なにを…」
「俺を見て、どうだってことだよ」
(どうって言われても……)
ボクは率直な感想を述べることにした。
「あ、悪魔かなって……思いました」
「それで?他には?」
「あ、えっとー……確か悪魔っていうのは神様と敵対してる存在で、人間の心の悪意に漬け込んでくる……」
「そういうことじゃねぇんだよ。お前、本当に何も覚えてないのか?」
そういうと悪魔は「はぁー」っとため息を漏らしながらベッドから離れ、また丸椅子に腰掛ける。
「まったく、めんどくせぇ事になってんな。お前、もしかしてなんで俺といるとか、何が起きたのかとか、自分が何者なのかとか、そういうのもわかんなくなってるわけ?」
「え、ボク……ボクってなんだっけ?」
「名前は?」
「うーん……」
「歳はいくつだ?」
「えっとー……」
「親兄弟は?」
「ボクって親とか兄弟がいるの?」
「お前ほんっっっとに記憶スッカラカンになってんじゃねぇか!」
「ごめんなさい……」
はぁー、とまた深く溜息をつき、頭を搔く悪魔。
「また面倒なことになりやがって……これじゃあ何一つ聞き出せやしねぇ……仕方ねぇ、また爺さんに相談するしか……」
「あの、ちょっといいですか?悪魔さん」
「あ゛?悪魔さんじゃねえ、セルリックだ」
セルリックという悪魔はキレ気味にこっちを向く。
「ごめんなさい、セルリックさん。悩んでいるところ申し訳ないし今言うことじゃないかもなんだけど……なんで僕、裸なの?」
本当に今更ながら気づいたのだがボクは下着さえも身に付けていないスッポンポンな状態であった。本当に今言うことでは無いのだが同性同士であってもなんだか少し気恥しい。
「そんなこと今どうだっていいだろ」
「で、でもボク、記憶がなくても人前では流石に服は来ていた覚えはあるっていうか……」
「うるせえな!いいんだよそれで!今までだって俺が世話してる間ずっと全裸を見せておいて何恥ずかしがってんだよ!」
「見てせおいてって!ボクは好きで全裸で寝っ転がってた訳じゃ……!」
ボクは意見するために前のめりになろうとしてベッドに手を着こうとするが、自分の体重を支えられずにベッドにそのまま倒れてしまう。
「あぶねっ!」
セルリックは咄嗟にベッド端から転がり落ちそうになるボクを支える。
「ったく、目を覚ましたからと言って本調子じゃねぇんだからあんまり動くな!俺の面倒が増えんだろ!」
「ごめんなさい…」
まさか手を着く事さえもままならないなんて……自分の体ってこんなに弱かっただろうか……それとも自分の身に何かが起こったのか。
少しショックを受けているとセルリックはボクをベッドに横たわらせる。
そして何故か布団をめくり全身をあらわにさせてきた。勿論恥部も丸見えだ。
「な、なにを!?」
ボクは咄嗟に体を縮め、恥部を隠す。
「隠すな。今からお前の体を拭くんだよ」
セルリックは桶の中から濡れた布を取り出す。きっと水と一緒に入っているんだろうと推測される音がする。
「ちょっと!なんでそんなことするの!?」
「お前が眠ってた間風呂に入れることが難しかったからな。ほら体を開け」
「じ、自分で拭きます!」
「自力の体支えられないやつが何言ってんだ。安心しろ、毎日拭いてやってたせいでお前の体を拭くことに関してはプロ並みだ」
「なっ!?」
まさか自分が寝ている間にこんな恥ずかしいことをされていただなんて。考えるだけで頬が熱くなるのを感じてしまう。
「女でもあるまいし今更恥ずかしがるな。それとも抵抗出来ないように腕と脚を縛り付けて拭くか?」
セルリックはニヤリと笑い、悪い顔を近づける。
「えっ!そ、それは嫌です……」
本当に縛られるかは分からないが悪魔が言うとなかなか迫力のある脅しだ。
ボクは仕方なく身を委ねることにした。
(何も…してこない)
恐る恐る目を開けてみる。
「思い出したって……なにを…」
