オマケなのに溺愛されてます

浅葱

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反射ですよ

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しかし、考える時間はろくに与えられなかった。
ジークベルトが単騎で乗り込んできたからである。



「待って!!ねえ待って!!!」

今にも襲いかかりそうなジークベルトの鬼気迫る表情に怖気付きそうになりつつも、奏多は必死になってそれを止めた。しかしいくら叫んでもジークベルトの耳には届いていない様子である。怒りで青筋が浮かんでいるその顔は悪鬼そのもので、先程まで奏多にまとわりついて無邪気に遊んでいた子供たちが恐怖のあまり漏らしてしまっていた。

本当に恐怖を感じた時、人は声も出ないらしい。子供が涙目になりながら静かにお漏らししている様子を目の当たりにした奏多は「子供を泣かせるなんて…!!」という謎に理不尽な怒りがふつふつと込み上がってくるのを感じていた。いや、理不尽なのは充分よくわかってるんだけどさ!


「ジークベルト!!こっち、見て!!」

奏多はジークベルトの正面へと回り込むと、精一杯背伸びをして彼の顔を自分の方へと引き寄せた。
とにかく、その凶悪な顔を、少しでも子供たちから遠ざけたかったのだ。

「ねえ、ちゃんと見てよ!怪我とかしていないでしょう?私は無事だから、怖い思いもしていないから、お願いだから落ち着いて話を聞いて!!!」

怖い思いはしていたが、嘘も方便である。
奏多はジークベルトの頬を両手で挟んで視線を固定する。するとようやく目が合った。そして数十秒間至近距離でそのままの体勢で見つめ合う。そうしてやっと、彼の目にいつもの光が戻ってきたのがわかって安心しかけた、その瞬間だった。


「………………(ちゅっ)」
「………………!!!!!」


互いの距離が近過ぎた弊害なのか、そこで何故か、どさくさに紛れてジークベルトがキスしてきたのだ。奏多は反射的に強烈なビンタをお見舞いする。それはもう、殆ど無意識だった。

バチーン!!という音と共に、何処かからかヒェッという声が聞こえてくる。
だがそこでようやく、ジークベルトは我に返ったようだった。
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