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第1章 冒険者になってシロをもふもふに戻したい!
17 照れ隠しで余計な誤解を与えるのホント勘弁して
しおりを挟む6階を目指しながら進む。
ーーぱこんぱこんっ!!
シロは俺の腕の上で楽しそうに口を開けたり閉じたりしている。せめて・・・せめて尻尾か耳位は元に戻したい・・・。モフりたい、そう・・・俺はモフりたいんだっ!!だからと言ってこっちにモフれる生き物に浮気をする様な真似はする気は一切ない!!
どうにかして戻してやる・・・それが叶うなら悪魔にだって魂売り渡せるぜ・・・。ふふふふ・・・。
「だからよ、セイ。たまにシロの事考えている時に思った事垂れ流すのどうかと思うんだが・・・」
「シロちゃんの事考えると馬鹿になるの?」
「は?金の亡者に言われたくねーし!」
「むきーっっ!!」
ミラが怒り出したタイミングでアクスが止まった。
「この階段降りたら恐らく魔物が結構いんぞ。俺たち2人はセイとシロの補助をするから、セイは戦う準備しとけ」
「ーー分かった」
レベル5の俺がレベル6の魔物沢山いる中で倒せるのか甚だ疑問ではあるが、アクスの事を信じて覚悟を決める。以前使っていた断魔ツマの包丁は持ち歩きにくいので別に買った中剣を抜き準備をした。
大剣はぶっちゃけ憧れるが、剣道部や居合道なんかやったことない俺には憧れだけでは無理だと武器屋で悟り諦めた。中剣でも大変だけど、リーチの無い小剣は運動音痴の俺にはもっと無理だしな。学生時代運動部入った事一度も無いんだよ。小学生の時はトランプクラブばっかで中学生になってからは百人一首部だったしな。着替えない・汗かかない・移動がほとんどない・部活の荷物が必要ないとか最高過ぎると思って入ってたけど今そのツケが来てしまっている感が否めない・・・。
高校以降は部活やサークルに入ってないしな・・・。なんか市でやっている安い習い事の一つや二つやっときゃ良かったな。まぁ時間が戻せてもやらない自信はあるがな!!
6階に降りるとうじゃうじゃと根っこが足の役割を果たし、タコの様にうねうね動きながら移動する赤い花びらに黄色い斑点がある花の形をした魔物が巣食っていた。
「これは赤花の貝だ。こう見えて貝の一種なんだぜ?」
「あかはなのかい・・・。陸なのに貝なのか?」
「ダンジョンには陸とか海とか空とか関係なく魔物出てくるからな」
「マジかよ・・・。取り敢えず斬ってみるか・・・」
「動き遅いから薙ぎ払う様に花の下の付け根を斬ると良いよー!」
「分かった!」
『トナ』はどこに消えてしまったんだろうか?ともやもやした気分のままではあったが、言われた通り剣で攻撃してみる事にした。
ーーザクッッ!!
俺のレベルでは中々硬かったがなんとか1匹倒す事に成功した。このうじゃうじゃいる赤花の貝倒す前に俺の体力尽きそうなんですけど・・・。
「シロ・・・この魔物生きたまま回収出来ないよね?」
「異空間収納は生き物回収出来ねーぞ」
ーーガタガタ・・・ぱこんっっ!!ぱこんっっ!!ガタガタガタガタ・・・ーー
シロは俺の顔を見ていた様だが向きを赤花の貝に変えると、勢いよく向かっていった。久しぶりの亀の猛ダッシュだ!!赤花の貝を襲い始め、みるみるうちに赤花の貝は姿を消していった。シロが回収している間、漏れた魔物を斬って行った。5匹倒した頃には周りから1匹残らず魔物は消え去ってしまっていた。
アクスとミラの方を見てみると石像の様に固まっていた。うん、俺も流石に魔物生きたまま回収はチート過ぎると思ったよ・・・。
「と、取り敢えず7階に行ってみようか?」
「ーーえ?あっあぁ・・・そうだな」
「なんだろう今私立ったまま寝てたっぽい。疲れてるのかも??」
ミラは首を傾げていたが、アクスの口数が減って来ているのは気のせいではないだろう。俺だってよく分かんないからね!?でも、コイツら元から変だったしシロが異常なチート持ちでも誤魔化せるんじゃね?人間って慣れるしな!!シロのチートを普通だと刷り込ませてしまうのが早そうだな。
「そういや異空間収納って中に入っている物どうやって確認するんだ?分からないと10年前のパンとか出て来そうなんだけど・・・」
「んーとね、確かステータス出す時と同じやり方で出すんだけど、シロちゃんはステータスあるから装備した物を確認する出し方と同じかも?シロちゃんのステータス出してみて?」
「出したぞ、で?」
「異空間収納の文字の上でもう一回開いてみて」
言われた通りやってみると中に入っている一覧が現れた。
【収納物一覧】の文字の下にはアイコンの様なものが並んでいる。断魔ツマの包丁のアイコンが先頭にあり、続いて石の絵の下には1386とある。恐らく瓦礫だろうとは思うけど、いつの間にそんなに飲み込んだのだろうかと心配になってくる。・・・俺がよそ見している間に拾い食いして無いか?後は単品のよく分からない絵のアイコンが幾つかあって、赤花の貝は・・・と、あった!!