「俺を見て、どうだってことだよ」
(どうって言われても……)
ボクは率直な感想を述べることにした。
「あ、悪魔かなって……思いました」
「それで?他には?」
「あ、えっとー……確か悪魔っていうのは神様と敵対してる存在で、人間の心の悪意に漬け込んでくる……」
「そういうことじゃねぇんだよ。お前、本当に何も覚えてないのか?」
そういうと悪魔は「はぁー」っとため息を漏らしながらベッドから離れ、また丸椅子に腰掛ける。
「まったく、めんどくせぇ事になってんな。お前、もしかしてなんで俺といるとか、何が起きたのかとか、自分が何者なのかとか、そういうのもわかんなくなってるわけ?」
「え、ボク……ボクってなんだっけ?」
「名前は?」
「うーん……」
「歳はいくつだ?」
「えっとー……」
「親兄弟は?」
「ボクって親とか兄弟がいるの?」
「お前ほんっっっとに記憶スッカラカンになってんじゃねぇか!」
「ごめんなさい……」
はぁー、とまた深く溜息をつき、頭を搔く悪魔。
「また面倒なことになりやがって……これじゃあ何一つ聞き出せやしねぇ……仕方ねぇ、また爺さんに相談するしか……」
「あの、ちょっといいですか?悪魔さん」
「あ゛?悪魔さんじゃねえ、セルリックだ」
セルリックという悪魔はキレ気味にこっちを向く。
「ごめんなさい、セルリックさん。悩んでいるところ申し訳ないし今言うことじゃないかもなんだけど……なんで僕、裸なの?」
本当に今更ながら気づいたのだがボクは下着さえも身に付けていないスッポンポンな状態であった。本当に今言うことでは無いのだが同性同士であってもなんだか少し気恥しい。
「そんなこと今どうだっていいだろ」
「で、でもボク、記憶がなくても人前では流石に服は来ていた覚えはあるっていうか……」
「うるせえな!いいんだよそれで!今までだって俺が世話してる間ずっと全裸を見せておいて何恥ずかしがってんだよ!」
「見てせおいてって!ボクは好きで全裸で寝っ転がってた訳じゃ……!」
ボクは意見するために前のめりになろうとしてベッドに手を着こうとするが、自分の体重を支えられずにベッドにそのまま倒れてしまう。
「あぶねっ!」
セルリックは咄嗟にベッド端から転がり落ちそうになるボクを支える。
「ったく、目を覚ましたからと言って本調子じゃねぇんだからあんまり動くな!俺の面倒が増えんだろ!」
「ごめんなさい…」
まさか手を着く事さえもままならないなんて……自分の体ってこんなに弱かっただろうか……それとも自分の身に何かが起こったのか。
少しショックを受けているとセルリックはボクをベッドに横たわらせる。
そして何故か布団をめくり全身をあらわにさせてきた。勿論恥部も丸見えだ。
「な、なにを!?」
ボクは咄嗟に体を縮め、恥部を隠す。
「隠すな。今からお前の体を拭くんだよ」
セルリックは桶の中から濡れた布を取り出す。きっと水と一緒に入っているんだろうと推測される音がする。
「ちょっと!なんでそんなことするの!?」
「お前が眠ってた間風呂に入れることが難しかったからな。ほら体を開け」
「じ、自分で拭きます!」
「自力の体支えられないやつが何言ってんだ。安心しろ、毎日拭いてやってたせいでお前の体を拭くことに関してはプロ並みだ」
「なっ!?」
まさか自分が寝ている間にこんな恥ずかしいことをされていただなんて。考えるだけで頬が熱くなるのを感じてしまう。
「女でもあるまいし今更恥ずかしがるな。それとも抵抗出来ないように腕と脚を縛り付けて拭くか?」
セルリックはニヤリと笑い、悪い顔を近づける。
「えっ!そ、それは嫌です……」
本当に縛られるかは分からないが悪魔が言うとなかなか迫力のある脅しだ。
ボクは仕方なく身を委ねることにした。
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