22 / 36
22.媚薬の効果 ① *
しおりを挟む「あなたがミルゼ?」
ミルゼは、エマと会場で招待客が快適に過ごせているか、目を光らせていたところ、老婦人に声を掛けられた。
「はい、ミルゼにございます。」
「おお!やっぱりラディアスの言っていた通りの子ね。私はラディアスの祖母のグレイスよ。」
「お義祖母様!ラディアス様から、お話は伺っております。楽しい方だと。」
「ラディアス、変なこと言ってなかったかしら…あ、それよりラディアスの元に急いで行ってあげて!媚薬を盛られたから、体がきつそうなの。パーティの方は私とアザリアで仕切るから、ミルゼはラディアスについていてあげて?たぶん、三日はつきっきりになると思うわ。」
「ラディアス様は、そんなに…?」
「いいから、早く行きなさい!ミルゼにしかラディアスを看てあげられないわ!!」
「はい!」
ミルゼはラディアスの元へ急いだ。
後ろから着いていくエマは、三日間の意味を理解していた。
(奥様、三日間も抱き潰されるのね…まだ気付いていらっしゃらないだろうけど…)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
休憩室としていた部屋の前に着いた時、エマはミルゼに言った。
「奥様、この媚薬には解毒剤がないように思われます。ラディアス様が落ち着くまで精を吐き出さないといけないということです。三日間と仰られたのは、そういう意味であることをご理解くださいますよう。」
「睡眠薬ではなく媚薬というところに、リリスとお母様の悪意を感じるわ。これは私しか出来ないことだから、大丈夫よ。ラディアス様が落ち着くまで、とことん付き合うわ。」
「何かありましたら、お呼びください。エマはいつでも参りますから。」
ミルゼは微笑んで、部屋に入って行った。
その背中が逞しく見えて、エマは微笑んだ。
入れ替わりに部屋から出て来たアザリア夫人は、にやりと笑うとエマを連れてパーティ会場へ戻った。
その頃、ハディウスは、もう一つの休憩室へ向かっていた。
そちらも、今頃チェルニエとレオナルドが捕えられている筈だ。
ラディアスが正気を取り戻す頃には、大方ケリがついていると、ハディウスは考えていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ミルゼは、部屋に入るなり鍵を閉めた。
そして、ラディアスを見ると、顔を赤くして、体の昂りを耐えていた。
金色の瞳は虚ろで、いつもミルゼに愛を囁くラディアスとは別人のようだった。
「ミルゼです。大丈夫ですか?」
「ミルゼ…体が、熱いんだ…物凄く昂ってしまって…すまない…だらしないな、俺…」
「そんなことありません!ラディアス様が囮になってくださったから、リリスを捕らえられました。違法な薬を使用した現行犯ですから、言い逃れは出来ません。ラディアス様、身を挺して頑張りましたね。楽になりましょう?」
ミルゼはラディアスの服を脱がせ、ベッドに横たえた。
下ばきを脱がせると、何やら見たことの無い物がラディアスの股間に付いていた。
「ラディアス様…これは…?」
「貞操帯だ…万が一の場合に備えて…父上が準備してくれた…上着のポケットに…鍵がある…外してくれ…苦しい…」
ハディウスは、睡眠薬ではなく媚薬の使用を想定して、男性用の貞操帯まで用意していた。
ラディアス自身は、貞操帯の使い途を完全に把握していた訳ではないが、万が一の時の為にとハディウスに装着させられていたのだ。
ラディアスが策があると言っていたのは、一定時間経過すれば、ハディウスが部屋に入って来ることだったが、実は本当の策は貞操帯だったのだ。
ミルゼは施錠装置を解除して、ラディアスから貞操帯を外した。
そこには、お腹に付きそうな位に屹立し、ぬるりと濡れたラディアスの陰茎があった。
そして、ミルゼは覚悟を決めて口に含んだ。
ラディアスは、ミルゼにそのようなことをさせてはならないと思いながらも、体は正直に反応し、目を閉じて、ただミルゼの舌を感じていた。
「うぅっ、くはぁ、善い…うっ、出る!」
無抵抗のまま、ラディアスは早々に一度目の吐精をした。
それでも、すぐに硬さを取り戻す陰茎に、ミルゼは薬の恐ろしさを感じるとともに、これがリリス相手ではなくて良かったと心から思った。
「ミルゼ、すまない…もう一度…」
「はい、何度でも。ラディアス様、気にせず楽にしてくださいね。」
ミルゼは慣れないながらも、懸命にラディアスの陰茎を咥え、優しく手で扱いた。
ラディアスに愛を囁くように、心から愛しむように。
「ミルゼ、はぅ、んんっ、また、イくっ!」
口や手での奉仕を繰り返し、五回目の吐精でラディアスは眠りに落ちた。
安らかな寝顔を見ながら、ミルゼは涙した。
(ここまでしてくれたラディアス様…つらかったですね…起きても薬はまだ抜けないでしょうから、今はゆっくり寝てくださいね?)
