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10話
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「ルークス」
ルアと話をしながら夕食のために食堂に向かっていると、背後から聞き覚えのある声がかかった。
「兄上」
ルークスが身体ごと振り向くとルアは1歩引いてルークスの後ろにつく。
ルベリオの傍には見慣れた侍女が控えていて、ルークスに対して軽く礼をするので頷きで返した。
「具合は良くなった?ここ数日食事が一緒にとれなかったから寂しかったよ」
「うん。もう大丈夫」
「今日は一緒に食べれるんだね!父上や母上も寂しがってたから喜ぶよ」
それは嘘だろ。と思いながらも顔には出さず笑って頷く。
ルークスの表情を見てほっとしたようにルベリオは笑って、弟の肩に右手を置いた。
「そんな風に父上も母上もルークスを思ってるんだから、そろそろ反抗期は終わりにしなくちゃ」
「......え、っと」
「俺もあったから分かるよ。でも今ならそんなことして確かめなくても父上たちはちゃんと俺らを愛してくれてるって分かるんだ」
「兄上」
「俺らももう18だよ?ステッラェ家の跡継ぎとして大人にならなきゃな!」
ニカッと笑う笑顔が眩しい。
ルークスは珍味を食べてしまったような何とも言えない顔をしかけたが、表情を引き締めて「そうだね」と答えた。
ルベリオはその答えに気を良くしたらしくさらにいい募ろうとする。
「それに、」
「ルベリオ様、そろそろ。当主様と奥様をお待たせしてしまいます」
「あ!それもそうだねルア!行こう、ルークス」
「うん」
ルンルンと歩いていく兄達に着いていきつつ、少し歩く速度を落として距離をとる。
「...怒るなよ、ルア」
「怒ってはいません」
仏頂面のルアにルークスはくすくすと笑う。
助け舟は確かに助かったが、兄の言葉は気にしてるわけではない。
「悪気はないんだよ、兄上には」
「悪気がない方が始末が悪い場合もあります」
「まぁそれは...あるな」
兄の先の言葉は心の底から、嘘偽りなく、本気で発されたものだ。
ルベリオは両親と弟の間の固い空気は察していながらも、年頃の弟が一方的に父母を避けているのだと思っているらしい。
そしてそれがいつか解消されるものだと信じて疑わないのだ。
絶妙に鈍いのか、純粋なのか...。
「そこが兄上のいいところだよ」
「.........」
ルークスは兄のことが嫌いではなかった。
関わりは薄いとはいえ、実の兄弟。それに彼の存在がなければこの家の空気は地獄と化していただろう。
あの人の人柄や性格があってこそ、この家の平和は保たれているのだ。その生まれ持った才能に感心することはあれ憎むことは無い。
兄の失踪によりあの10年間があったとしても、兄を恨む気にはなれなかった。
実際兄上悪くないしな。
「さ、俺たちも早く行こう。今日のメニュー楽しみだ」
「はい、ルークス様」
ルアと話をしながら夕食のために食堂に向かっていると、背後から聞き覚えのある声がかかった。
「兄上」
ルークスが身体ごと振り向くとルアは1歩引いてルークスの後ろにつく。
ルベリオの傍には見慣れた侍女が控えていて、ルークスに対して軽く礼をするので頷きで返した。
「具合は良くなった?ここ数日食事が一緒にとれなかったから寂しかったよ」
「うん。もう大丈夫」
「今日は一緒に食べれるんだね!父上や母上も寂しがってたから喜ぶよ」
それは嘘だろ。と思いながらも顔には出さず笑って頷く。
ルークスの表情を見てほっとしたようにルベリオは笑って、弟の肩に右手を置いた。
「そんな風に父上も母上もルークスを思ってるんだから、そろそろ反抗期は終わりにしなくちゃ」
「......え、っと」
「俺もあったから分かるよ。でも今ならそんなことして確かめなくても父上たちはちゃんと俺らを愛してくれてるって分かるんだ」
「兄上」
「俺らももう18だよ?ステッラェ家の跡継ぎとして大人にならなきゃな!」
ニカッと笑う笑顔が眩しい。
ルークスは珍味を食べてしまったような何とも言えない顔をしかけたが、表情を引き締めて「そうだね」と答えた。
ルベリオはその答えに気を良くしたらしくさらにいい募ろうとする。
「それに、」
「ルベリオ様、そろそろ。当主様と奥様をお待たせしてしまいます」
「あ!それもそうだねルア!行こう、ルークス」
「うん」
ルンルンと歩いていく兄達に着いていきつつ、少し歩く速度を落として距離をとる。
「...怒るなよ、ルア」
「怒ってはいません」
仏頂面のルアにルークスはくすくすと笑う。
助け舟は確かに助かったが、兄の言葉は気にしてるわけではない。
「悪気はないんだよ、兄上には」
「悪気がない方が始末が悪い場合もあります」
「まぁそれは...あるな」
兄の先の言葉は心の底から、嘘偽りなく、本気で発されたものだ。
ルベリオは両親と弟の間の固い空気は察していながらも、年頃の弟が一方的に父母を避けているのだと思っているらしい。
そしてそれがいつか解消されるものだと信じて疑わないのだ。
絶妙に鈍いのか、純粋なのか...。
「そこが兄上のいいところだよ」
「.........」
ルークスは兄のことが嫌いではなかった。
関わりは薄いとはいえ、実の兄弟。それに彼の存在がなければこの家の空気は地獄と化していただろう。
あの人の人柄や性格があってこそ、この家の平和は保たれているのだ。その生まれ持った才能に感心することはあれ憎むことは無い。
兄の失踪によりあの10年間があったとしても、兄を恨む気にはなれなかった。
実際兄上悪くないしな。
「さ、俺たちも早く行こう。今日のメニュー楽しみだ」
「はい、ルークス様」
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