【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい

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13.旦那様と奥様 Side エマ

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ミルゼ様とラディアス様は、愛を確かめ合って、より一層仲睦まじい夫婦として、公爵邸内の使用人達にも認知されていった。
特に、ミルゼ様の専属侍女の私エマは鼻高々である。

「奥様はお優しいし、旦那様は以前とは別人のように、穏やかなお顔で過ごしていらして、本当に素敵なご夫婦!」

ラディアス様がだいぶ前からミルゼ様一筋なことは、邸内でも周知の事実だった。
一度、何を勘違いしたのか、先触れもなしに何処かの令嬢が訪ねてきたことがあるが、その時のことは邸内では伝説のように言い伝えられている。

「君には興味がない!さっさと散れ!!」

ラディアスお坊ちゃまのワンパターン女除け台詞。
アザリア大奥様からパーティでの笑い話としては聞いていたが、まさか公爵家の玄関先でこの台詞が聞けるとは!と使用人一同感動したものだ。
笑いを堪えるのが大変だったが。

そして、ミルゼ様にもじもじして話し掛けられない意外とシャイなラディアス様を、使用人一同、皆で応援していた。
せっかくミルゼ様がいらしたのに、何で無口なんだ!?とヤキモキしたことは数知れず。

リリス様の代わりにミルゼ様がパーティに行くと分かると、行かなくてもいいパーティに、わざわざ行きたがるラディアス様。
朝からそわそわし、何度も何度もしつこい位に服装チェックをし、約束よりも早く迎えに行く。

「お坊ちゃま、パーティまで二時間も早いのですが?」と御者も驚く始末。
そんなに焦ったらダメですよ!と、使用人一同もそわそわしたのが、つい昨日のようだ。

なので、ラディアス様の結婚相手がミルゼ様と分かると、皆で万歳して、夜中にこっそり祝杯をあげた。
元々働きやすい邸内だが、ラディアス様とミルゼ様を応援することで、更に皆の団結は強まった気がする。

今、皆が楽しみにしているのは、お世継ぎの誕生だ。
毎日のようにシーツを洗濯しているので、そう遠くない日に嬉しい知らせが届くだろう。

ミルゼ様には、ずっと幸せで居て欲しい。
ここに来た時のミルゼ様の荷物の少なさに侍女達は泣いた。
侯爵令嬢のパーティドレスが三枚…
デイドレスは、いつの時代の物?
一体どんな扱いをされてきたのだろう。

それなのに、皆に優しく穏やかで、ラディアス様がお出掛けから戻ると、嬉しそうに頬を染めるミルゼ様。

もう守るしかないじゃない!
専属侍女はダテに任されていない。
ミルゼ様がいつも笑って過ごせるように、それだけを願い、私達は誠心誠意お仕えする。
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