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9話
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セルリックはカフェのテラス席に座り、先に待っていた白髪を肩まで伸ばした色男の悪魔と合流した。ここのカフェは道路とは隣接してあるのだが、人気があまりなく落ち着く場所だ。
正直セルリックはこの悪魔のことが得意ではないが数少ない同胞。故に情報共有のために仕方なく会う羽目になっていた。
「セルリック遅いー。あんまり遅いもんだから可愛い子犬ちゃんと3人もデートにこぎつけちゃったよ」
「黙れこのド腐れナンパ師が。どうせまた遊ぶだけ遊んで妊娠したら殺して死体をジジイに見せびらかすんだろ。ご機嫌取り野郎が」
「そりゃそうじゃん。だって汚ったない血が混じった子供なんて可愛くないでしょー?それに上司に成果を報告するのは社会で大事なことじゃん?」
「あんまり派手に暴れるなよ。聖騎士団に見つかったらあっという間に殺されちまう」
「それ何十年前の話?もう聖騎士団なんて国を上げてのお飾り集団じゃん」
「そのお飾り集団に殺られてここまで悪魔は衰退してるわけだがな」
店員にコーヒーを注文してセルリックは煙草を取り出す。そしてライターを取り出すと煙草をふかし始める。
「ルカ、おめぇは若ぇからわかってないだろうがな。人間は必死になると俺らよりやべえバケモンになんだよ。だから油断するなって先輩が忠告してやってんだろうが」
「はいはい、中年の小言はうるさいねぇ。ところでさ、あの子はどうなの?」
あの子?と聞かれしばし考えライの事か、とすぐに理解する。
「ガキのお守りくらい造作もねぇよ。こないだも足がどうので喚いてたが……」
セルリックは青く光る箱を上着のポケットから取り出す。箱の中にはうっすらと小さな家が見える。
「ご覧の通り俺様に静かに飼い慣らされてる」
「へー、意外。セルリックって荒っぽいから子供が嫌がって言う事聞かないかと思ってたけど」
ルカはなんだかつまらないという顔で自分の頼んだケーキをつつく。
「人間のガキなんてちょっと甘やかしてやればお手の物だ。全くめんどくせぇことばっかり俺に爺さんは押し付けてきやがる」
明らかに不機嫌そうに言ってやるとルカは軽く吹き出す。
「ふふっ、面倒くさい面倒くさいとは言いつつも最近のセルリックちょっと楽しそうだけどね?」
「あ゛?楽しいわけねぇだろ殺すぞ」
「じゃあオレが面倒見てもいい?」
「……………………」
「ほーら、すぐに答えられないんだ~。ねえ、その子すっごい美人なんでしょ?オレにも遊ばせてよ?男相手でもちゃんと可愛がってあげるから……」
ドンッと机を叩き、立ち上がるとセルリックは威嚇するように睨みつける。
「俺の仕事に茶々入れんじゃねぇ……」
「うわ真剣じゃん。嘘だってじょーだん。でも会わせてくれても良くない?君が居ない時とかたまに誰か話し相手がいた方がその子の為にもいいだろうし。あんまり孤独にさせておくのは毒だよー?」
「…………」
確かに、と腑に落ちてしまうのがなんだかムカつく。
「それに『聖典』についてまだ聞き出せないんでしょ?言っとくけどそれが本当の仕事なんだからね?聞けないならオレが代わりにやってもいいけど?」
「……あんまり急に踏み込んだこと聞くなよな。また余計なこと思い出して大泣きされてもめんどくせぇ」
「りょーかいだって~」
コーヒーをすぐさま飲み干してセルリックとルカは更に人気の無い路地裏に向かった。
正直セルリックはこの悪魔のことが得意ではないが数少ない同胞。故に情報共有のために仕方なく会う羽目になっていた。
「セルリック遅いー。あんまり遅いもんだから可愛い子犬ちゃんと3人もデートにこぎつけちゃったよ」
「黙れこのド腐れナンパ師が。どうせまた遊ぶだけ遊んで妊娠したら殺して死体をジジイに見せびらかすんだろ。ご機嫌取り野郎が」
「そりゃそうじゃん。だって汚ったない血が混じった子供なんて可愛くないでしょー?それに上司に成果を報告するのは社会で大事なことじゃん?」
「あんまり派手に暴れるなよ。聖騎士団に見つかったらあっという間に殺されちまう」
「それ何十年前の話?もう聖騎士団なんて国を上げてのお飾り集団じゃん」
「そのお飾り集団に殺られてここまで悪魔は衰退してるわけだがな」
店員にコーヒーを注文してセルリックは煙草を取り出す。そしてライターを取り出すと煙草をふかし始める。
「ルカ、おめぇは若ぇからわかってないだろうがな。人間は必死になると俺らよりやべえバケモンになんだよ。だから油断するなって先輩が忠告してやってんだろうが」
「はいはい、中年の小言はうるさいねぇ。ところでさ、あの子はどうなの?」
あの子?と聞かれしばし考えライの事か、とすぐに理解する。
「ガキのお守りくらい造作もねぇよ。こないだも足がどうので喚いてたが……」
セルリックは青く光る箱を上着のポケットから取り出す。箱の中にはうっすらと小さな家が見える。
「ご覧の通り俺様に静かに飼い慣らされてる」
「へー、意外。セルリックって荒っぽいから子供が嫌がって言う事聞かないかと思ってたけど」
ルカはなんだかつまらないという顔で自分の頼んだケーキをつつく。
「人間のガキなんてちょっと甘やかしてやればお手の物だ。全くめんどくせぇことばっかり俺に爺さんは押し付けてきやがる」
明らかに不機嫌そうに言ってやるとルカは軽く吹き出す。
「ふふっ、面倒くさい面倒くさいとは言いつつも最近のセルリックちょっと楽しそうだけどね?」
「あ゛?楽しいわけねぇだろ殺すぞ」
「じゃあオレが面倒見てもいい?」
「……………………」
「ほーら、すぐに答えられないんだ~。ねえ、その子すっごい美人なんでしょ?オレにも遊ばせてよ?男相手でもちゃんと可愛がってあげるから……」
ドンッと机を叩き、立ち上がるとセルリックは威嚇するように睨みつける。
「俺の仕事に茶々入れんじゃねぇ……」
「うわ真剣じゃん。嘘だってじょーだん。でも会わせてくれても良くない?君が居ない時とかたまに誰か話し相手がいた方がその子の為にもいいだろうし。あんまり孤独にさせておくのは毒だよー?」
「…………」
確かに、と腑に落ちてしまうのがなんだかムカつく。
「それに『聖典』についてまだ聞き出せないんでしょ?言っとくけどそれが本当の仕事なんだからね?聞けないならオレが代わりにやってもいいけど?」
「……あんまり急に踏み込んだこと聞くなよな。また余計なこと思い出して大泣きされてもめんどくせぇ」
「りょーかいだって~」
コーヒーをすぐさま飲み干してセルリックとルカは更に人気の無い路地裏に向かった。
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