「これだよな?」
「ん?あー・・・54か。アイツらの数そん位だったからそれだろうな」
「赤花の貝の絵だからまだ生きてるよね?この魔物から取り出せる素材は屠成っていう赤い玉だから死んだら赤い玉の絵に変わると思うんだよね!!」
「と、トナがそこに隠れていたのか!!!」
「どうした?セイ」
「いやなんでもっ!ーーそっかー生きてるんじゃ経験値になんないよな~・・・まぁ多い魔物はそうやって減らして少なくしてから俺が訓練すればいいか」
「そうだな。それが1番安全なやり方だろうな」
「じゃあ異常発生の階はそれでちゃっちゃと進もう♪私は宝箱探しとくね♪」
7階の階段を前にミラは魔物のいなくなった6階を調べに1人消えていった。
「ーーチッ。この階位はミラ1人でも魔物倒せるだろうけど、念のために待っとくか。悪ぃな、お前の訓練ってのに・・・。」
アクスが地面に座ったので俺も隣に座る。アクスがシロを呼び寄せ頭もとい、蓋の部分を撫でるとシロは大人しく撫で回されている。大変気持ち良さそうなのが良くわかる。
「いや?俺は別に構わんし。兄貴やシロとのんびりする方が戦い続けるより楽しいしな。兄貴も気負わなくて良いから。俺たちは連携さえ上手く取れればAランクなんてすぐだぞ?楽しくやっていいんじゃないか?」
「・・・そう思うか?」
「って言うか、なんであんだけ強いのにギリギリCランクなんだ?」
「ほら、俺たちが気持ちを整理し始めて1年間、週1で戦いの調子を取り戻す為にダンジョン潜ってたんだけどよ、ギルドで俺らを陥れた奴見かけたらマリアが居なくなるしミラもちょっとおかしくなるんだ。ダンジョンの最下層はユリアナがおかしくなるから一回行ったっきり行ってねぇ」
「ーーーそっか。兄貴は大丈夫か?」
「実は俺はそこまでなんも感じてねぇんだ。薄情だろ?」
「んー・・・そうかなぁー・・・?それは違う気がするんだけど。兄貴がみんなをどうにかしないとって気を張っているから、仲間の死を悼む事が出来ないだけだろ?そういうのって気が緩んだら一気に全部襲ってくるんじゃね?それにシロは優しい奴大好きだからな!!!俺もアクスの兄貴の事大好きだから間違いないぞ?」
「セイ・・・俺も大好きだ!!」
アクスは隣に座っているセイの手を強く握り、涙が溢れそうな目で見つめてくる。
シロの異常さを見た後口数が減りやっと元に戻ったと思ったら、なんか側から見れば誤解受けそうな雰囲気垂れ流してるけど、アクスはそういう目で見られる心配はしていないのか?
「うっわぁ~・・・私が居なくなったら先輩、セイさんを口説き始めてた~・・・先輩女の影が無いと思ったらそっちだったんですねぇ・・・」
「はぁっ!?ちげぇーしっっっ!!テメェふざけた事抜かしてっと蜂の巣にすっぞ!!コラァ!!」
ちょっ、マジでやめてくれぇぇぇーーーーっっっ!!ムキになったら余計信憑性増すだろっっっっ!!!俺を巻き込むな!!
「じゃあなんで手を握って見つめあってたんですかぁ?大好きって聞き間違えですかぁ?」
「そっそれはテメェに関係ねぇだろうがっ!!大好きっつったのは事実だがそれは・・・クソッッ!!好きなもんは好きなんだよテメェにとやかく言われる筋合いはねぇっっ!!次の階に行くぞ!!!」
Ohーmy Gosh !!!なんでアクスは誤解を生むだけ生んで投げ捨てた!?もうお前とそういう関係だとミラに思われたんじゃね?友情なんだからいちいち恥ずかしがんなよ!!友情を照れて言えないとかどんだけ友達いないんだよ!?ぼっち拗らせすぎだろ!!
・・・ミラ他のメンバーとかに言わないよね?あー・・・エロい女性達に迫られる異世界転移がしたかった・・・。え?ユリアナは変態だから除外だろ。
ーーー心の中で深いため息を吐いた後7階に降りた。
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