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バカにしないで
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目を開けるとそこはいつもの店の中だった。頭からローブを被った怪しげな店主。店の棚に並ぶいかがわしいアイテムの数々。これは夢なのかとも思ったけれど、身体は自由に動くし声も出せた。
なので梨々香はいつものように店主に声をかける。すると、やはりこれまでと同じように店主は愛想よく梨々香に向かってこうべを垂れた。
「いらっしゃい、ご機嫌は如何かな?お嬢さん」
「…………良くはないけど」
「けど?」
「まあ、目障りな奴がいなくなったから、少しマシにはなったかもね」
梨々香はそう言うと、店主の前に仁王立ちする。そして棚にあるアイテムを真っ直ぐに指差した。
「ねえ、新しいアイテム頂戴よ。今までのよりもっと強力なやつ」
「あげたいのは山々だけど、最近少し魅力が伸び悩みしているようだね。新規開拓が上手くいっていないのかな?選り好みもいいけれど、もっと大勢の男共を虜にしないとお嬢さんの存在価値が消えてしまうよ」
気をつけないとね、と店主は笑う。なんだか癇に障る、嫌な笑い方だと思った。
「しょうがないじゃん、なんか貰ったアイテムが効かないんだもん。不良品なんじゃないの?」
「前にも言ったけれど、これらのアイテムは感情を増幅させるものであって好意を発生させるものではないんだよ」
「は?」
「つまりね、お嬢さん。アイテムの効果が感じられないということは、その人物はお嬢さんに爪の先ほどの好意もないということになる」
言っただろう?0を1にすることは出来ないと、と店主は笑う。
その瞬間、梨々香は店主の顔を思い切り引っ叩いていた。
「……梨々香のこと、バカにしてんの?」
「フフ、ハハハ、本当に聖女って揃いも揃って気が強いんだから」
まったく、どうかしてるよねと店主は笑う。笑い続ける。その様子がなんだかとても薄気味悪く思えてゾッとした。梨々香は知らず後ずさりをしはじめる。
そのままアイテムの並ぶ棚へと近づくと、そこから勝手に幾つかのアイテムを梨々香は持ち出した。別にいつもお金を払っているわけでもないし、ここは聖女の為の店なのだから、店主に了承を得る必要なんてないだろうと梨々香は勝手な解釈でそのまま無言で店を飛び出して行く。
「…………あれじゃあ聖女というより泥棒だ」
店主は空になった棚のスペースを眺めながら、大仰に肩をすくめる。
本当に、代々聖女に選ばれる女はろくでもないなと、そう呟きながら。
なので梨々香はいつものように店主に声をかける。すると、やはりこれまでと同じように店主は愛想よく梨々香に向かってこうべを垂れた。
「いらっしゃい、ご機嫌は如何かな?お嬢さん」
「…………良くはないけど」
「けど?」
「まあ、目障りな奴がいなくなったから、少しマシにはなったかもね」
梨々香はそう言うと、店主の前に仁王立ちする。そして棚にあるアイテムを真っ直ぐに指差した。
「ねえ、新しいアイテム頂戴よ。今までのよりもっと強力なやつ」
「あげたいのは山々だけど、最近少し魅力が伸び悩みしているようだね。新規開拓が上手くいっていないのかな?選り好みもいいけれど、もっと大勢の男共を虜にしないとお嬢さんの存在価値が消えてしまうよ」
気をつけないとね、と店主は笑う。なんだか癇に障る、嫌な笑い方だと思った。
「しょうがないじゃん、なんか貰ったアイテムが効かないんだもん。不良品なんじゃないの?」
「前にも言ったけれど、これらのアイテムは感情を増幅させるものであって好意を発生させるものではないんだよ」
「は?」
「つまりね、お嬢さん。アイテムの効果が感じられないということは、その人物はお嬢さんに爪の先ほどの好意もないということになる」
言っただろう?0を1にすることは出来ないと、と店主は笑う。
その瞬間、梨々香は店主の顔を思い切り引っ叩いていた。
「……梨々香のこと、バカにしてんの?」
「フフ、ハハハ、本当に聖女って揃いも揃って気が強いんだから」
まったく、どうかしてるよねと店主は笑う。笑い続ける。その様子がなんだかとても薄気味悪く思えてゾッとした。梨々香は知らず後ずさりをしはじめる。
そのままアイテムの並ぶ棚へと近づくと、そこから勝手に幾つかのアイテムを梨々香は持ち出した。別にいつもお金を払っているわけでもないし、ここは聖女の為の店なのだから、店主に了承を得る必要なんてないだろうと梨々香は勝手な解釈でそのまま無言で店を飛び出して行く。
「…………あれじゃあ聖女というより泥棒だ」
店主は空になった棚のスペースを眺めながら、大仰に肩をすくめる。
本当に、代々聖女に選ばれる女はろくでもないなと、そう呟きながら。
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