そして、ミルゼもすっと眠りについた。
467
あなたにおすすめの小説
パーキングエリアに置いていかれたマシュマロボディの彼女は、運ちゃんに拾われた話
狭山雪菜
恋愛
詩央里は彼氏と1泊2日の旅行に行くハズがくだらないケンカをしたために、パーキングエリアに置き去りにされてしまった。
パーキングエリアのフードコートで、どうするか悩んでいたら、運送会社の浩二に途中の出口に下ろすと言われ、連れて行ってもらう事にした。
しかし、2人で話していく内に趣味や彼に惹かれていって…
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
結婚したくない王女は一夜限りの相手を求めて彷徨ったら熊男に国を挙げて捜索された
狭山雪菜
恋愛
フウモ王国の第三王女のミネルヴァは、側室だった母の教えの政略結婚なら拒絶をとの言葉に大人しく生きていた
成人を迎える20歳の時、国王から隣国の王子との縁談が決まったと言われ人物像に反発し、結婚を無くすために策を練った
ある日、お忍びで町で買い物をしていると、熊男に体当たりされその行く先々に彼が現れた
酒場で話していると、お互い惹かれ合っている事に気が付き………
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
図書館の秘密事〜公爵様が好きになったのは、国王陛下の側妃候補の令嬢〜
狭山雪菜
恋愛
ディーナ・グリゼルダ・アチェールは、ヴィラン公国の宰相として働くアチェール公爵の次女として生まれた。
姉は王子の婚約者候補となっていたが生まれつき身体が弱く、姉が王族へ嫁ぐのに不安となっていた公爵家は、次女であるディーナが姉の代わりが務まるように、王子の第二婚約者候補として成人を迎えた。
いつからか新たな婚約者が出ないディーナに、もしかしたら王子の側妃になるんじゃないかと噂が立った。
王妃教育の他にも家庭教師をつけられ、勉強が好きになったディーナは、毎日のように図書館へと運んでいた。その時に出会ったトロッツィ公爵当主のルキアーノと出会って、いつからか彼の事を好きとなっていた…
こちらの作品は「小説家になろう」にも、掲載されています。
週1くるパン屋の常連さんは伝説の騎士様だった〜最近ではほぼ毎日ご来店、ありがとうございます〜
狭山雪菜
恋愛
パン屋に勤めるマチルダは平民だった。ある日、国民的人気の騎士団員に、夜遅いからと送られたのだが…
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しています。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
毎週金曜日、午後9時にホテルで
狭山雪菜
恋愛
柳瀬史恵は、輸入雑貨の通販会社の経理事務をしている28歳の女だ。
同期入社の内藤秋人は営業部のエースで、よく経費について喧嘩をしていた。そんな二人は犬猿の仲として社内でも有名だったけど、毎週金曜日になると二人の間には…?
不定期更新です。
こちらの作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される
狭山雪菜
恋愛
マリアは学園卒業後の社交場で、王太子から婚約破棄を言い渡されるがそもそも婚約者候補であり、まだ正式な婚約者じゃなかった
公の場で婚約破棄されたマリアは縁談の話が来なくなり、このままじゃ一生独身と落ち込む
すると、友人のエリカが気分転換に騎士団員への慰労会へ誘ってくれて…
全編甘々を目指しています。
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる