【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい

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26.事後に残る気持ち Side セルジオ & エマ

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三日後、媚薬の解毒が済んで、セルジオは不思議な気持ちに包まれていた。
媚薬に操られエマを抱いた時の愛おしい気持ちが、そのまま残っているのだ。

(この気持ちは…どうしたものか…)

エマの寝顔を見つめながら、セルジオはエマに恋をしていると自覚した。
しかし、エマはミルゼへの忠誠のついでにセルジオを助けてくれた。

セルジオは三十四歳、エマとは随分年の差があるだろう。
いくら望んでも無理がある。
この気持ちは決して叶わない。
頭では分かっていても、心はエマを諦めたくない自分を否定出来なかった。

ならば、ハディウスやアザリア夫人に、エマが幸せになれるような縁談を用意してもらえるように頼もうか。
しかし、自分が手を付けてしまったエマに、縁談が来るだろうか。
いや、他の男にエマを渡すなど耐え難い。

セルジオがあれこれ思考を巡らせていると、エマが目覚めた。

「侯爵様、大丈夫ですか?解毒出来ましたか?」

「ああ、もう大丈夫だ。エマ殿、申し訳なかった。何と詫びたらいいのか…」

エマは少しむっとして言った。

「そういう時は、ありがとうと言うのです。でも、私の意思でしたことなので、お礼もいらないですけどね?」

いたずらっ子のように微笑むエマを、セルジオは思わず抱き締めた。

「エマ殿…このままずっと傍に居てくれないか?生涯の伴侶として。」

エマは驚いて、セルジオの腕の中で呆然とする。
一介の侍女が侯爵の伴侶になどなれる訳がない。

「侯爵様、まだ正気に戻っておられないのでは…?」

「いや、正気だ。目覚めてから、エマ殿のことしか考えられない…」

「一時の感情ですよ。時が経てば、治まる病気みたいなものです。」

セルジオは伝わらない想いが悔しかった。

「違う!こんな気持ちに蓋は出来ない。俺の想いを否定しないで欲しい。エマ殿が振り向いてくれないなら、せめて振り向かせる努力をする機会をくれないか?」

セルジオは本気だとエマは自覚した。
しかし、やはり身分差は超えられない。
でも、万が一身分差が超えられたらと、少しの間だけでも夢が見られたらと、その考えに気付いて、エマはセルジオを一人の男性として見ていると思った。

しかし、セルジオに想いを伝えるには、やっぱり躊躇いがある。

「少し…考えさせてください。」

「分かった。」

セルジオは、もう一度エマを強く抱き締めた。
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